今回のIS紹介が実は一番心配だったり。………ネタ全開だけど被ってないよな?
やめて! 石を投げないでー!
二十話
「出来た…………!これが、俺のIS………!」
俺は青と白のツートンの機体を見上げ、会心の出来にそれ以上声が出なかった。
機体名は「
………が、書類の上では第三世代ということになっている。展開装甲の理論がまだ完成しておらず、あくまで実験機であるということを強調したらわかってもらえた。実際、第三世代特有のイメージインターフェースを使った武装を載せているしな。
さて、その武装はと言うと、二種類ある。
一つ目は右腕に装備する電磁砲剣「ストライクカノン」。中、長距離射撃のレールキャノンと、近接戦用のプラズマブレードの切り替えが可能な複合兵器。もう一つ、通常時は使えない機能があるんだが……それは後で。
二つ目は、ブルー・ティアーズのビットのように制御し射撃等の攻撃が出来る、三つからなる総合支援多目的盾『フォートレス』。
それぞれの盾は「砲戦用の大型粒子砲」「中距離戦用プラズマ砲」「近接近用実体剣」を内蔵している。大型粒子砲とプラズマ砲はかなり調整して燃費を良くしたので、白式ほどの燃費の悪さは無い。無論、両方とも連射は出来ないが。
重力制御技術の運用(これが第三世代の特殊武器だ)によりたいていの攻撃をこれらの盾で防ぎ(逸らし)つつ攻撃、というかたちを取っている。BTの攻撃のフレキシブルと対になる、防御のフレキシブルということだ。空間圧作用兵器の衝撃砲や、AICはこれに対して致命的に相性が悪い。普通の射撃もあまり通じないしな。まさに鉄壁。
また、この『フォートレス』には大型スラスターとしての機能もあり、左腕、及び腰の両側に接続することも出来る。
無論、このとき左腕に装着される盾の射撃機能等は健在だ。この場合火力能力及び速度は上昇するが、相手の死角からの攻撃が出来なくなる……相手の動きをあまり牽制できなくなるという欠点もある。
……うん、とっくの昔にわかってると思うがこの装備、相当あれである。ぶっちゃけるが、とある魔法戦記に出てくる25歳独身女性が操ってる兵器を基本的にモデルにしている。
だから機体の名前も「
名前を「シリウス」にしたのは青白く光り輝く一番星になりたいというのが大きい。
その後、フィッティングとパーソナライズが終わった。にしても、キリカさん達も、アップル研究員達も手伝ってくれるとはいえ、それぞれ福音と第三世代VF作るのに忙しいから、こっちも片手間になってしまう。そのため専用の部下を貸してもらったのだが、これがまたあまり使えないのだ。今もフィッティング等を手伝ってくれていたが、キリカさんの方が三倍は速かった。
「さて、じゃ、起動実験だな」
『「フォートレス」の操作、手伝いましょうか?』
「いや、取り敢えず今回は自分でやってみる」
エーネの申し出を断り、俺は飛翔した。
射撃と近接、および第三世代兵器の重力歪曲防御の使用が良好であることを確認して、戻ろうとすると、
「あら、カズ! もう完成したの?」
ナタルに声をかけられた。銀の福音を装着しているから、多分こちらと同じく試験稼働中なんだろう。
「うん、まあ」
「そうなんだ……じゃあ模擬戦してみない?」
「やだ」
「………どうして?」
とたんに涙目になるが、俺は半目のままだった。
「軍用と競技用じゃエネルギーの容量が違うでしょうが! 未経験だから勝てねーのは当たり前だけど、ここまで勝負見えてたらやる気も失せるわ普通!」
「あ、ごめん、忘れてた。エネルギーのリミッター掛けるからその上でどう?」
「……ならいいけど、あまりやり過ぎるなよ。あっちの話も聞いただろ?」
「………うん」
ナタルが頷く。
実を言うと、『銀の福音が封印を免れた』というのは最重要秘匿事項である。
現在、福音は封印処理がされ、『地図にない基地』にあるということになっている。
第二世代の『アラクネ』を奪った相手を疑似餌を用いて釣り上げようと言うのだ。
だから、それまではあまり目立たないようにしなければならない。
今いる場所も大きな室内のドームだ。
「じゃあ、やりましょ?」
「……はいはい」
試合開始の合図と同時に、俺とナタルは動き出した。
(まずは距離をとる………)
遠距離攻撃も脅威ではあるが、切り刻まれるよりはましだし、こちらも火力面では充実している。
福音も天狼も万能型ではあるが、どちらかと言えば福音は近距離向き、天狼は遠距離向きである。
なら有利な距離で戦うべき。
俺は左腕に装着したフォートレスの一部……実体剣内蔵型の盾を相手へといつでも向けられるように意識しつつ、
残り二つの攻撃機構で持って相手を牽制しながら距離をとる。
そこからレールキャノンを射出。
福音はそれを躱し、あるいはエネルギーブレードの翼で防ぎながらこちらに迫ってくる。牽制もしているが、あまり効果がないようだ。こちらも、防御能力が自慢なだけあって相手が時々撃ってくるエネルギー弾をなんとか防いでいる。事態はこちらにやや不利な状態で膠着しつつあった。
(しょうがないか……)
ため息をつき呟く。
「右腕部展開」
その瞬間ストライクカノンの形状が変わる。ブレードが消え、レールキャノンの形が普通の砲からガトリングへと変化する。
ガトリングレールキャノン。毎分四千発、凄まじい威力を誇る弾丸を叩き込む。これのためだけに展開装甲を載せたと言ってもほとんど過言ではない。エネルギー消費が激しいのが難点で、十分撃ち続けられるかどうかというところ。その上、これを使っている間、フォートレスの稼働能力が落ちる。エーネの助けがあれば別だろうけど。
ハイパーセンサーを装備して、装甲展開して反動をある程度弱めていても反動制御と機動だけで精一杯なのだ。某世界の学園都市すげえと思った瞬間である。
とはいえ、最大火力。ここで使った方がいいだろう。
「ちょ……………!」
ナタルは途中まで必死で避けていたが、ある程度の距離まで近づくや否や、ブレードによる防御を展開したまま突っ込んできた。
後退しながら撃ち続けるが、あまり徹ってはいないようだ。いや、防御を貫通してはいるが、エネルギブレードによる軽減の結果大したことの無いレベルのダメージになっているのかもしれない。
即座に展開装甲及びガトリングレールキャノンを終了してもとの形に戻し、両側から迫ってくるエネルギーブレードをフォートレスの盾二つで防ぎながら、ストライクカノンをプラズマブレードに変え、左腕の盾から実体剣を出現させ、二刀で近距離戦を展開する。
ギィン! ギィン!
ぶつかりあう刃。距離をとろうとしても、ナタルは今度こそそれを許してくれない。
最終的に、俺は敗れた。
「経験無しでよく持ったと思うわよ?何度かひやりとさせられたし。VFの操作経験が大きいのかしら」
試合終了後、ナタルはそう言った。
「これからはISの経験も必要だけどな……はあ」
「じゃあ教えてあげるわ。データとるのにもちょうどいいだろうし」
どう? と聞いて、俺の目を覗き込んでくるナタル。なんと言うか、「できるだけそばにいたい」という気持ちがありありと伝わって来て困る。
「えーと……」
「………返事、まだもらえないのね」
俺の様子から察したナタルはそう呟いた。
「いや、なんつーかさ………ナタルをそういう一人の女性として見るっていきなり言われても難しいからさ」
「じゃあどんな風に見えてたの?」
ナタルの問いに俺は即答した。
「セクハラ好きでISの操縦が出来るダメなお姉さん」
「ひどっ!」
「普段の言動思い返してみろや!」
ナタルが涙目になるが、俺はバッサリ斬り捨てた。普段のセクハラとか結構きつかったのである。
「……ごめん」
「………まあ、今度IS学園卒業してお互い相手がいなかったら考えよう」
「その時多分、私はともかくカズは相手いると思うなあ……あっちには可愛い女の子いっぱいいるだろうし」
寂しそうに言うので、俺は思わずこう言ってしまった。
「その時は自分の魅力で俺を振り返らせてみてよ。そしたら考え直すかもよ?」
「……うん。わかった」
頷いたときのナタルの目はマジだった。
………ヤバい、これ、修羅場フラグかも。や、でもきっともう全員一夏がオトしてるはずだし………。
………この時俺は、恋する女の子の真の強さにまだ気づいていなかった。
イーリとも試合をしてやっぱり負けた。さすが国家代表。
夏休みいっぱい、豪華な二人からISの操作を教えてもらって、
俺は日本へと帰った。
………余談であるが、空港に見送りにきた皆の前で、ナタルが抱きついてきて、「またね」と囁いてからキスをしてきた。
………皆からのからかいが凄く恥ずかしかった。
そんなわけで管理局の白い魔王ですこれからよろしく的でなおかつファイブオーバーな装備でした。
つけようとした名前の方はもうひとつ由来があったり。
今回ほど感想怖いのは今まで無かったよーな………
でも! 感想誤字脱字等あればよろしくお願いします!
貶されたらへこむけど!
あ、忘れてましたけど話の速度が予想外に早く進んでいるので週二から週一にそのうち切り替えるかもです。
次回は閑話!