次回から少し更新速度緩めます。週一あるいは二になります。
詳しくは活動報告の重大発表をご覧ください。
さりげに今回最長記録更新。
十四話
「カズー!ほらこっちこっち!」
「……なんで俺ここにいるんだっけ」
『ナタルさんの水着を選ぶためでは?』
そうでした。
ええ、なんというか連れられて来ております。これがリア充なのか……!
『いえ、イロモノ同士相性が良かっただけでは?』
いや俺を魔眼王閣下と一緒にするな。容姿はいいし(繰り返すが早乙女アルト)、多分やる時はやっている。俺に近づく女は皆イロモノとかそう言うのはさすがにない。ナタルさんはちょっと天然だけど美人でいい人だ。
「……そう言われると照れるわね」
目の前でナタルさんが照れていた。
ため息をつき、
「確か今度ハワイに試験稼働に行くからそれ終わったらそのままバカンスだって事でナタルさん胸がきつくなって水着新しく買わないといけないからそれ見繕うためにつれてこられたんですよねあってますかあってたら返事をどうぞ」
「あってるけどなんで句読点つけないでしかも説明っぽい台詞なのかしら……?」
「じゃあさっさといきましょう」こういうのはスルーが一番。
「ええ、そうね」
そういうことになった。
というわけでデパートの水着売り場にやってきた。
「ねえ、カズ。どういう水着がいいと思う?」
「別に何着ても似合うんじゃないんですか?」
「もう、カズは女心がわかってないなー」
むう、とナタルさんほおを膨らませる。
「そうですね、じゃあこれとかどうですか」
「?何も見えないけど?」
「これは『バカには見えない水着』です」
「……バカにするなー!」
顔を真っ赤にして怒られた。
よし、まじめに選ぶか。
『最初からまじめに選ぶという選択肢はなかったのですか』
「だって面白くないし」
『そうですか……ならあれはどうです?ほらあなたの10時方向辺りにある奴』
手に取ってみた。
真っ赤なTバックだった。
あまりの衝撃に持ったまま立ち尽くしていると後ろからやってきたナタルさんが
「え、これはちょっと…ま、まあカズの好みなら着るのも流鏑馬ではないけど」
「いや、好みじゃないです!って言うかどうしたらそんなうまい間違え方出来るんですか」
「失礼、噛みました」
「違う、わざとで…」
「かみまみた」
「わざとじゃないが声が違う気がする!」
「垣間見た」
「何をですか!?」
さすがにしょうがないのでまじめに選ぶ事にする。
すぐ見つけた。
「ほら、これとかどうです?」
青いビキニだった。金髪がよく映えると思う。
「うん、じゃあ着てみるからちょっと待ってて」
……なんだこの疑似リア充的状況。
『疑似と言ったる辺りが悲しいですしね』
いや、考えてみればこうならない方がおかしかったのかもしれない。女子ばっかのところにレンタルされている訳だし。
『あなたはそれなのに童貞を30まで守り続けて称号「
「様々なところに喧嘩を売る下ネタ発言はやめろ。お前女性人格だったよな?」
そんなくだらない話をエーネとしていると、着替えたナタルさんが出てきた。若干もじもじしている。
不覚にも少しときめいた。
「ど、どう、かな……?」
目の前に青いビキニを着たナターシャさんが現れた。コマンド?→調べる。
やはり第一印象としてうまい感じで水着の色が金髪にあっている。その次に見て取れるのは女性特有のふくらみが強調されているデザインだ。腹ではない、念のため。アンダーの方も白くてきれいな素足を強調している。
長々と解説しているが評価にすると簡単だ……
そんな事はいっさい口にせずに取り敢えず一言。
「…似合っていると思いますよ。予想通りです」
「…うん、じゃあ、これにするね!」
「いいんですか、他のとか見ないで?」
「いいの!折角カズが選んでくれたんだし」
そう言うと、ナタルさんは足取り軽く、カウンターへと向かった。
その次の日、一夏から連絡がかかってきた。内容は二つ。
一つ目、シャルロット・デュノアをどうにかできないか。
二つ目、シュヴァルツェア・レーゲンの特徴を聞きたい。
「ふむ、シャルロット・デュノアについては多分何とかなる、と思う」
『本当か!?』
「まああくまで多分、だがな。卒業後にこっちで預かる事にすればいい。アメリカのテストパイロット、あるいは代表候補になる形になるが、まあそこらへんは納得してもらうしかない。利益もなしに危険を背負い込んでくれと俺が頼んでも国が納得してくれないからな。まあデュノア社が潰れたりすれば、本国に呼び戻されるにしても同情は受けるだろうし問題ないかもしれないが」
『そっか……よかった』
「まあお前の言う通り、IS学園の特記事項を使えば三年は保つんだ。その間の状況の変化を見てから判断しても遅くはないだろう」
『わかった。ありがとな』
「気にするな。俺だってそう言うのは気に食わないしな。それで
『……ああ』
「この前ブルー・ティアーズの時にイグニッション・プランの説明はしたな?」
『ああ、欧州連合の統合防衛計画だろ。セシリアも言ってた。EUにおける第三世代の次期主力機を決めるんだろ?たしかイギリスのティアーズ型が実用化で一歩先んじているとかなんとか』
「そこまでわかっているなら話は早い。名の通り、シュヴァルツェア・レーゲンはそのイグニッション・プランにおけるドイツのレーゲン型だ」
『特徴を教えてくれ』
「まず第三世代の特徴は知っているか?」
『いや、第一、第二も怪しい』
「全く……。第一の目標は『ISの完成』。第二の目標は『後付武装による多様化』。第三の目標は『イメージインターフェースを利用した特殊兵器の実装』だ。BT
『ふむ、じゃあシュヴァルツェア・レーゲンの特殊兵器っていうのは?』
「AIC……アクティブ・イナーシャル・キャンセラー。慣性停止結界だ」
『ええと、春の時にお前が教えてくれたPICと関係あるのか?』
「よく覚えていたな。忘れていないようでほっとした。アクティブとパッシブ…つまり能動的にやるか受動的にやるかの違いだ」
『能動と受動…?』
「……お前は日本語の勉強もした方がいいんじゃないか?」
『や、お前それはひどいだろ!』
「事実じゃないか?まあいい、PICは受動的、つまり自分のISの動きに対して発生する慣性を遮断する。で、AICっていうのはそれを相手のIS、あるいは攻撃に対し用いる。『弾丸の慣性を止めると弾丸の動きが止まる』とか考えるとわかりやすいか?」
『つまり、相手の動きを止める…?』
「そういう事だ」
『おいおい、そんなのに弱点とかあるのかよ!?』
動揺したらしい。まあ、無理もないか。
「落ち着け。さっきも言ったが、AICはイメージインターフェースを用いた兵器だ。つまりきっちりイメージ出来なければ発動できない」
『つまり、イメージさせなければいい……』
「そこまで出来なくても、相手の集中を乱せばいい。それに動きを止めるといっても、ISの動き全てを止めるわけじゃあない。…だが」
『だが?』
「お前にとっての相性が凄まじく悪い」
『………』
「お前の武器は一つだけだ。相手の集中を乱す……というのは二つの同時攻撃とかが基本だ。相手が武器を一つ持っているだけならそれに集中するだけでいい。お前がそいつと一対一で戦う場合は、慣性停止結界をくぐり抜け近づいて斬るという手段しかない。しかも一度止められたら一方的にやられる。ついでにいうと、そいつはドイツの代表候補、そう簡単には近づけさせてくれないだろうな」
『……ああ』
「かなり勝率は低い。そこは覚悟しておけ」
『……わかった。ああ、そうだ。なんでそんなに詳しいんだ?他国のISだろ?』
「…俺が仕事してる会社の本社の正面にな、情報を扱う
『ふーん、そうなのか』
「そうだ。じゃあ切るぞ」
『ああ、サンキュな』
電話を切る。さて、一夏は大丈夫かな……?
Side シャルロット・デュノア
一夏が僕の事についてなんとかできそうな人に心当たりがある、というのでその人に電話をかける事になった。
「もしもし、カズ?今大丈夫か?」
カズって誰だろう…?
その後、僕の話とドイツの代表候補生、ラウラ・ボーデヴィッヒが乗るシュヴァルツェア・レーゲンの話になった。
途中まで一夏はうれしそうな顔をして話をしていたけど、だんだんと真剣な表情になり、最後は少し暗い表情になった。
PICとかが話に出てたし……少し途中で動揺してたけど、大丈夫かな。
そんな僕の心配をよそに、電話を切った一夏はこっちに向き直った。
とりあえず僕は一つ聞く。
「誰と話していたの?」
「ああ、アメリカにいる俺の親友……桜井和人だ」
「桜井和人!?」
現在、もっとも凄まじい天才とされている篠ノ之博士と並び立つとされるもう一人の世界最高の天才だ。僕や一夏と同い年で、数年前の空間跳躍技術、ナノマシン技術、重力制御技術の開発による効果は計り知れない。
最近ではISの宇宙空間での支援を目的とした、従来の戦闘機を遥かに超えるスペックを誇る可変戦闘機を開発した事でも有名だ。
そんな人が親友なんて……一夏の交友範囲ってすごいな。
「ああ、それでシャルの方は多分何とかなるってさ」
「本当に!?」
詳しい説明を受けると納得した。そして、もし三年間の間に状況変化がない限り、彼のいう通り僕はアメリカに行こうと思う。
「良かったな。それでシュヴァルツェア・レーゲンの方だけど…」
「うん……」
相性の説明も理解した。AICか…厄介だね。…けど、
「それにしてもなんでそんなに彼は詳しいの?軍の階級的には中将クラスらしいけど、それだけじゃ説明付かないよ…」
「うん、なんでもな、あいつが仕事してる会社の本社の正面に、情報を扱う
「……ね、一夏」
「うん?なんだ、シャル」
「桜井博士って確かS&B社所属だったよね?」
「ああ、確かそんな名前だったな」
「本社の場所はヴァージニア州マクレーン…」
「そこまではよく知らないが」
「確かそこ、すごく有名な情報機関の本庁があるんだよ」
「へえ、そうなのか。どんな名前なんだ?」
「アメリカ中央情報局……CIAだよ」
絶句する一夏を見ながら、僕も驚きを禁じ得なかった。
一夏の交友範囲にもびっくりしたけど……
CIAの長官と仲いいって…どんな交友範囲なのさ!
そろそろ二巻も終わりが見えてきました。早すぎるのは作者の文才のなさのせいですな。
そして事件ももうすぐです。
感想誤字脱字等あればよろしくお願いします。