お待たせしました!
スパロボを1周したのでこれからぼちぼち投稿していきます。
プロローグ
俺は今、地平線まで真っ白な世界にポツンと3メートルの距離で向かい合った二つのソファーとその二つのソファーの横を橋渡すかのように横3メートル縦2メートル位の大きなテレビが置いてあるだけのなんとも寂しい所にいる。
さっきまでは自転車で家までの帰り道をひた走っていたというのに。
どうしてこんな所にいるのかというと端的に言うと俺は死んだらしい。
俺の名前は佐藤焔(さとうほむら)。25歳。中小企業でサラリーマンをやってて、趣味の釣りやゲーム、プラモ作りなどをして日々それなりに楽しく生活していたのだが、そんな俺に人生の転機というより終焉?が訪れた。
会社からの帰りに自転車に乗っていたら、車が歩道に乗り上げてきて避ける暇なく車とぶつかって、そこで俺の意識は途切れた。
次に目を覚ました時、俺はいつのまにか向かい合うソファーの一つに座っていた。
反対側のソファーには白い服というか布みたいなのを身に纏った長い髪と髭を蓄えた初老のおじいさんが座っていた。
俺がそのおじいさんを見ていると相手が俺に話しかけてきた。
「君、今の状況理解できる。あ、心の整理とかは別で。」
意外とおじいさんの声は年齢よりもずっと若い印象を受けるハキハキとした話し方だった。
「まあ、車に轢かれて死んだのかなと思います。」
ここに来る少し前の記憶を思い出し、それを回避できなかったことを客観的に考えるとそういう結論に至った。
「正解!君は今、世界の狭間にいます。」
おじいさん?はパチパチと手をたたいた後、右腕を広げてこの真っ白の世界を“世界の狭間”と言った。
「世界の狭間?あの世とか天国とか地獄じゃなくて?」
俺は特に仏教やらキリスト教やらを信仰していないが心のどこかで、死んだら天国か地獄に行くのかな?、と思っていたのでそのどちらでもないことに少し驚いた。
「そう。本来ならば閻魔君の所に行って天国か地獄のどちらに行くかきまるんだけど。
君の場合はちょっと特別なんだよね。」
と、思ったけどやっぱり天国か地獄に行くのが普通のようだ。
それにしても俺の場合の“特別”とは一体なんだろうか?
いい意味ならいいのだが、悪い意味は考えたくないな。
というか悪い意味だったら即地獄行きとかになりそうだからそれはないか。
「はあ。特別って何ですか?」
考えても埒が明かないと思い率直に聞いてみることにした。
「本当なら君は後70年後にこっちにくる予定だったんだけど・・・」
後70年後って言ってもさっき死んだってことになっているじゃないか。
まあ、続きがあるみたいだから聞いてみよう。
「だけど?」
俺がそう言って続きを促すとおじいさん?は真面目な顔をした。
「ごめん。こっちの不手際で誤って君を殺しちゃったんだ。」
・・・ん?
今このじいさん何て言った?
殺したって何?俺の死亡原因は自動車が突っ込んできた事による交通事故のはずだ。
それも不手際とは一体どういうことなんだ!?
「・・・は?何を言ってるんですか?それに・・・」
そうだ・・・そもそもこのじいさんはどうしてこんなソファーとテレビしか無い所にいるんだ?
それに俺が本当はあと70年後に死ぬってなんでそう言ったんだ?
その不手際とやら無かったら本当に後70年生きられたのか?
俺はこの目の前に座っているじいさんが何者なのかが知りたくなった。
「あなたは何者なんですか!?」
「私?神だけど」
じいさんはさも当たり前の事のようにそう口にした。
「神?じゃあ、俺を生き返られて下さいよ!まだ地獄にも天国にも行ってないのならまだ奇跡の生還とか出来るんじゃないですか!?」
俺は“神”と名乗ったじいさんに生き返らせてくれないか頼んだ。
「あ、それは無理。こちらの不手際なのでそうしてあげたいのは山々なんだけど、一度死んだ者を生き返らせることはできないんだ。例えそれが神でもね。無理にも生き返らせようと死んだ者を再びその世界にねじ込もうとするとその世界自体に無理が生じて最悪消滅とかしちゃうからね。」
しかし“神”と名乗るじいさんは首を横に降った。
俺も最悪世界が消滅するとか言われたらこれ以上無理にでも生き返られてくれとは言えなかった。
「まじか。まだ作りかけのプラモがあったのに・・・。それにまだ作ってないプラモも何個も積んであったんだけどな・・・。ああ、ポケモンのブラック・ホワイト2やりたっかったな。そういえば、夏のボーナスでシーバスタックルを買おうと思っていたのに。あ、夏にポケモンの映画見に行きたかったのに。それに・・・」
俺は自分の部屋に残してきたプラモやらツタヤで予約していたゲームのことなどがもう永遠に出来ないことを寂しく思った。
「ポケモン!?君、ポケモンやってるの!?」
悲しみにくれている俺に神を名乗るじいさんがポケモンの話題に食いついてきた。
「え、ええ。初代からブラック・ホワイトまでやってますけど。」
俺は正直にそう答えた。
ポケモンのゲームが発売したのが小学生の時だったのでハマリ、それからずっと新作が出たら購入していた。
因みに俺はストーリーと図鑑埋め位しかせず対人対戦とかはしないので廃人ではない。
「あれ、面白いよね。ついつい、やりすぎちゃって下界の操作を間違えちゃったくらいだよ。」
神を名乗るじいさんは妙にハイテンションで話していた。
(ん?今、変な言葉を聞いたような・・・。まさか)
「その下界の操作ミスって、まさか俺が死んだことじゃないですよね。」
俺はまさか神を名乗る者がそのような俗世界、特にゲームに気を取られて不手際を起こしたとは考えたくなかったが聞かずにはいられなかった。
「よく分ったね!・・・あ。」
神を名乗るじいさんは即肯定し、次の瞬間にしまったという顔をした。
まさかとは思っていたが、実際そうだと分かると俺の中で何かが切れたような感じがした。
「あ、じゃねえよ!あ、じゃあ!てめえがポケモンに現(うつつ)をぬかしてたから。俺が死んだのか!?ふざけんな!」
俺がそう声を荒げると神を名乗るジジイは悪いと思っているのか一度頭を下げた。
「ほんとにごめんね。そのお詫びと思って君をここに呼んだんだよ。」
どうやらそのお詫びとやらをするために俺を閻魔大王のところには行かせず、この“世界の狭間”に呼んだらしいがそれがどういう意味を持つのか俺には分からなかった。
「どういうことだよ。」
「君は普通なら後70年生きられたわけだ。そこで次は2次元のような世界に転生させようということになったわけだ。」
「まじか!じゃあ、巨大ロボットが実際に存在する世界とかポケモンの世界とか魔法が使える世界に転生できるってことか!」
俺は目の前にいる神を名乗るじいさんのせいで死んだことをすっかり忘れて、他の世界に転生出来るということに興奮した。
「そういうこと。しかも、今の記憶を持ったまま、という特典付き!」
「おお!すげー!さすが神!」
記憶を持ったままという所で俺のテンションはさらに上がり、そんなことが出来る者は神であるに違いないと思い、初めて目の前の人を神と認めた。
「照れるな。」
俺が神を褒めると神は照れくさそうにした。
「で、どこに転生できるんだ?」
そう、転生出来ることはいいが一体どこに転生出来るのか聞いていない。
下手な世界に転生すると生まれて即死亡とかありそうで怖いからな。
「ちょっと待って。いまから決めるよ。・・・こっちのテレビ画面を見て。それで好きな数字を1から100の間で選んで。」
神がそういうといままで真っ暗だったテレビが映った。
テレビ画面の上の方には『次の君の人生はここだ!〜転生抽選会!〜』とデフォルトされた文字が並んでおり、真ん中の所に四角い枠があり、その中で数字がランダムに表示されている。
「なんで1から100なの?」
俺は二次元の世界なんてそれこそ100以上あるはずなのにどうして100しかないのか疑問に思った。
「君の頭を覗かせてもらって、転生可能な世界を抜粋した結果だよ。その中にはもちろん巨大ロボットが存在する世界やポケモンの世界や魔法を使える世界があるよ。・・・まあ、転生してすぐに死んでもいいんならもっと増やせるけど、どうする?」
どうやら先程俺が心配していた事態にならないように考慮してくれていたようだ。
「いえ、100で結構です。・・・じゃあ、適当に1で。」
俺は転生出来る世界を任意で選ぶことが出来ないようなのでどの数字を選んでも同じだろうと考えたので適当に「1」と答えた。
「わかったよ。じゃあ、画面見ててね。」
そういうとテレビ画面の枠の中の数字が1で止まったと思うとすぐに画面が切り替わり、大量の縦の線とその縦線を所々繋ぐ横線の画面に切り替わった。
「あみだくじ?」
「そう。いきなり、決定!・・・じゃあ、面白くないでしょ。」
「いや。べつにいいけど。」
画面のあみだくじは俺が選んだ1番からどんどんしたに降りて行った。そして、
「君は“ゼロの使い魔”の世界に生まれ変わることが決まりました。」
テレビ画面には大きく“ゼロの使い魔”と表示されいる。
「ゼロの使い魔か。俺、アニメは見たけどよく覚えてないし、原作は読んだことないんだよな。まあ、なんとかなるか。あ、あの世界って確か魔法使える人限られていたような?そこのところどうなるんだ?」
俺はあのアニメで魔法が使える貴族と使えない平民という身分があったのを思い出した。
「そうだね。魔法が使える世界だから、魔法は使えるようにしておこう。ちなみに生まれるのは原作開始の17年まえだよ。」
「原作開始の17年前?ってことは原作開始の時点で17歳ってことか。ヘタしたらおもいっきり原作に関わることになりそうだな。」
あの世界は原作が始まると大きな戦いがあったはずだから第2の人生を生きる為に転生する俺としては命の危機に瀕するようなことはあまり好ましくなかった。
「そうでもないかもよ。もしかしたらド田舎で全然関わらないかもしれなし。まあ、そこは生まれてから確認してよ。」
確かに神の言う通りかもしれないので俺はそれ以上は転生してから考えることにした。
「わかった。で、二次創作とかでよくあるチート能力とかは?」
ネットなどでよくある原作に“転生”する二次創作には何らかの特典、チート能力があるのが常だからもしかしたら俺にもそういうのがあるのではないかと思って聞いてみた。
「ないよ。」
すっぱりと神はそう言い放った。
「は?」
その言葉に俺は一瞬呆気に取られてしまった。
「だから、ないって。今回の別世界への転生に加えて前世の記憶ありで君の残りの人生70年分をほとんど使っちゃったからね。」
どうやら記憶を引き継ぐこと自体がすでに特典だったようで他には付けられないらしい。
記憶を引き継がなければ別の特典が付けられるようなのだが、記憶がなければ今の俺が転生する意味がないのでそれは却下した。
「まあ、ないならないでいいけど。」
「あ、でも安心して君の潜在魔法能力は最高ランクになるように頑張るから。」
どうやら生まれてくる場所は神の意思で少しは融通が効くようだった。
「ああ、そうかい。がんばってな。」
俺はなるべく原作に関わらないような辺境の地に転生してほのぼのスローライフを送れればいいなと思い、そういう意味を込めて言ったつもりだった。
「その他に質問は?」
「そうだな。・・・あ、性別はどうなるんだ?」
「男でも女でも、どっちがいい?特別に両性具有とかにも出来るけど?」
両性具有とか無いよ・・・これまで25年間男として生きてきたし、ゲームでも主人公の性別が選べるなら1回目は必ず男を選んでいるし、次に転生するときも男の方がいいと思った。
「男で。いままで男で生きてきて、いきなり女になってもどうかと思うしな・・・。」
女っぽいことをしている自分を想像して少し気分が滅入った。
「うん。他には?」
神は了解したのか首を小さく頷いて、他になにか質問がないのか俺に聞いてきた。
「特に無いな。後は生まれてからなんとかするよ。」
生まれてくるまでに決めれることなんてそうそう無いし、生まれた後からの努力とかで少しはなんとかなるだろうと思い、質問することを止めた。
「うん。じゃあ、最後にこっちからいいかな。」
そういって神はこれまでに一番鬼気迫るような真剣な顔をした。
「な、なんだよ?」
俺もその表情からただ事ではないと思い、ゴクリと唾を飲み込んだ。
「・・・最初にヒトカゲ選んだらカスミが倒せないんだけど、どうしたらいい?」
「・・・知るか!なにいってy
神がなんとも拍子抜けしたことを言ったのでそれに文句を言ってやろうと立ち上がろうとすると床に俺を中心として縁が神の足元まである大きな穴が開いた。
「いってらっしゃ〜い。」
神は落ちていく俺に向って手を振りながらそう言った。
落ちた穴がどんどん小さく途中、神が穴を覗きこんでいた。
いたずらが成功した子供のような満面の笑顔で。
そして、俺の意識はそこで途切れた。
読んで頂きありがとうございます。
世界を破界し、世界を再世しろ!
という訳で、これからぼちぼち再編成した話を投稿していきたいと思いますので良ければ読んでみてください。
ご意見・ご感想があれば良ければ書いてみてください。