いよいよ時代は本編へ。前の話が比較的長かったせいか、今回はかなり短めです。
十二話
『銀の福音』の作成が本格化し始めた頃。
季節は春に近づいていた。
「そろそろ本編か…」
『何を宇宙から電波受信してるんですかあなた。今流行だからですか?大の男がやっても気持ち悪いだけですよ』
「お前あれほどメタなこと言いまくっといて今更それかよ!?」
ともあれ一夏に電話してみる。
「一夏、受験勉強頑張ってるか?」
『おう、だが結構きついな、教えてくれないか?』
「理数なら何とかなるかもしれんが、それ以外はお前より出来ないと思うぞ?」
『な、なんでだよ?お前天才だろ?』
「こっちでは飛び級して大学出た事になってるけどな。小学校中退舐めるなよ?」
『…ああ、なるほど』
「それでどこ受けるつもりなんだ?」
『藍越学園だ』
「ふーん」
『な、なんだよ』
「いや、IS学園と似てるなーって」
『ああ、言われてみれば一字違うだけだな』
「……間違えるなよ?」
『当たり前だろ!』
録音しといた。
そして一ヶ月後、案の定、「世界で唯一ISを動かせる男子」がニュースで大きく取り上げられる事になる。
しばらく様子を見るために数日待ってから電話をかけてみた。
「見事なボケだ一夏、俺は感心したぞ」
『いや、違うんだ!』
「ほう、どこが?」
『いや、なんつーか……』
……録音していた言葉をスピーカーで再生。ポチ。
『『藍越学園だ』「ふーん」『な、なんだよ』「いや、IS学園と似てるなーって」『ああ、言われてみれば一字違うだけだな』「……間違えるなよ?」『当たり前だろ!』』
「……それで?」
『……俺が悪かったっす』
「…まあ、ISを動かすのにもいろいろ学ばなきゃなんない事がある。それを予習しとくこった」
『…?予習って、何で?』
「いや、教科書とかもらうだろう普通」
『もらってないけど?』
「いや、かなり分厚いはずだからすぐ解るはずだが」
『……あ』
「どうした?」
『…古い電話帳と間違えて捨てたかも』
「…もう回収された?」
『…多分』
大爆笑した。ずいぶんと早いな!
『ど、どうすりゃいい?』
「もう一回送ってもらうように頼んでみれば?」
『…そうする』
その後何度か聞かれるたびにいろいろ教えていたら春になった。
「授業の調子はどうだ」
『お前が春休みに教えてくれなきゃヤバかった。それにしても』
「あん?なんだ?」
『なんでお前そんなにISに詳しいんだ?たしか専門は宇宙開発だったよな?』
「……おいおい、ISの本来の目的忘れたのか?」
『そう、だったな』
そう、元々は宇宙探索のためのパワードスーツだったはずだ。
「じゃあ、切るぞ。ああそれと一夏」
『ん?なんだ?』
「女の園に一人入った気分はいかが?」
『……すごく肩身が狭い』
「……確かお前小学校の時にそう言った俺に『そんなバカな』って言ってたよな?」
『すんませんでしたー!本当にごめ「一夏!誰に何を謝っている!?」』
「…どうしたんだ?」
『いや、箒がな。箒!、今カズと話しているんだ。後にしてくれー』
『そ、そうか』
「…なんで箒がお前の部屋にいる?いや、あいつがIS学園にいるのには納得いくが」
ISの生みの親の妹だ。当然だろう。
『…同じ部屋なんだ』
「…すまん、耳が変になったみたいだ。もう一回言ってくれ」
『だから同じ部屋なんだって』
「…すまん、ちょっと用事が出来た。…さて、FBIに電話しなきゃ。いや、この場合はインターポールか?」
『いや待て違う!警察沙汰になるような事態じゃない!』
「どう見たって警察必要な事態じゃないか?」
『だから違うんだって!不可抗力なんだ』
「男の言い訳は見苦しいぞ一夏」
『違う!これは弁明だ!』
……やべえ、一夏いじるの超楽しい。
『SにBLですか、最悪ですね』
「BLじゃねえしお前ほどドSじゃねえよ!」
『いえ、それほどでも』
「ほめてない!」
まだオリ主はIS学園には行きません。理由も、行くタイミングも、……まあ、だいたい読めば解りますよね?