今回の更新早いじゃないかと思ったあなた。理由が色々あるのです。
まあ詳しくはあとがきで。
そうそう、注意しておきますが冒頭部にBL(笑)シーンがありますので苦手な方は飛ばしてくださいな。
さあここからはギャグ全開だー!
三十七話
学園祭の翌日のことである。
『だ、だめ、そこはアッー!』
『くっ、お前から誘ってきたくせに、よっ』
『だ、だめ、もう私のシールドエネルギーが零になっちゃ………!』
『お、俺も零落白夜のエネルギーが底をつきそうだ……!』
『あ、あ………!』
『う、く………!』
『『ユニバァースッッーーーーーー!!!!』』
………………開いていた薄い本を閉じ、俺は何とも言えない目で横にいる親友を見やった。
その親友は頭を抱えて机に突っ伏していた。
仕方ないので声をかけてみる。
「なあ………」
「言うな」
「これ………」
「言わないでくれ頼むから」
「どう見たって俺とお前がモデ………」
「言うなって言ってるだろ!」
割とガチで切れてきた。本気で涙目だった一夏から、少し目を逸らす。
そんなこと言われたって………。
もう一度、その薄い本を見やる。先ほど相川さんが落としたものを偶然拾ってしまったものだ。
思いっきり女装メイドと執事が絡み合っていた。
タイトルは「飲み込め俺の雪片弐型〜メイドと執事の禁断ラブ〜」らしい。『男子トイレの秘密! 禁断の桃源郷がそこにある!』なんてキャッチコピーまでついてた。
しかしどう見たって年齢制限突破してるような気がするがいいのだろうか。
『いいんじゃないですか? だって
答えた機械水晶を半目で見やる。
「なあ、エーネ」
『なんでしょう』
「お前、こうなること………予想してた?」
『ええ、少なくともそう言うことを書く人間がいるのではないかとは』
「なぜ言わなかった………!」
『そうなると面白くないでしょう?』
一瞬本気で殺意が湧いた。
「お前最近俺の外付け良心回路として機能してるか本当に!?」
『ええ、少なくともあなたよりも周りへのダメージは少ないでしょう?』
「驚愕の事実が発覚した!」
俺は良心的であろうと周りに精神的ダメージを与えるのか!
「つーか………」
幽鬼のようにふらふらと這い上がった一夏がこっちにつかみかかってきた。
「そもそもお前がノリノリでメイドやったのが問題なんだろうが!」
負けじとつかみ返す。こっちだって言いたいことはある。
「俺の黒歴史バラして反対もせずに女子の皆ノせてメイド服可決させたのはお前だろうが!」
にらみ合っていた時に横から聞いたことのある声が。
「ふむ、今度は制服同士……殴り合っての友情ルートで新しい層を開拓すべきかしら……」
「「
グルグルにらみ合ってた俺達は同時に黛先輩に顔を向けて食って掛かった。思わず敬語を忘れる程度にはキレていた。
「さあ、どうかしらねー? 私たちは持ち込まれた原稿なら何だって紹介しちゃうからねー?」
「く、大本はどこだ………!」
走り去っていった先輩を睨み、唸る。
IS学園内部で、予想だにしなかった影との戦いが始まりつつあった。
……………というか、同室になったのもこの分だと失敗だったかもしれない。
そんなわけで生徒会での副会長になった一夏は派遣されるようになった後も色々苦労することになる。
「なんで男同士の関係で『馴れ初めは?』って質問がくるんだよ………」
とは、後の死にかけた一夏の言である。
俺? 生徒会室に引きこもるか部屋で遊ぶか研究するか練習するかの四択に絞るから大丈夫。
そうそう、会長から聞いたけどVFが
こっち側から探知ってのもありなんだけど……IS使って割と中の回路強引に弄くられたみたいだから結構厳しいんだよな……。
自室で頭を悩ませていると、通信が来た。あれ、これは…………イーリ?
『よおカズ、今平気か?』
「ああ、大丈夫だよ。……すまん、アラクネ壊しちゃった上コアは持ってかれてしまった」
『……ああ。それはいいさ。しょうがないし、こっちはこっちでなんとかしてみる。新しい相棒と一緒にな』
新しい相棒………第三世代IS『ファング・クエイク』か。
「……あれ? その話で連絡してきたんじゃなかったの?」
『いや、そうじゃなくてだな………』
珍しくイーリが言いよどんだ。
『その、な。女ばっかりで嫌になったからって同性に走ることはないと思うぞ?』
………………は?
『いや、その………
見せられたのは先ほど微妙な顔をさせられた同人誌であった。
IS学園における最大の黒歴史となりそうなそれはもう既に海を渡ったらしい。
「いや、それ………」
『それ見てナタルがすごいどんよりしてるんだよ。「どうしたらいいのかしら………」って』
「いやだからそれ創作! 一部の女子の妄想だから! 事実はないから! 本当に!」
気付けよナタルも!
『うん、わかった。わかったから………な?』
「なんで同情するような目線なんだよ!?」
そっちが望んだ展開だろうに! ここは「誤解で良かった」で済む話じゃないのか!?
『じゃあ、ナタルにも連絡しとけよ……?』
「わかったからその慰めるような目をヤメロ!」
俺の絶叫とともに通信は切れた。
…………その後、涙目のナタルを納得させるのに多大な時間を要したことは言うまでもない。
………途中で一夏が同じ部屋だということを知られたせいで話がこじれたのが一番ひどかったと思うんだ。
さらにその翌日の放課後。
今日は速攻で生徒会室に引きこもる。
ちなみに役職は会計。虚先輩は書記、のほほんさんは庶務だそうな。入った瞬間に決定した。
のほほんさんが暗器蹴り飛ばしたり会長に惚れたり惚れさせたりなんて展開は…………ないな。
『そもそも生徒会長のなり方が違いますからね』
「あっちのアニメ化は色々大変そうだなー。倫理面辺りで」
仕事と言っても、資産の運用とかはだめらしいので真面目にグラフなり表なり文書なりプレゼンなり………ってもう全部終わってるし。
だらーっとしながらエーネと会話していると、のほほんさんが入ってきた。
「あれー、お姉ちゃん達は〜?」
そう、言っていなかったがのほほんさんがここに入ってきた二人目である。
「会長と一夏は修行中。虚さんはなんか一夏の扱いについてテニス部と話してくるとか言ってた」
俺がやれという話なのだが、そもそも俺が来た時にもういなかったのだ。残ってたのは書き置きだけ。
机の上に上半身を横たえながら答えると、
「そっか〜」
ふにょん、と背中に暖かくて柔らかい感触。
うん? これって…………。
………のほほんさんに抱きつかれてる?
「この前も言ったけどー」
のほほんとした声が耳元で響く。
「助けてくれてありがと〜」
「………どういたしまして。まあ巻き込んじゃったのは俺の責任でもあるしね」
一夏を追いかける時の作戦とか考えたのは俺だし。
「でもー、逃げられなかったのは私のミス。助けてくれたとき凄く嬉しかったよ〜」
より強く抱きしめて囁きかけられた。
「だぁいすき」
……え?
と、のほほんさんは抱きつくのをやめて、少し離れる。あわてて向き直ると微笑んでいて、
「お仕事ないなら学食行ってくるねー。期間限定のおいしいケーキがあるんだって〜」
そう言って、生徒会室から出て行った。
とりあえず、中空を見つめて言葉を探す。
「なあ、エーネ」
『なんでしょう』
「…………どうしよう?」
『自分で決めてくださいこのヘタレ』
自分の作ったAIにバッサリ切られた。
良心回路曰く「ヘタレ」な俺が、今回も返事を保留にしたことは言うまでもない。
さてこれにて5巻編は終了です。
で、この前のあとがきで書いたアレが完成しました!やったぁー!
書いてくれた友人のごむらす氏にマジで感謝。
pixivでもupしているそうです。URLは
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=24746204
ですね。
………さて、ここからは少々真面目な話。
ISが打ち切りだとか。
原作者さんのTwitterを確認している限り、なんか書いてるのは間違いないのですが、それが発刊されるのって多分………6月を余裕で突破するんじゃないかと。それがISの新刊って保証もないですし。そんな訳で、一応オチは用意しました。
………なんていうか大変でした。ISのコアの正体の捏造とか、マドカの正体とか、なんでISが女にしか反応しないかとか。
全部どっかで聞いた事のあるネタを利用させていただいております。まあ少しマイナーものが混じっていますが。
かなり無理矢理な事になるかとも思いますが、シリアスだったりギャグだったりをこれからも楽しんでいただければと思います。