謀略教皇VS謀略教祖!趣味と趣味の闘い・第17話
トリステイン王国の由緒有る大貴族!
ヴァリエール公爵家の催す舞踏会。
それにガリア王国のネクストキングで有り、巷で噂の巨乳派教祖ツアイツ・フォン・ハーナウ!
そしてトリステイン王国の華、アンリエッタ・ド・トリステインが招かれたとなれば、無駄に豪華だ。
国内外に、その力を示さねばならないヴァリエール公爵はかなり力を入れている……
それに長女エレオノール様、次女カトレア様も呼び出されていた。
2人共、気合いの入った出で立ちだ!
僕らのホーム、ヴァリエール領。
此処なら暴走特急アンリエッタ姫でも、迎え撃てると思っていたが……
どうにも調子が違うんだ。
彼女は、清楚でお淑やかな美少女を完璧に演じている。
アホのアの字も無い、まさに完璧な姫君……
舞踏会で有り、主賓の僕らには沢山の貴族が群がる。
その合間を縫って、一曲ダンスにも誘ったのだが……
勿論、義理でだ!
誘わないのは失礼に当たるし、不仲説とか問題有るからね。
しかし、何時もの暴走特急振りはナリを潜めていた。
彼女は常に控え目で、一歩引いている。
今夜のアンリエッタ姫は、大和撫子と言って差し支えない。
金のティアラに水の指輪、レースをふんだんに使った純白のドレス。
肩を大胆に露出しているが、逆に肌の白さと黒髪が引き立っている。
そして原作同様な巨乳だ!
具体的にはB84−W59−H85と原作通りの巨乳に仕上がっている。
勿論、僕のオッパイスカウターは正常に稼働しているから間違いない。
こんな態度が出来るなら、ウェールズ皇太子落とせたんじゃないか?
彼女は舞踏会の注目を集め捲り、多くの若き貴族達が彼女をダンスに誘っていた。
僕は彼女と一曲踊ってから、エレオノール様とカトレア様に両脇を固められ、彼女達と何曲も踊らされた……
その合間を縫って、ド・ゼッサール隊長以下マンティコア隊の隊員からサインや握手を求められ、持参の著書にサインとイラストを書いた。
カリーヌ様からド・ゼッサール隊長は先の腐敗貴族の捕縛時に、随分活躍したと聞かされた。
なる程、これはその時のお礼の意味も有るのか?
新作の漢の浪漫本とプレミアフィギュアを贈る事を約束した。
彼らは巨乳派だった事を追記しておく……
◇◇◇◇◇◇
舞踏会も終わり、招待客も殆どが帰って行く……
今夜ヴァリエール公爵家に泊まるのは、アンリエッタ姫御一行だけだ。
僕はこれからアンリエッタ姫を酔い覚ましのお茶会に招待する。
2人切りで、だ……
何故か例の件を説得させるのに、マザリーニ枢機卿が2人切りを強調した。
曰わく、本音で話すなら余人は邪魔になると……
しかし、密室で2人切りなど危険過ぎる!
だから僕は、カリーヌ様にこっそり様子を伺ってくれる様に頼んだ。
最悪、乱入するか僕を魔法で吹き飛ばして有耶無耶にしてくれと……
カリーヌ様は、凄い笑顔で僕の両肩に手を置いて
「任せて下さい。
貴方が約束を破り、ハグとキス以上の行為に及んだら……
迷わすに吹き飛ばしますから」
目線を合わせながら、噛み締める様に言われた。
「いえ、それは無いです。
アンリエッタ姫が暴走したら、彼女は傷付けられないので、僕だけを吹き飛ばして下さい!
と、言う意味です」
そう返したら、肩に置かれた手に力を入れて……
痛いです、本気で痛いです!
「ツアイツ……
貴方、イザベラ姫の時も、そう言ったらしいですね。
それは無い、と……
しかし、しっかりとイザベラ姫は落としましたね。
普通に考えて、大国の姫を一介の他国の貴族が落とす……
そんな離れ業をしておいて?
前科持ちなのに信用しろ、と?」
痛い所を突かれた!
しかも両肩はもっと痛い。
「済みませんでした!
善処しますから、肩が砕ける前に放して下さい。
本気で痛いです」
漸く力を緩めてから、カリーヌ様は軽く抱き締めてくれた。
耳元で……
「ツアイツ……
もしアンリエッタ姫に、エッチな事をしたら……
エレオノールとカトレアの面倒も見て貰いますよ。
別に娶れとか言いません。
しかし面倒を見て貰います。
分かりますね?
この意味は……」
つ、つまりアンリエッタ姫に必要以上の事をしたら、エレオノール様とカトレア様も引き取れ?
「いやいやいや?
それは無理ですよ!
正式にルイズを側室として迎えるのに、その姉達までなんて……」
「勘違いしないで下さいね?
何も公式に娶れとは言っていません。
しかし、あの子達は貴方の近くに居た方が幸せだと思っています。
後は貴方の甲斐性次第です。
私の娘達を幸せにして下さいな」
そう言って解放してくれた……
今や飛ぶ鳥を落とす勢いのヴァリエール公爵。
その娘達の婿が、見付からないなんて事が有るのか?
どちらも美人だし、娶れば出世も財産も破格なのに……
そう言えば、彼女達にダンスを申し込む貴族は居なかったな。
何故、何故なんだトリステイン王国の貴族達よ?
※終始ツアイツの側にべったりだったし、ツアイツが離れた時にアタックした貴族達は全滅でしたから……
「あらあら、何でしょうか?
ダンスですか……
済みませんが、間に合っていますので」
「はぁダンス?
その前に知性を磨いて来なさい!
少なくても私の質問に答えられる位に……」
メッタぎりであった!
累々と並ぶ犠牲者達……
この晩、2人に袖にされた貴族は両手では数えられない位だった。
そんな娘達を見て周りは
「ヴァリエール公爵はツアイツ殿に、ガリアの次期王を取り込む為に、娘全員を与えるつもりか?」
とか
「トリステイン王国でも最大勢力のヴァリエール公爵派閥に取り入るには娘達を落とすのが早い。
しかし、全く相手にされないのは何故だ?」
とか
「上手くいけば寵を姉妹で得られて、ガリア王国の後宮での派閥争いに有利だからか?」
とか、色々と酷い言われ様だった。
カリーヌは、娘達がツアイツを好きなのを知っているから、その手助けをしてるだけなのだが……
ツアイツは、ハルケギニアを統一する。
故に、姉妹揃って嫁がせても問題無いと考えて……
そして、いよいよ暴走特急アンリエッタ姫との密会が始まる。