生まれただけ。
02話 俺、ゼロの使い魔の世界に転生しました
神に落とされてからどれくらい時間が経ったのかわからないが、真っ暗だった意識に少しずつ光が増え始めた。
(うう!?まぶしい!)
そして俺を包んでいた温かいものから解き放たれると、まだ満足に開くことが出来ない目でありながらそれでもたくさんの光が飛び込んできた。
これまで感じなった風を感じるところを考えるとどうやら俺は再び生を受けたようだ。
俺は誰かの手により抱えられた。
「おぎゃあ!おぎゃあああ!」
そのすぐあとからやかましい位の鳴き声が聞こえてきた。
どうやら俺は双子のうちの一人として生まれたようだ。
確か双子だと先に生まれた方が弟になったと思うので、俺が弟であっちが兄か姉になるのだろう。
「お・・ま。・・しょはおん・・・・す。」
「こ・・・げん・・いいぞ。」
(うるさくてなに言ってるのかわからん。しかもなにか音が反響してるみたいで変に聞こえる。)
誰かと誰かが何か話しているようだか耳もまだ満足に機能し始めていないのかよく聞き取れない。
「つぎ・・とこのこで・よ。がんば・・したね。」
「この・・なかない・。どこかわる・・か?しきゅうディ・・トマジッ・をたのむ!」
「はっ!ディテク・・ジック!・・・からだにいじょうはみ・・ません。いた・・けんこう・・。」
俺の周りに何人か集まってきて俺に何か杖のようなものを振りかざしていた。
もう一人の生まれた方をまだ開ききらない目を見るとこっちのように人が慌ててはいなかった。
周りの人たちが何やら俺ともう一人の方を見比べて何やら言い合っている。
(なんだまだ目が開けられなくて周りの状況が分からないんだけど。俺の周りが騒がしいことからどうやら俺が通常とは異なる反応をしているためになにやら慌てているようだな。)
「おぎゃああ!おぎゃあああ!」
俺はなぜ周りの人が騒がしいのかを考えている中、もう一人はけたたましく泣き続けていた。
(そうか!生まれたばかりの赤ん坊は普通大声で泣くものだったけ。そういえばテレビか何かでやってたけど、泣かなかったらお尻を叩いても泣かせていたな。じゃあ、今俺が泣かないのはかなりおかしいのか。これでも俺に尻叩きなどがされないのはたぶん貴族の子供をおいそれと叩けないからだろうな。だったら・・・)
「・・・おぎゃあ。おぎゃあああ。」
(この年?になって大泣きするとかはずかしすぎる。)
俺は恥を捨てて思いっきり泣いてみた。
まあ、声だけだが。
「おお!なきはじ・・したよ。よかった。しかしずいぶんゆ・・りしたあかちゃ・・すね。」
どうやらそれが功を奏したようで周りの人たちが安心した雰囲気になったことが声のトーンから大体分かった。
「・くさま。ふたかた・・げんきなおこさ・ですよ。」
「だんなさ・・よんできま・。」
俺ともう一人のヤツの体を洗い終え、肌触りの良いタオルに包んだところで何人かの人が部屋から出て行ったようだ。
まだ聞き取りにくい耳からの情報で判断したところ、どうやら旦那様、つまりは俺の父親を呼びに行ったようだ。
「おぎゃああ。おgy
(お?俺の父親になる人がくるのか。どんなh
いきなりバーンという音(扉が開いた音か?)とともに誰かが近づいてくるのがわかった。
そしてその人物であろう腕が俺と同時に生まれたやつを抱き上げた。
「このこが・たしのあとをつぐ・か。おお、りりし・かおをし・・るではな・か。このこが・たしのよんば・め・むすめか。・・・とてもかわい・な。とくに・のくちもとなどおまえ・そっくりではな・か。」
俺ともう一人のヤツを抱きかかえた人物の言葉を察するにもう一人のヤツが女の子、つまり姉であることが分かった。
「おぎゃあ。おぎゃあ。」
(なかなかダンディな声だな。つうか生まれたばかりの赤ん坊の顔なんてしわしわで凛々しいとか分んないと思うんだが。そしておそらく俺の双子の姉?である子に対する態度から親バカとわかるな。っていうか3人も姉がいるのか。そして俺が長男か。いろいろ大変なことになりそうだな。)
さらに俺のことを跡継ぎみたいなことを言っているところを考えると俺が長男なんだろうとすぐに察することが出来たが、ゼロ魔の世界、特に貴族で長男になるということは原作に関係しなくてもいろいろ大変なことになりそうだな、と思った。
「・し。きめた。おとこのほ・は・・るむろ・・とい・なに・よう。」
どうやら俺の名前を言ったようだか赤ちゃんは寝るのが仕事というわけではないが、なぜかとても眠くなってきた。
「おぎゃああ。おぎゃあ・・。」
(なんか・・・眠くなってきたな。今俺の名前が決まったようだが。よく聞き取れなかった。まあ、今後何度も聞くことになるだろうから、そのときに覚えればいいだろう。)
「そして、おんな・こ・きゅるけと・・な・・よう。」
さらに姉の方の名前が発せられた。
「ぎゃ?・・・おぎゃああ。」
(ん?きゅるけ?ゼロの使い魔のメインにそんなやつがいたような。・・・まさかな。)
「・いなま・ね。あなた」
もう今すぐにでも眠ってしましそうな俺の耳にまるで子守唄のように優しい声が聞こえた。
「おぎゅあ・・・。」
(今の俺の母親になる人の声かな?優しそうな感じだな。もう眠くなってきた・・・)
「だんな・ま。・・・やさまが・まれてつ・るぷすと・けもあんた・・すね。」
俺は誰かが俺たちを抱いている人物に対して言った言葉で少し眠気が飛んで行った。
「・・・・・・おぎゃ?!・・・おぎゃああ。おぎゃああ。」
(・・・は?!今誰かツェルプストーとか言わなかった。じゃあ、ここはあのキュルケの家なのか。キュルケに男兄弟とかいたか?・・・わからん。もしかしたら俺が転生したことでなにか変ったのか?)
「うむ。おまえがじき・・しゅだぞ。ふ・・あ。」
「あなた。まだ・やいですよ。」
「おぎゃああ。おぎゃあああ・・・。」
(まじかよ神さんよ。おもいっきり原作に関わるフラグ来てんじゃねえのか?どうすんだよ。俺は片田舎でまったり生活しつつちょっと魔法が使えるくらいでよかったのに。まあ、生まれを指定できなかったし、そこはしょうがないのか?・・・まあ、なんとかなるだろう。しかし、泣きっぱなしっていうのは疲れるな。・・・・もう意識が保て・・ない・・・)
俺はある意味で泣き疲れてしまい、開ききっていなかった目を完全に閉じた。
「すう、すう。」
「あらあら。二人とも寝ちゃったのかしら。」
「これからどんな風に育っていくのか楽しみだな。キュルケ!ヴァルムロート!」
読んで頂きありがとうございます。
ここは規制分無かったので少し描写を付け加えただけですね。
ご意見・ご感想があれば良ければ書いてみてください。