毎度馬鹿馬鹿しい小咄を一つ。
閑話 反応・今昔
Ver.10 years old
いつものようにISの研究施設の方に行くと、そこには研究員とISスーツのままで談笑しているナタルさんがいた。用があるのはその研究員…キリカ・リーさんなので仕方なくそちらに歩み寄る。
「あの、リーさん」
瞬間、ぱっとナタルさんがこっちを振り返りそのまま抱きついてきた。
「ハイ、カズ!今日も可愛いなあ!」
「は、離してください、ナタルさん!」胸で息が詰まって苦しい。というかこれはセクハラではないか?
「もう、『お姉ちゃん』って呼んでって言ってるのに」
そう言いつつ、ナタルさんがゆっくり離れた。
「『ファイルスさん』を『ナタルさん』まで変えたんですから妥協してくださいよ」
顔をそらしながら、顔をそらしながら言う。大事なことなので二回言った。
どうやら気づいたのか、ナタルさんはにやにやしながらにじり寄ってくる。
「どうして顔背けるのかなー?こっち向きなよー?」
できる訳が無い。正面を見れば間違いなく豊満な双丘とご対面だ。
「ふーん、やっぱり男の子なんだねー。ドキドキするー?」
「り、リーさん、頼んでた資料お願いします
「はいはい」
「あん、待ってよー」
ナタルさんの制止を振り切り資料を受け取った俺は全力で逃げ出した。だからこんな会話が後ろでされてたなんて知らない。
「ナタル、すこしあの子のことからかい過ぎじゃない?」
「だってあの子すっごく可愛いんだもの。反応も見てて面白いし」
「…むしろあなたにショタの気があるんじゃない?まあいいわ。あとで手痛ししっぺ返しを喰らっても知らないわよ」
…この言葉が現実になることなんてそれこそ誰も知らなかったのだ。
Ver.12 years old
いつものように(ry
「キリカさん」
瞬間、ぱっとナタルさんがこっちを振り返りそのまま抱きついてきた。が、俺はそれをギリギリで素早く回避。
「ハイ、カズ!今日もかわっ、ぶっ」
結果。ナタルさんは床に抱きついた。そっちに何となく声をかける。
「大丈夫ですか、ナタルさん?」
「ひどいわカズ。原因はそっちでしょう?それと、そろそろ『お姉ちゃん』って呼んでくれてもいいじゃないかしら?」
「姉として尊敬できるような行動をとってから言ってください」
「昔はもっと私の胸でドキドキするようなかわいい子だったのに…」
「もう見慣れましたから。あ、キリカさん、資料持ってきました」
「うん、ありがとう」
「私の扱い、ひどすぎないかしら…?」
「あなたも誰かに振り回されれば分かりますよ」
ほら見ろと言わんばかりにキリカさんがナタルさんに肩をすくめてみせている。何を意味するのかいまいち分からないが、とりあえず一礼してその場を辞した。
後日、とあるアメリカの国家代表にさんざん振り回され、成長したナタルさんが俺に謝ることになるという自分の運命を、ナタルさん本人は知る由もない。というか俺も知る訳が無い。
誤字脱字、感想等あればお願いします。