東の海の革命軍2
「……そういや、お前ら自身は革命軍の事どう思ってるんだ?」
ふと気付いたように、ゾロが問いかけた。
思い返してみれば、アスラ中将が言ったという話は出てきても自分達がどう思っているかは話がなかった。
「「いや、何も」」
「何もって……なんか思うんじゃねえのか?」
2人の返答にさすがに呆れたような言葉を返す。
「といってもな……俺ら革命軍について何も知らないし」
「そりゃな。一般的な知識ぐらいは知ってるけど、じゃあ、革命軍の実態は、どんな奴が所属していて、そいつらはどんな目的を持ってるのとか、何を目指してるのかとか何も知らないんだ」
だから、安易に判断出来ない、自分の意見を言えないとエースとサボは言う。
実際、世間一般に出回っている革命軍に対する風評は基本として世界政府から発信されるものであり、当然、それらは世界政府から見た革命軍でしかない。
では、革命軍とは何を目指しているのか、危険な思想というがどんな思想なのかとかは全く発信されない。
「例えば、ゾロ。お前、海軍元帥って言ったらどんなイメージがある?」
「海軍元帥ー?そうだなあ……」
ゾロは適当にイメージを上げていく。
実の所、ゾロは海軍元帥の事を知らない。というか、一般人は普通、海軍元帥と言われても海軍の一番偉い人ぐらいの感覚で、接点がまるでないから気にもしない。
したがって、ゾロの上げるイメージも、厳つい、だの厳しいイメージだの、大柄だの強いだのといったイメージだ。
全く間違っている訳ではないが、と前置きした上で、それでも同時にエース達は昔からの友人と仕事しろ、しないで喧嘩して複数の家をまとめて潰したとか、結構ジョークの分かる人とかを話せば、ゾロとしても『へえ』と思う事は多い。
「だからさ、実際に革命軍とは話をしてみるまでは俺らは何も言えねえ」
「アスラはCPの長官もしてるからな。一番革命軍の事も知ってると思うから、アスラが言ってた事を上げただけさ」
とはいえ、そのアスラも革命軍の詳細な情報は教えてくれなかったという。
それだけ危険視しているのか、それとも事前知識はなしで、自分の意志で判断しろという事なのか……エースとサボは後者だと判断している訳だが。
エースもサボも世間一般に流布されているような悪辣なイメージが本当の革命軍だとは思っていない。
本当にそうなら、これ程革命軍が世界各地で王国や帝国を陥落できる程の力を持てるとは思えないし、一般市民が支持するとも思えない。何より、ゴア王国にせよ或いは世界政府にせよ2人は正義とされる組織の後ろ暗い面も見聞きしてきている。
一概に世界政府が正しいとは言えなかった。
「……まあ、いいさ。んで?これからどうすんだ?」
とりあえず、考えるのが面倒になったのか、ゾロはそう言った。
といっても、たしぎを切り捨てるのでなければ、出来る事など限られている。
とりあえずは、しばらくこのまま投錨して、本当に革命軍が来る可能性があるのかを探ってみる事になった。……どちらに味方するかも考えつつ。
【SIDE:たしぎ】
一方、たしぎは傭兵契約を行なった後、街中を歩いていた。
宿舎に関しては、契約金とは別個に後で政府から支給されるので、各自が宿を確保するようにと証明書が渡された。どうも、宿舎の問題らしい。急遽雇う事になったので、部屋の数が足りない、かといって野宿をさせる訳にはいかない、という訳でこういう形を取る事になったらしい。
これを見せれば、大抵の宿には泊まれるようになっているらしい。まあ、基本的に革命軍の襲撃は夜が多いので、夜の警備が重視されており、彼女も宿には朝になってから戻る可能性が高かったが。
という訳で、たしぎも、宿を探して町を歩いていた。
無論、船に戻れば彼女の部屋もあるのだが、あんな出方をして、眠りに戻るのは気が引ける。
町中を歩けば、汚れた印象もあるが、活気ある街並みだ。
そんな平和な光景を守ってみせると、改めて気合を入れた彼女だった。
そんな彼女の口から洩れるのはやはり愚痴だ。
(……なんで、平和を、こんな人達を守るのに力を貸してくれないんだろう)
海軍に対して、多少幻滅するような事があったとはいえ、そうそう性格が変わるはずもなく、彼女の不満はそこにあった。
革命軍に関して、だが、戦乱もない国に戦乱を起こしているのは事実だ。
だが、何故それが成功するのかを彼女は考えた事はなかった。いや、きっとそれだけ多数の軍隊を使っているのだ、ぐらいに考えていたのだが……。
そうして、歩いていると小奇麗な宿が見つかった。
ここなら、大丈夫だろうと確認の為、宿に入る。
「いらっしゃいませ〜」
笑顔で迎えてくれた店員に、確認の為、証明書を見せる。
「………ああ、大丈夫ですよ」
そう笑顔で答えると、たしぎは部屋へと案内された。
彼女は別に千里眼でも、透視能力がある訳でもない。
ただ、少し強いだけの普通の人間だ。
……だから、たしぎが部屋に入ったのを見送った後、部屋の前から立ち去った案内した宿の人間が憎憎しげな表情で一瞬、彼女が案内された部屋を睨んだのを知るはずもなかった。
「……そういや、お前ら自身は革命軍の事どう思ってるんだ?」
ふと気付いたように、ゾロが問いかけた。
思い返してみれば、アスラ中将が言ったという話は出てきても自分達がどう思っているかは話がなかった。
「「いや、何も」」
「何もって……なんか思うんじゃねえのか?」
2人の返答にさすがに呆れたような言葉を返す。
「といってもな……俺ら革命軍について何も知らないし」
「そりゃな。一般的な知識ぐらいは知ってるけど、じゃあ、革命軍の実態は、どんな奴が所属していて、そいつらはどんな目的を持ってるのとか、何を目指してるのかとか何も知らないんだ」
だから、安易に判断出来ない、自分の意見を言えないとエースとサボは言う。
実際、世間一般に出回っている革命軍に対する風評は基本として世界政府から発信されるものであり、当然、それらは世界政府から見た革命軍でしかない。
では、革命軍とは何を目指しているのか、危険な思想というがどんな思想なのかとかは全く発信されない。
「例えば、ゾロ。お前、海軍元帥って言ったらどんなイメージがある?」
「海軍元帥ー?そうだなあ……」
ゾロは適当にイメージを上げていく。
実の所、ゾロは海軍元帥の事を知らない。というか、一般人は普通、海軍元帥と言われても海軍の一番偉い人ぐらいの感覚で、接点がまるでないから気にもしない。
したがって、ゾロの上げるイメージも、厳つい、だの厳しいイメージだの、大柄だの強いだのといったイメージだ。
全く間違っている訳ではないが、と前置きした上で、それでも同時にエース達は昔からの友人と仕事しろ、しないで喧嘩して複数の家をまとめて潰したとか、結構ジョークの分かる人とかを話せば、ゾロとしても『へえ』と思う事は多い。
「だからさ、実際に革命軍とは話をしてみるまでは俺らは何も言えねえ」
「アスラはCPの長官もしてるからな。一番革命軍の事も知ってると思うから、アスラが言ってた事を上げただけさ」
とはいえ、そのアスラも革命軍の詳細な情報は教えてくれなかったという。
それだけ危険視しているのか、それとも事前知識はなしで、自分の意志で判断しろという事なのか……エースとサボは後者だと判断している訳だが。
エースもサボも世間一般に流布されているような悪辣なイメージが本当の革命軍だとは思っていない。
本当にそうなら、これ程革命軍が世界各地で王国や帝国を陥落できる程の力を持てるとは思えないし、一般市民が支持するとも思えない。何より、ゴア王国にせよ或いは世界政府にせよ2人は正義とされる組織の後ろ暗い面も見聞きしてきている。
一概に世界政府が正しいとは言えなかった。
「……まあ、いいさ。んで?これからどうすんだ?」
とりあえず、考えるのが面倒になったのか、ゾロはそう言った。
といっても、たしぎを切り捨てるのでなければ、出来る事など限られている。
とりあえずは、しばらくこのまま投錨して、本当に革命軍が来る可能性があるのかを探ってみる事になった。……どちらに味方するかも考えつつ。
【SIDE:たしぎ】
一方、たしぎは傭兵契約を行なった後、街中を歩いていた。
宿舎に関しては、契約金とは別個に後で政府から支給されるので、各自が宿を確保するようにと証明書が渡された。どうも、宿舎の問題らしい。急遽雇う事になったので、部屋の数が足りない、かといって野宿をさせる訳にはいかない、という訳でこういう形を取る事になったらしい。
これを見せれば、大抵の宿には泊まれるようになっているらしい。まあ、基本的に革命軍の襲撃は夜が多いので、夜の警備が重視されており、彼女も宿には朝になってから戻る可能性が高かったが。
という訳で、たしぎも、宿を探して町を歩いていた。
無論、船に戻れば彼女の部屋もあるのだが、あんな出方をして、眠りに戻るのは気が引ける。
町中を歩けば、汚れた印象もあるが、活気ある街並みだ。
そんな平和な光景を守ってみせると、改めて気合を入れた彼女だった。
そんな彼女の口から洩れるのはやはり愚痴だ。
(……なんで、平和を、こんな人達を守るのに力を貸してくれないんだろう)
海軍に対して、多少幻滅するような事があったとはいえ、そうそう性格が変わるはずもなく、彼女の不満はそこにあった。
革命軍に関して、だが、戦乱もない国に戦乱を起こしているのは事実だ。
だが、何故それが成功するのかを彼女は考えた事はなかった。いや、きっとそれだけ多数の軍隊を使っているのだ、ぐらいに考えていたのだが……。
そうして、歩いていると小奇麗な宿が見つかった。
ここなら、大丈夫だろうと確認の為、宿に入る。
「いらっしゃいませ〜」
笑顔で迎えてくれた店員に、確認の為、証明書を見せる。
「………ああ、大丈夫ですよ」
そう笑顔で答えると、たしぎは部屋へと案内された。
彼女は別に千里眼でも、透視能力がある訳でもない。
ただ、少し強いだけの普通の人間だ。
……だから、たしぎが部屋に入ったのを見送った後、部屋の前から立ち去った案内した宿の人間が憎憎しげな表情で一瞬、彼女が案内された部屋を睨んだのを知るはずもなかった。