〇〇月××日
始業式の時も思ったが…机の中の教科書が勝手に整理されている気がするだ。
いや、まあ、誰かがひっくり返して直したって可能性もあるんだが…毎日はさすがにおかしい。
…別にいいか、何かなくなってるわけじゃないし。
〇〇月××日
体育祭の準備が始まった。
親父が海外出張で母さんも付いていくので参加できないらしい…よし、サボるか!
体育祭なんて頑張ったところで女にモテないならやるかってーの。
〇〇月××日
明日は体育祭なんだが…うん、まあ、問題が発生した。
うっかり体育祭の事、親が来ないからサボろうとしていた事を漏らしたのが運の尽き。
唐巣神父と美神さんが来るなんて言い出したのだ。
なんとか説得を試みようと頭を働かせてみた。
唐巣神父は…言っちゃ悪いが除霊などの真剣な場面ではともかく、日常では案外ボケボケなので言い包めることは簡単だろう。
ただ問題は美神さんだ。
言い出したら人の話を聞かない…というほどではないにしろ、俺の意見なんて8割聞いていない。
色々考えたが末、現ナマを掴ませればいいのだと結論が出た。
早速お代官様に黄金色のお菓子を…とATMで引き下ろそうとカードを挿す…が一回入りはするが返ってくる。
何事かと思って銀行員に聞こうとするとタイミングよく猫の鈴(携帯)が鳴る。
出てみると…母さんだった。
で内容は「最近金遣いが荒いからしばらくの間、引き下ろせなくしといたわよ〜」…犯人発見、謎解決、ただし現在犯人は外国に逃亡中のため逮捕不可…怖いからじゃないんだからね!
さて、いきなり策は実行不可となってしまった。
〇〇月××日
体育祭当日。
結果から言うと…無理だった。
とりあえず苦肉の策として以前贋金で美神さんを倒したのを思い出し、それを採用。
前使った贋金に更に加工して渡したのだが…瞬時に見破られる。
「美神さんの目利きがパワーアップしとる…これでまさか学校をサボったりしたら…考えたくもない」
策は尽きた。(早っ!)
と言う訳で体育祭に参加する事になってしまった訳だ。
「にしても1500mマラソン、借り物競争、障害物競走…なんでこんなダルい種目ばっかなんや〜!」
男女で走るからという事で二人三脚は先生に却下されている。
「あ〜ダル…美神さん優勝したらご褒美——「鉄拳でよければいくらでもあげるわよ?」——もう貰ってますけど…」
ついでに踏んであげるわ。
いやや〜新しい世界に目覚めてまう〜!
よいではないかよいではないか
あ〜れ〜お代官様〜
なんてアホなノリについていけない保護者唐巣神父は他人のフリ。
「只今より1500mマラソンを始めます。参加選手の方は——」
呼び出しの放送が流れる。
「ほら、呼ばれてるわよ。とっとと行ってきなさい。ただし一位である事はもちろん、目立って勝ちなさい。平凡な勝ち方なんて認めないわ」
「ご期待に添えれない場合は…」
「とりあえずしばらく除霊前衛ね」
「うわ、マジっすか…てか、とりあえずって事は他にもあるんすか?!」
「ほら、嫌なら自分の力でもぎ取ってきなさい」
ほ〜い、とやる気がない声を出しながら集合場所に向かった。
「あんな風に言わなくても大丈夫でしょうに…彼なら手を抜くような事は…………………さて、場所は何処にしましょうか?」
「先生もだいぶ横島クンの事がわかってきましたね」
これでもせっかく応援に来たのに自分の弟子の格好悪いところを見たくないという姉弟子心で来ているのだ。
期待に応えて欲しいというのは身勝手だったとしても男なら応えるのが男…漢というものだ。
もっとも気づかなければ応えるも応えないもないのだが。
いい場所が案外すぐ見つかり、マラソンが始まる頃には腰を落ち着かせて観戦モードに入る。
マラソンは…なんというか逃げ馬ならぬよこし馬。
スタートからトップを駆け抜ける。
そしてトップ集団が900mほどに差し掛かる頃に横島はゴールする。
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ…スーッハーッ…美神さ〜ん、これでいいよろしいでしょうか!…て見てないんかい!」
(あのバカ、大声で呼ぶんじゃないわよ!)
横島が言っているように美神が見てないかといえばそんな事はない。
ちゃんと目立つようにゴールしたのを見届けている。
だが、何やら嫌な予感がして顔を逸らしただけなのだ。
続いて借り物競争では借りる物が書かれている紙を全部拾って一位でゴール…もっともルール違反なのでやり直しになってしまったが目立ってはいた。
「アーーー」
「うるさいわね!ちょっと黙ってなさい!」
「いや、さすがにそれは可哀想だと思いますよ」
只今12時、つまり食事の時間である。
半分のプログラムを消化したのだがもう既に横島は限界。
敷物の上で大の字で転がりひたすら叫ぶ横島を足蹴にして退けようとするがそれでも動かない。
普段の行動以外の動作で目立とうとするならともかく、人より2倍頑張って目立とうなんてのは無謀すぎる話だ。
「頑張りは少しだけ認めてあげてもいいけど邪魔には変わりないわよ」
チラッと暖かさを見せたものの横島の脇腹を強く蹴飛ばすあたり美神らしいさを炸裂させる。
「うぐお…さすがにこの仕打ちは…あぁ、新しい世界が見え——「見えんでいい!」——うっす」
重たい体を這うように移動させどうにかして座る。
それでいいのよ、とドカッと上座に見えるぐらいのオーラで座る。
「あうーーー…そういや飯なかったんだった」
親不在の男子中学生が自分で自分の弁当を作る訳もなく、幸い近所の弁当屋が体育祭の日は大量に弁当を用意してくれているので食うに困る事はない。
ちなみに他の生徒だが、今頃教室で揃って食べる事だろう。
横島だけ抜け出して美神達といるのだ。
もぞもぞ動こうと立ち上がろうとする横島を片手で制止する美神。
「ホレ、エサよ」
その言い様はどうかと思った横島だったが…口に出さなかった。
いや、出すまでもなく、明らかに頑張って作ってくれている事が分かるほどの四段重ねの弁当箱。
「おお!美神さんにしては奮発してるっすね。こりゃ槍が降る——ゲフッ」
「そんなこと言う奴には食べさせないわよ?」
唐巣神父が確かに、と心で賛同したのは内緒。
蓋を開けて出てきたのは卵焼きに始まりウインナー、唐揚げ、鮭とオーソドックスな主となるおかずに始まり、ほうれん草のお浸し、金平ごぼうなどのサブが控える。
「これぞ弁当!って感じの内容っすね」
いただきますの声と同時に喰らいつく横島。
「こらうま、こらうま」
全部を食べてしまいそうな勢いな横島に肘鉄を入れる。
「これはあんたの分だけじゃないのよ。考えて食べなさい」
「う、うっす」
まだペースが早い気もするが若干ペースを落しているようだ。
(はぁ、世話が焼けるわね〜弟の面倒を見るとはこういう感じなのかしらね?)
なんて思ってみたりするが釈然としない。
自分の心が分からず首を傾げ、考えに耽る(ふける)美神だったが唐巣神父が早く食べないとなくなりますよ、という言葉で慌てて現実に戻される。
「にしても横島クンがこの程度で疲れるとは思わなかったわね。いつもはもっとしんどいことしてるのに…国の飼い犬と鬼ごっことか」
弁当を食べ終わり、余は満足じゃ〜なんて言いながらゴロゴロしている横島に話を振る。
「そうですね。あれぐらいで疲れていては除霊の時はもっと動けないはず」
唐巣神父も同意と話しに乗る。
「いや〜なんつーかやっぱシリアスとギャグの世界ならともかく日常じゃそんなに動けないっすよ。ナンパは別っすけど」
あーはいはいと美神が流し、唐巣神父はノーコメント。
昼食は終わり、競技が再開される。
横島は変わらず界○拳3倍(下校時より低い)で大活躍。
騎馬戦では一人で相手を壊滅(男子限定)、玉入れは…下ネタに走って流れ(?)神通棍が頭には中り退場。
障害物競争は何故かリアルの悪霊が乱入して大騒ぎしたのもいい思い出。(悪霊例:原作に出てきた銀行強盗の際に出てきた悪霊ぐらい)
色々トラブルがあったが結局横島の活躍により横島のいたチームが圧勝で終わった。
書くのが面倒になったから略したって訳じゃないですよ?
だから違いますって!
ごめんなさいネタがなくなりました。
〇〇月××日
最近は平和だ。
凍結させられてた銀行も戻ってアダル——ゴホゴホッ——重要かつ貴重なグッズを購入する事も出来たし、貯金は2000万超えたのは…まあ、些細な事だ。
美神さんとはそれなりにうまくやっていると思う。
最初より断然扱いが………あれ?よくなってるどころか折檻増えてね?
まあ、それはともかく平和だ。
なぜなら…両親共に未だに海外出張中だからだ!
カップラーメンサイコー!
あ〜けど■■がなぁ〜
もっと■■■■ばなぁ〜
頑張■■■■■■ぁ〜
まあ、■■■■すればいいか
けど美神■■がなんていうかな〜
■はカップラーメンの汁が滲んで読めなくなっています。
〇〇月××日
今日は人類にとって大いなる一歩を踏み出した日となろう!
やっと女性型式神が完成したのだ!
だが、問題山積み。
どうしても意識を独立させる事が出来なかったので俺の式神を作った時のデータを積み込んでみた…まあ、予想した通り俺みたいなお姉さんが生まれた。
これは成功というべきなのか?嫌悪感しか感じへん!
俺を見て「うへへへへ〜」と笑う式神…これはダメポ。
〇〇月××日
明日従兄弟を預かる事になったからお前が面倒を見てくれとクソ親父が寝言言ってきた。
知るかボケ!貴重な休日にそんなこと出来るか!と言い返したらナイフが飛んできた。
うっかり最近開発した爆砕符を投げそうになった内緒。
面倒見る代わりに小遣いやるから…て親父?もしかして知らんのか?俺が軽く親父の収入を上回ってる事…可哀想過ぎるので面倒見てやることにした。
〇〇月××日
従兄弟はまだ幼稚園に通ってる年頃、本でも読んでやろうとグリム童話を読んであげてたら逃げた。
慌てて探したが母さんとクソ親父に知られしまったorz
見つけたのはいいが…12月頃にちょっくら富士山の頂上まで連帯責任として親父と一緒に散歩する事になった。
〇〇月××日
幸いクリスマスは登山しなくていいらしい。
よかったよかった。
…ただ大晦日は家に居れないっぽい。
マジで勘弁してくれ!
〇〇月××日
クリスマスは楽しく過ごした…かった。
厄珍から自分の店で何か買うなら5%引きするって言われてホイホイ行ってしまったのが運の尽き。
美神さんとエミさんに買ったプレゼント用のネックレスが…まさか両想いになる呪いが掛けられていたとは…こんな事なら俺とペアにしとけばよかった!
二人の様子がおかしくなり、お互いが顔を赤らませて少しずつ距離が縮まり、手と手が触れあい…いきなり服を脱ぎ始めて…う、鼻血が…写真撮っとけば良かった!
レズなんて不毛や〜〜〜〜〜…ちょっといいな〜…し、仕方なかったんや〜これは神の試練なんや〜
今考えれば唐巣神父が止めに入ったが、手伝わなければ良かっ…ゴホゴホ。
美神さんから今までの折檻がぬるま湯と思わされるほどの折檻を浴びせられた。
エミさんはエミさんで呪いに気づかなかった事にかなり落ち込んでいた。
〇〇月××日
登山前日。
美神さんが今生の別れ闇鍋パーティー開いてくれ…なくていいわ!二重の意味で!
とか言いつつも闇鍋の材料を厄珍堂で購入。
商品名:闇鍋ボックスデラックス
買った物の嫌な予感しかない(汗)
開けて中身を見ようとしたんだけど蓋が開かない。
何事かと思ったら一定の暗さじゃないと蓋は開かないらしい。
妙なところで凝るな〜
どんな効能があるかサッパリだ。
いざ始めてみると、笑いが止まらなくなる茸や短い時間だが眠くなる白菜や媚薬効果がある白滝、髪が伸びるモヤシ、などとんでもない内容だった。
食べ物を捨てるのは唐巣神父的に…俺もだけど…許せないので全部食べる事になった。
唐巣神父はモヤシを積極的に食べてたのは…仕方ない事か。
いつの間にか気を失ってて昼に始めたのに夜になってた。
そして唐巣神父がいなかったんだ。
美神さんは寝てたので襲おうとしたら寝返りパンチで撃退されました。
さすがに二度襲うのは…襲いましたが今度は起きて殴られた。
もしかして美神さん起きてたんだろうか?
それはともかく唐巣神父を探す事にしたんだけど…その影は洗面所にあった。
そして話しかけた………そ、そこにはピカピカ頭の唐巣神父がいた。
10秒はゆっくり固まり、再起動、そして出た言葉が「神父、イメチェンっすか?」
うん、半殺しにされた。
どうやら闇鍋の副作用だったらしい。
〇〇月××日
今から散歩に行ってきます。
明日には帰ってくる日記は家に置いていきます。
俺、帰ってきたら美神さんとあんな事やこんな事するんだ。(フラグキター)
それから1週間、消息不明となる二人であった。
もっとも誰も心配しなかった。
それは信頼ゆえか?
それともいない方が平和だからなのか?