活動報告でも書きました通り、PV200万を突破しました。多分一番作者が驚いてます。まだ初めて3ヶ月も経ってないのに……。
本当にいつも見てくださっている皆さん、ありがとうございます。皆さんの声援無くしてこの小説はありません。
今回はその記念的な感じ。NGシーンじゃないやつです。
閑話 お母さん
ある朝のこと。
シャルロット・デュノアはラウラ・ボーデヴィッヒを揺すぶって起こしていた。
「ほらラウラ、起きて! 今日は一夏の朝練があるからいつもより早いんでしょ?」
しかし、ラウラは珍しく、やや眉を寄せて首を振る。
「むぅう、あと五分」
「そうしたら遅刻だよ! ああ、もう!」
我慢できなくなったのかシャルロットは掛け布団をひっぺがした。無理矢理ラウラを立たせる。
「ほら、まずは服を着替える!」
「ん〜」
夢心地のままラウラは頷く。シャルロットはテキパキとボタンを外し、あらかじめ横に用意しておいたラウラの制服を着るのを手伝っていく。
「ほら、顔洗って!」
「んー、わかった…………
寝ぼけた頭で発せられたその一言が問題だった。
バシャバシャと顔を洗って、目を覚ましてすっきりした表情となったラウラはシャルロットの方を見る。
「すまんな、シャルロット。よし、朝練に行くとしよう」
だが、シャルロットは俯いて肩を震わせるばかり。
「おい、どうしたんだシャルロット? 具合でも……」
「だれが………」
小さく漏れたシャルロットの言葉にラウラは首を傾げる。
「ん?」
「誰が、お母さんなのさ!?」
その叫びは、一年生寮に余すところなく響き渡り………はしなかったが、それでも近くにいた少女達はビクゥッ! と棒立ちになった。
「なるほど、それで朝からシャルの機嫌が悪かったのか」
一夏はご飯を飲み込んでから納得の声を上げる。
「いや、本当に済まない。機嫌を直してくれないか?」
「……別に、機嫌悪くなんてなってないし。この歳で『お母さん』は嫌だとか思ってないし」
ボーデヴィッヒの謝罪に口を尖らせてシャルロットは言うが、どう見ても説得力がない。
「まあ、怒りたくなるのもわからなくはないけどな」
「へぇ、奇遇だな、俺もだよ」
うんうん頷く一夏に同意すると、鈴が疑いの目を向けてきた。
「なんでよりにもよってあんたらがそこで意気投合するのよ?」
「「だって経験あるし」」
偶然にも声を揃えたらますます不審な顔をした。
箒がさらに疑わしそうに言う。
「『お母さん』と呼ばれた経験がか? お前達、自分の性別を理解しているだろうな?」
「それがあるんだよなぁ……。男なのに」
「お前もか………?」
「「………はぁ」」
お互い確認し、二人してため息をつく。
「ちょ、ちょっと興味がありますわ。話して頂けませんこと?」
「じゃあ、まずは俺から……」
まずは一夏が語り始めた。
〜一夏の話〜
智子さん……カズの母さんの助けがあったとはいえ、もともと親に捨てられて千冬姉とたった二人で生きてきたこともあって、家事とかは小学校の後半辺りには全て出来るようになってたんだよ。
カズがアメリカに行っちまった後は、最強の溝掃除用具『雪片』を使って風呂場やら窓枠やらの掃除をするのが幸せになりつつあったな。名前を聞いて千冬姉にチョップされたけど。
で、その後、皆にはもう話したけど第二回モンド・グロッソで俺はさらわれて、凄く悔しかったけど俺には何にも出来なかった。
だからまずは千冬姉を支えることが出来るようになろうと思って、取り敢えず家に居る時に千冬姉が極力リラックスできるように頑張ろうと思ったんだ。マッサージとかもそれの成果だ。
それでな、中学の時に千冬姉が珍しく早くに帰宅したときだ。あの頃はいろいろ忙しかったみたいでな。なかなか帰って来なかったから俺も心配してたんだ。
玄関口でスーツの上を受け取って、連絡を聞いてから茹でておいたた枝豆をつまみにして、冷蔵庫で冷やしておいたジョッキに同じく冷やしておいたビールを注いだら、いきなりこう言い出したんだ。
「全く、これでは私は仕事にかかり切りになる典型的なダメ親父のようだな」
自嘲してるみたいな感じだったから、晩飯作りながら取り敢えず俺は励ましてみた。
「しょうがないさ、忙しいんだろ? 家のことは俺に任せろよ。きっちり守っとくからさ」
そんなことを言ったら、千冬姉は何故か苦笑した。
「母親みたいなことを言うんだな」
……は?
「誰が母親だ。だいたい俺は男だぞ? つかそんな歳じゃない」
俺が抗議すると、ますます千冬姉は苦笑を深めた。
「年齢の問題じゃないさ。……今の言葉、智子さんにそっくりだったぞ」
「うっ…………」
実際似たようなことを言っていたのを思い出し、俺は言葉に詰まった。
「ま、家のことは任せたぞ。………お母さん?」
からかうような一言に俺は返す言葉がなかった。
「……とまあ、こんな感じなんだが。………どうした皆、そんな落ち込んだ表情で」
「……やっぱり、一番の強敵は織斑先生なのかな……」
「夫婦みたいなやり取りでしたわね……」
どんよりと落ち込んでいるヒロインズ。
???と頭の上ではてなマークが全開になっている一夏の肩を俺は涙を拭いながらポンと叩いた。
「そっとしておいてやれ」
「あ、あぁ………」
一夏がよく分からんながらも頷いたところで、鈴ががばっと顔を上げた。
「っと! そう言えば和人の話が終わってなかったじゃない」
「そういや俺も気になってたんだ。ウチと違ってカズには智子さんっていう一部アレだけど基本的にいい母親がいるじゃないか?」
「おい一夏、母さんの評価酷くないか!? いや事実だけど!」
「じゃあいいじゃん」
奥ゆかしさというか礼儀みたいなのは必要だろと言い返そうとしたら、少女達までうんうん頷いていた。母さんめ、俺が居ない間に一体全体何をしでかしたんだ?
まあ、その件については後にするか。俺はため息をついて一夏の疑問に答える。
「まあお前の言うことは間違ってなかったよ。でもアメリカの方に行った時母さんいなくて、自分で生活するっていうことがどうしても必要だったんだ……」
そんなわけで回想スタート。
あれは福音開発のためIS研究所にいた頃のこと。
「お疲れ様でーす」
いつもの調子で挨拶しながら入っていくと、
「……あら、お疲れ様。今日もありがとね」
白衣の下は下着だけというラフ度全開なキリカさんが現れた。
「全くなんて格好してるんですかみっともない。早く上着を着てください」
「大丈夫よ、誰が見るわけでも無し」
ぱたぱた白衣で扇いでみせられた。
「俺が居るでしょうが! っていうかそういう問題じゃないんです。心構えの問題なのです。服装きっちりしないときっちりした仕事が出来ませんよ!」
「はぁーい」
しぶしぶ衣服を取りに行ったところで今度は別の人物が欠伸をしながらパソコンと向き合ってるのを見咎めた。
「あ、シャロンさんなんでここに居るんですか。休むようにって昨日言いましたよね! 目の隈酷いことになってますよ!」
「えー、でもー」
「デモもストもありません!」
「はぁーい」
「ふふ、君はまるで彼女達の母親のようだな」
毎度この人はいきなり現れるから困る。
「あ、所長。お疲れ様……って誰が母親ですか!」
俺の突っ込みを聞いた周りの連中が悪ノリしてきた。
「お母さん朝ご飯まだー?」
「今作ってあげるから待ってください。そしてお母さんじゃありません」
「お母さん、服何着ればいいの?」
「自分で決めなさい、あなたも小さな子供じゃないんだから。そしてお母さん違います」
「「「お母さーん………」」」
「だから何度も言うけど俺はお母さんじゃないんですってば!」
「とまあ、こんな感じだ」
皆なぜか非常に微妙な表情をしていた。
「いや、それは……」
「お母さんだな」
「お母さんですわね」
「だからお母さんじゃないって言っとるだろうがっ!」
俺が怒るが、一夏が微妙な表情のまま、なんだろう、末期がんを宣告する医者の超軽い版みたいな感じで告げてきた。
「あのなカズ。お前、アメリカから健康サンダル持ってきてただろ?」
「ん? ああ」
「……あれ、全く同じのを智子さんが持ってたぞ」
「マジで!?」
俺は目を剥いた。驚愕したからである。
「ていうか、健康サンダル? あれ足の裏痛くならないの?」
鈴の半目の問いに俺は首を傾げた。
「え、ならないけど?」
「お母さんだ」
「お母さまですわね」
オルコットと箒がうんうん頷くのに俺は大変ショックを受けた。
「え!? なに!? 健康サンダル履いて痛くならなかったらお母さんなの!?」
「そうだね……」
「そうだな。ま、がんばれ……」
デュノアと一夏が非常に嫌なスマイルを俺に見せた。
「「お母さん?」」
「お母さんじゃないしお前らには言われたくないわ!」
四面楚歌の中、俺は一人悲しく絶叫した。
………「朝食のときは静かにしろ」と織斑先生に殴られた。
『
「確かに俺はお前の生みの親だけどその呼び方はなんかむかつく……!」
とまあひたすらネタというか、ギャグ全開でした。
200万PV記念もこんなんでごめんなさい(土下座)。
これの元ネタわかる人、友達になってください、いやマジで。
そして衝撃の新事実をついさっき知りました。
IS8巻、8月に発売……しないそうです。
………どうしましょー!?
あ、ソースは「ラノベの杜」さんというラノベの発売予定を大量に載せていらっしゃるサイトさんです。もう何年もお世話になってます。
予定が、予定が…………!
やっぱり週一にすべきなのか………?