第二話
固有名:ブルーニー
燃料:70%
装備: ビームライフル×1
100mmマシンガン×1
マガジン×2
シールド×1
ビームサーベル×2
頭部バルカン×2
胸部バルカン×2
腹部有線ミサイル×2
地形適正:陸S砂S空−海−宇宙B
特殊オプション: EXAMシステム(マリオン・ウェルチ)
マグネットコーティング
憑依
いきなりだけどファンタジー世界だったらステータスが見えたりするのになーっと思ってたらなんか出たから報告。
特殊オプションの憑依ってどうなのよ。明らかに俺だよね。
実は他にも全高とか重量とか出力とか推力とか書いてあるけどある事情により省略。
「で、マリオンちゃん。何処行こうか?連邦も撒いたみたいだし行きたい所があったら言って、俺この辺知らないから何処でも良いし」
「私も詳しい訳じゃないんですけど…ほんと言うと宇宙に帰りたいですね」
「おおぅ、それはまた難題を言いなさいますな」
これが人間なら金を稼ぐなり借りるなりして行く事もできるだろうけどあいにく俺達はモビルスーツ、どうやって金を稼ぐ以前の問題だよな。
「ま、考えるだけ考えてみるとしても今すぐどうにか出来そうにないから…とりあえず南に下ってみるか」
「一応言っておきますけど現在位置はボリビア北部ですね」
「……もしかして俺達ってジャブローの近郊の基地に居たのか?」
「そうです」
なるほど、だからあれほどフライマンタが沸いたんだな。
しかもあの陸ジムとザクII2機を撃破した後もザニーとかジムとかも出てきたのはそういう訳か、おかげで最初の3機以外はろくに食べれなかった。
「ザニーとジムの味も知りたかったなぁ」
「仕方ありませんよ。あれほどの物量で来られては逃げたり追い払うだけで手一杯です」
「おかげで部品痛が若干するんだけどね。どっかで食事しないとキツイ」
カラコン挿入には2種類あって人間の感覚的に言うと五感と直感を鋭くさせるものと肉体を常に全力状態に保たせるものがある。
ま、前者はマリオンちゃんとの感覚共有の賜物で後半はEXAMシステム本来の能力で負担が大きいのはEXAMシステムの方だ。というか感覚共有は今の所デメリットは精神的に少し疲れるぐらいの程度なので超お得。
モビルスーツ戦だとまだ体に慣れてない現状はEXAMシステムに頼った方が安全なので頼った結果が今だ。
「後ホバー移動の練習もしないと宝の持ち腐れだ」
「実戦で使って転びかけましたからね」
感覚はどこでも滑れるスキー。
ただし俺は小学校低学年の時にチャレンジして転んで、それっきりだったからなんの救いにもならない。
「それにしても食料が問題だ。燃料が切れたら動けなくなると思ってたけど食べたら燃料も回復するんだから積極的に確保しないと動けなくなる」
「なら南ではなく北へ向かう方がいいと思います。北に行けばジオンと連邦の国境がありますから残骸も沢山あるでしょう」
「まだ検証してないモビルスーツ以外が食べれるかどうかも確認しないといけないし…北にするか、連邦の皆さんには多大な迷惑を掛けることになるだろうけど」
中米はどう考えても最前線だろ。地形的に考えて。
それを通るとなると最低でも1戦は覚悟した方がいいだろう。
「じゃあ逝きますか」
「うわーまたこれは……」
「墓場……ですね。まるで」
運良く連邦の哨戒を掻い潜って戦闘なしで中米入り口パナマまで到着。
パナマという国よりパナマ運河の方が有名だよな。俺、パナマが国って事マリオンちゃんに聞いて初めて知ったし…え?俺だけ?そんなはずは……
「激しい運河の争奪戦があったようですね」
そう、陸にはザクIやIIから始まり61式戦車、フライマンタ、TINコッド、ドン・エスカルゴ、ドップ、マゼラアタックもしくは上部だけ下部だけなど他にも多数あった。
海にはザク・マリンタイプやアッガイ、両国潜水艦、フィッシュ・アイなどが打ち上げられている。
原作には描かれてないけど物流の要衝地なんだから当然といえば当然か。
もっとも俺からしたら——
「戦場跡の宝石箱や〜」
「変な声を出してどうしたんですか?」
さすがにこんなネタには付いて来れないか。
「さて、どれから喰おうか」
「やはり名は体を表すというのが本当かどうかドン・エスカルゴで試すことを提案します」
「えーエスカルゴってカタツムリだろ…まぁ俺達が食べるのは飛行機だけども」
「なら問題ありませんね!」
「ハァ、分かった分かった。ほら、食べるぞ」
……
「何とも言えぬ味わいだな。国によっては高級食材らしいけど…」
「よく考えたら私、食べたことありません」
「マリオンちゃんって天然か?」
「私は天然じゃありません」
天然は皆そう言う。
結局ドン・エスカルゴがエスカルゴの味なのかどうか分からないけど食べたことがない味だったからエスカルゴだという事で合意。
「合意の上でないと夫婦でも犯罪です。注意しましょう」
「?」
「ところでマリオンちゃんは何歳かな?」
「14歳ですけど…」
「おまわりさんこいつです」
「えぇ?!なんで私が?!」
「いや、モニターの前のおっきなお友達に言われたような気がして…」
「?モニターには誰も映ってませんよ?」
「ですよねー」
ロリコンは犯罪です。
ちなみに俺は14歳はセーフだと思う、何がとは言わないけど。
あ、お願い110番だけは勘弁を——
「じゃんじゃん食べて燃料を補充しよ…う。って…アレ?」
ステータスを確認したら燃料120%と表示されている。
もしかして上限はないのか?でも%で表示してるんだからオーバーして表示したら意味無いじゃん。
とりあえず喰えるだけ喰って貯めてみるべ。
「マゼラアタックはイナゴの佃煮か」
「イナゴ?」
「知らない方が幸せだ」
まさかバッタのことだとは言えん。
「TINコッドは——手羽先か、空を飛んで細身だからか?でも陸ジムは焼き鳥だったんだが…」
「美味しいです。人殺しの道具が美味しいというのは微妙ですけど」
確かに、まぁ俺達も本来は殺戮兵器、しかも極上のだ。それが兵器を喰ってもあまり差はないさ。
第一人間のように自己補填できるのは既に兵器なのかどうか。
「アッガイは…おお、焼き鮭か。蛙じゃないかドキドキしてたが大当たりだ」
「蛙…蛙って何?」
おー確かにコロニーにはいないだろうし地球に来て見る事が出来たとしても蛙が何かまでは分からないか。
なるほど、ジオン兵が雷を連邦の新兵器かと勘違いしたのは必然らしい。
「おお、デブロックは豚のしょうが焼きか?!これは何か?某ジブリってか」
「それなら知ってます。確か紅のぶ——」
「言わせねぇよ!と言ってもほとんど言っちゃってるけどな」
しかしよくよく考えれば俺って一年戦争が終わった後困らないか?戦闘機や戦車も食べれる事から車でもいいのは分かるけど平和になればモビルスーツの体は目立つ…いや戦争中でも目立つけど。
国とは相容れない、分解されて研究材料にされるか危険視されて破壊か、良くてニュータイプのように隔離か。
ジオン残党と協力するのも一つの手段か。
そうか、マリオンちゃんの希望を叶える。つまり宇宙に行けば食料はあるはずだ。
デラーズ・フリートの活動拠点である茨の園がいい例だろう。暗礁宙域の存在は俺達にとっては食料豊富な畑に近い。
「となれば手段か宇宙へ上がるにはHLVが必要か」
「私達が宇宙に行く手段でしたら別にそれほど大掛かりなものじゃなくてもいいのですが」
ん?そういえば前にどっかの学生が高度35000mの撮影に成功したんだっけ、ならガンダムも行けない通りはない!(無茶苦茶
そういえば燃料は——220%…戸愚呂弟を軽く超えたな。
しかし燃料って推進剤なのか、それとも核融合炉の燃料なのか、それとも俺達を維持するためのエネルギーなのか…感覚からすると最後の可能性が大だな。
何より燃料は何処に蓄えられてるんだ。全然自重が増えてる気がしない。
「マリオンちゃん、俺達体重増えてるか分かる?」
「女の子に体重を聞くなんてデリカシーがありません」
「真剣な話だっつーの」
「システム上では増えていませんよ」
そうか、って事はまさかこのまま食べ続ければ俺達単独で宇宙に行ける可能性が高い、本来燃料が増えれば自重が増えるが俺達は例外らしい。
効率が悪いだろうけど自重が増えない燃料なんてインチキが出来るんだから大丈夫だろう。
幸い宇宙適正も若干低いけどあるんだしなんとかなるはず…ただ万が一失敗した時ように降下用パラシュート欲しいな。
えーっと陸ガンが使ってる所しか覚えてないから量産されてるわけじゃなさそうだし…確か08小隊の舞台って東南アジアだったっけ。
「東南アジアまで行きたいけど——」
「海をどうやって渡るかが問題です。今のまま海に浸かっちゃうと錆びますよ。間違いなく」
「日焼けしたってこと誤魔化せ——」
「ませんよ」
「ですよねー」
どうしたもの…か?
なんかステータスの地形適正の海がBになってるんだが…なぜに?もしかして自己進化までありですか俺。
どっかのモンスターをハントするゲームの二次小説のリオ○ウスみたいじゃないか。
「なんか海に潜れそうだぞ」
「え、あ…いつの間にか身体が進化してますよ」
「よし、チャレンジしてみるか、よく考えたら部品痛が治るぐらいだから錆も治るだろ」
「かもしれません」
「その前にもっと食っとくか」
「賛成です」
「幸い水泳は得意だ」
「この身体になってから泳いだことないんですから自慢になりませんよ。ヘタすると金槌どころか鉄屑です」
ルナチタニウム合金だから鉄屑よりは高価だけどな!
「そういえばチタンって錆びにくいはずだよな」
「あ、確かに装甲に限って言えば錆びる心配は少ないですね。ほとんどがルナチタニウム合金はチタンとアルミがほとんどですから」
ただ武器はその限りではない。
どうしたもんか…とりあえず陸に置いて単身で泳いでみるか。
結果、普通に泳げた。まぁもちろん泳げたというのは言葉の綾でブースターで推進できたという事だ。
ただし燃料が馬鹿みたいに消費するけどな!
「何にしても東南アジアまで行く手段は何とかなりそうだ」
「ところでなぜ東南アジアに行きたいんですか?」
「モビルスーツ用降下パラシュートが欲しくて」
「それならジオンでも使ってるはずです」
おおう、マリオンちゃんの知識の豊富さは何処から来るんでしょう。てかよく考えたらジャブロー戦でHLVから飛び降りてパラシュートを開くシーンがあったような…うろ覚えだけど。
ならこのまま北米に突入してかっぱらった方がいいのかな?空母であるガウになら積んでる可能性が高いからガウを探しだして掻っ払えれば安全に実験ができて問題は大気圏から離脱できるかだけになる。
俺、宇宙にでたら結婚するんだ。
と無意味に死亡フラグ立ててみたんだけど何も——
「ブルーニーさん、どうやら発見されたようですよ。センサーにデブロックらしく反応あり」
「あれ、デブロックって超高高度爆撃機じゃなかったっけ?そんなの感知するほどセンサーは良くなかったような…」
「そういえばそうですね。なぜでしょう?」
まぁ悪くなった訳じゃないからいいか。
とりあえず——
「俺達の戦いはこれからだ!」
「打ち切りですか?」