第6話−これからの事
さて、マリンフォードに到着した。
到着した俺はそのまんま大将とご対面……なんて事になってしまった。
いや、あんたら。いきなりそれまでの一般人を軍の最高司令官にいきなり会わせるなんて何考えてるんだ!?って思ったが、ガープさんだから、で納得するしかないと諦めた。
ガープ中将とセンゴク大将は昔からの戦友だ。
ああ、この時代はまだ先代のコング元帥が健在で、センゴクさんは大将だったんだな。
『どなたに会いに行くのですか?』
『おう、ここで大将なんぞやっとるセンゴクの奴じゃ』
という会話があった。誰に会いに行くのか聞いておいて良かった。下手したら、センゴク元帥と呼んでたかもしれない……。
本来ならば、ガープ中将も大将に昇進していてもおかしくなかった。如何に品行は問題があるとはいえ、英雄とまで呼ばれるにはそれだけの実績を積み上げてきた。大体、そんな人でなければ、息子が世界最高額の賞金首になったのに、平然と海軍軍人やってられる訳もないか……。
「おう、センゴク、邪魔するぞい」
「……一体なんだ、ガープ」
センゴクさんも『また何を持ち込んできやがった、こいつは』という顔をしつつも、ガープ中将を追い出す様子はない。
……考えてみれば、きっともう戦友と呼べるだけの相手も殆ど互いにいないのだろう。
この世界は過酷だ。一歩間違えれば、英雄と呼べるだけの実績のある人間でさえ、簡単にあの世逝き、だ。
きっとセンゴク元帥も、自分が出世しようが、変わらず友人として接してくれる、昔からの戦友の事を放っておけないんだろう。
そんな事をつらつらと考えている内に、俺の事についての説明が終わったようだ。
「つー訳で、こやつを海軍軍人にしようと思うんで、階級やってくれ」
「……まったく、お前は……」
どこか頭痛をこらえているようなポーズだが、本気で頭痛を覚えているかは疑問だ。
こういう相手だ、というのは分かっているようだし、すぐ立ち直っているし……案外、ポーズとしてやってるだけかもしれないね。
「まあ、いい。で?そいつは使えるのか?」
「おう、ここに帰ってくる前に、七千万の賞金首を一対一で捕まえておったわい。ま、まだ甘さがあるから、そこら辺は今後の課題じゃな」
「ふむ……よかろう、ならば少尉の階級を与えておく。ただし、しばらくは誰かにつけて研修だ」
……いきなり少尉!?
と思ったが、一億という賞金で本部の大佐クラスが出張るとかいう話を思い出した。
また、この世界の様子からして、階級というものは相当大雑把だと思っている。
コビーやヘルメッポとて、次に出て来た時は下士官だ。それも通常ならば、ベテランがなるような、ある意味少尉以上に我々の世界ではなるのが困難な階級。
……要は実力と上の匙加減次第なんだろうなあ、と思ってしまう。なんていい加減な所だ。まあ、だからこそ、力さえあれば、原作までに結構上まで行けるって事でもあるんだけど。
ちなみに、現在は海兵服だ。正義のコートに関しては、サイズの関係もあるので、明日支給だそうだ。
……というか、あれよあれよ、という間に決まったね!当事者の自分置いてけぼり。まあ、中将と大将の会話になんて割り込めなかったのもあるんだけどさ。
さて、『何か質問なり希望する事なりはあるか』との事だったので、部屋と当面の生活費と、それに資料室の閲覧を希望してみた。
前二つはすんなり出たし、後半に関しても、『思い出せる事がないか、年表とか地図とかを見てみたい』と言うとあっさり許可が出た。
まあ、閲覧許可そのものは低いけど、見たいのは本当に年表とか百科事典とか、地図とかなので、問題はない。
……確認してみたが、やはりオハラは昨年起きた事件か、と思う。
1年前は記されていたオハラが、今年からは綺麗さっぱり消えている。ここにある資料とて、海軍のお膝元なのと、まだほんの1年前という時間しか経ってないから、だろう。
さて、こうして資料を確認しながら、これからの方針を考えてみる。
まず体を鍛える事は続行だ。
幸い、これまでの鍛錬で、一通り六式も身についた、覇気も一応使えるようになった。
となれば、後はその鍛錬を継続すると共に、悪魔の実の力を使いこなせるようになっていかないといけない。
ここで、自分なりの悪魔の実に関する考えを纏めてみようと思う。
その1、悪魔の実によって生み出された力は、質量保存の法則を無視する。
これは、Mr.3のドルドルの実や、赤犬大将の『大噴火』の技から予測される事だ。
彼らの生み出す蝋の量や、マグマの量は明らかに能力者の体重を超えているが、彼らは平然とそれを生み出している。つまり、自分次第で、大量の水銀を生み出す事も可能と思われる。
その2、生み出された物質は操る事が出来る。
ドルドルの実もそうだが、ドクドクの実のマゼランも毒液で、『毒竜(ヒドラ』なんて技を持っていた。
つまり、形状などを操って、操作する事が可能だという事だ。
……この考えが合っているとしたら、その1とあわせて、自分が考えている技が実現できそうだ。
その3、悪魔の実には『技』だけでなく『質』もある。
これは赤犬大将とエース戦から予測した事だ。
あの時、赤犬大将は自身の能力を『火の上位互換』だと言っていた。
だが、果たしてそうだろうか?
マグマの温度は、当時興味を持って調べてみたのだが、実は案外低く、800度〜1200度程度。地球のコアで6000度程度と推測されている。
さて、火って、そんぐらいしか温度上がらないだろうか?
んな訳はない。火も赤から青、白へと温度が上がっていけば、その温度はマグマをはるかに越える。実際、宇宙には万に達する温度で燃える星もある訳だし。
そう考えると、エースは能力を使いこなす為の『技』は磨いたものの、『質』を上げる事は怠っていたのではなかろうか、と推測出来る……とはいえ、これは責めるのは酷だろう。
普通の火でも十分攻撃力ある訳だし……赤犬大将と遭遇するまではアレで十分過ぎる威力があっただろうから、だ。
でも、『質』を上げてれば、返り討ちにあってたのは赤犬大将だったかもしれない、んだ。とはいえ、エースは海賊だからなあ…自分とはこのままいったら、敵対するんだよね。
その4、覇気もまた同じ。
覇気使いである白ひげ海賊団の隊長クラスに赤犬大将が攻撃された時、『厄介じゃのう』と言いつつも、首筋を斬られても平然としていた。
これから推測されるのは、覇気もまた量と質、それに元々の攻撃力が影響してくるんだろう。
その5、毒などは普通に効く
これは言うまでもないだろう、ドクドクの実が実例だ。
さて、これらを踏まえて、考えている事がある。すなわち。
……矢張り赤犬大将ことサカズキには退場してもらった方がいいだろう、という事だ。
彼は悪人ではない。むしろ正義の権化だが、自身を『正義』と断定する者程、実際は却って残酷に、容赦ない殺戮が出来る。我々の世界で自爆テロなんてやらかす人達だって、『自分達は極悪人である!』なんて思って、やってる訳はないだろう。
きっと彼らだって、『自分達は正義だ』『自分達は神の御意志に沿った行動を行っている』と思っているのだろう。
無論、見方変われば、正義もまた変わるんだけど……。
実際、彼は昨年、オハラに措いて、『政府の命に反した反逆者(考古学者)が乗っている(かもしれない)』という理由で民間人の避難船を容赦なく撃沈した。そこまで疑うなら、どこかの島に降ろす前に検査すれば……いや、それでも万が一、を考えたんだろう。
ただ、漫画でサカズキ大将の部下のみならず、クザン中将も『やりすぎ』だと引いていたように、サカズキ大将はとにかく、容赦がないのだ……原作時も大して性格が変わってたように見えないから、きっとこれから二十年近くの間も大勢を殺していくのだろう。そして、その中には海賊や反政府組織だけじゃなく、間違いなく巻き込まれた民間人も混ざっているのだろう。
エースを殺す相手だから、じゃない。どうにも好きになれないからだ。
とはいえ、どうするか。
……いや、方法はある。
毒物が効くなら……そう、水銀もまた毒物だ。
だが、果たしてそれは許されるのだろうか?
公害という水銀の毒がもたらした歴史を持つ日本人として……やってもいいのか。
元の世界で原因解明までに長い時間がかかったように、この世界でも同じ事が起きるだろう……ましてや、赤犬大将だけ体調不良となったとしたら、分かる訳がない。
自然と最前線に立てる体ではない、となり、引退へと追い込まれる事だろう……。
だが……。
これは毒ガスなんかと同じく、最悪の禁じ手なんじゃ……そう思うと……どうしても迷いが出てしまう。
これに関しては容易に結論が出そうになかった。
……ガープがつれてきた新人が部屋を去った後で、当人に確認する。
「ところで、奴は大丈夫なのか?」
「あ〜まあ、まだ何かありそうじゃが、悪人ではない。まあ、大丈夫じゃろう」
「何故そう判断した?」
「儂の勘じゃ!!」
「……」
センゴク大将は頭を抑えた。こいつの勘は恐ろしい程よく当たるからな……真面目に調査してる方としては時折バカらしくなる事がある。まあ、奴がそこまで言うならば、海軍全体の不利益になるような真似はするまい……。
さて、マリンフォードに到着した。
到着した俺はそのまんま大将とご対面……なんて事になってしまった。
いや、あんたら。いきなりそれまでの一般人を軍の最高司令官にいきなり会わせるなんて何考えてるんだ!?って思ったが、ガープさんだから、で納得するしかないと諦めた。
ガープ中将とセンゴク大将は昔からの戦友だ。
ああ、この時代はまだ先代のコング元帥が健在で、センゴクさんは大将だったんだな。
『どなたに会いに行くのですか?』
『おう、ここで大将なんぞやっとるセンゴクの奴じゃ』
という会話があった。誰に会いに行くのか聞いておいて良かった。下手したら、センゴク元帥と呼んでたかもしれない……。
本来ならば、ガープ中将も大将に昇進していてもおかしくなかった。如何に品行は問題があるとはいえ、英雄とまで呼ばれるにはそれだけの実績を積み上げてきた。大体、そんな人でなければ、息子が世界最高額の賞金首になったのに、平然と海軍軍人やってられる訳もないか……。
「おう、センゴク、邪魔するぞい」
「……一体なんだ、ガープ」
センゴクさんも『また何を持ち込んできやがった、こいつは』という顔をしつつも、ガープ中将を追い出す様子はない。
……考えてみれば、きっともう戦友と呼べるだけの相手も殆ど互いにいないのだろう。
この世界は過酷だ。一歩間違えれば、英雄と呼べるだけの実績のある人間でさえ、簡単にあの世逝き、だ。
きっとセンゴク元帥も、自分が出世しようが、変わらず友人として接してくれる、昔からの戦友の事を放っておけないんだろう。
そんな事をつらつらと考えている内に、俺の事についての説明が終わったようだ。
「つー訳で、こやつを海軍軍人にしようと思うんで、階級やってくれ」
「……まったく、お前は……」
どこか頭痛をこらえているようなポーズだが、本気で頭痛を覚えているかは疑問だ。
こういう相手だ、というのは分かっているようだし、すぐ立ち直っているし……案外、ポーズとしてやってるだけかもしれないね。
「まあ、いい。で?そいつは使えるのか?」
「おう、ここに帰ってくる前に、七千万の賞金首を一対一で捕まえておったわい。ま、まだ甘さがあるから、そこら辺は今後の課題じゃな」
「ふむ……よかろう、ならば少尉の階級を与えておく。ただし、しばらくは誰かにつけて研修だ」
……いきなり少尉!?
と思ったが、一億という賞金で本部の大佐クラスが出張るとかいう話を思い出した。
また、この世界の様子からして、階級というものは相当大雑把だと思っている。
コビーやヘルメッポとて、次に出て来た時は下士官だ。それも通常ならば、ベテランがなるような、ある意味少尉以上に我々の世界ではなるのが困難な階級。
……要は実力と上の匙加減次第なんだろうなあ、と思ってしまう。なんていい加減な所だ。まあ、だからこそ、力さえあれば、原作までに結構上まで行けるって事でもあるんだけど。
ちなみに、現在は海兵服だ。正義のコートに関しては、サイズの関係もあるので、明日支給だそうだ。
……というか、あれよあれよ、という間に決まったね!当事者の自分置いてけぼり。まあ、中将と大将の会話になんて割り込めなかったのもあるんだけどさ。
さて、『何か質問なり希望する事なりはあるか』との事だったので、部屋と当面の生活費と、それに資料室の閲覧を希望してみた。
前二つはすんなり出たし、後半に関しても、『思い出せる事がないか、年表とか地図とかを見てみたい』と言うとあっさり許可が出た。
まあ、閲覧許可そのものは低いけど、見たいのは本当に年表とか百科事典とか、地図とかなので、問題はない。
……確認してみたが、やはりオハラは昨年起きた事件か、と思う。
1年前は記されていたオハラが、今年からは綺麗さっぱり消えている。ここにある資料とて、海軍のお膝元なのと、まだほんの1年前という時間しか経ってないから、だろう。
さて、こうして資料を確認しながら、これからの方針を考えてみる。
まず体を鍛える事は続行だ。
幸い、これまでの鍛錬で、一通り六式も身についた、覇気も一応使えるようになった。
となれば、後はその鍛錬を継続すると共に、悪魔の実の力を使いこなせるようになっていかないといけない。
ここで、自分なりの悪魔の実に関する考えを纏めてみようと思う。
その1、悪魔の実によって生み出された力は、質量保存の法則を無視する。
これは、Mr.3のドルドルの実や、赤犬大将の『大噴火』の技から予測される事だ。
彼らの生み出す蝋の量や、マグマの量は明らかに能力者の体重を超えているが、彼らは平然とそれを生み出している。つまり、自分次第で、大量の水銀を生み出す事も可能と思われる。
その2、生み出された物質は操る事が出来る。
ドルドルの実もそうだが、ドクドクの実のマゼランも毒液で、『毒竜(ヒドラ』なんて技を持っていた。
つまり、形状などを操って、操作する事が可能だという事だ。
……この考えが合っているとしたら、その1とあわせて、自分が考えている技が実現できそうだ。
その3、悪魔の実には『技』だけでなく『質』もある。
これは赤犬大将とエース戦から予測した事だ。
あの時、赤犬大将は自身の能力を『火の上位互換』だと言っていた。
だが、果たしてそうだろうか?
マグマの温度は、当時興味を持って調べてみたのだが、実は案外低く、800度〜1200度程度。地球のコアで6000度程度と推測されている。
さて、火って、そんぐらいしか温度上がらないだろうか?
んな訳はない。火も赤から青、白へと温度が上がっていけば、その温度はマグマをはるかに越える。実際、宇宙には万に達する温度で燃える星もある訳だし。
そう考えると、エースは能力を使いこなす為の『技』は磨いたものの、『質』を上げる事は怠っていたのではなかろうか、と推測出来る……とはいえ、これは責めるのは酷だろう。
普通の火でも十分攻撃力ある訳だし……赤犬大将と遭遇するまではアレで十分過ぎる威力があっただろうから、だ。
でも、『質』を上げてれば、返り討ちにあってたのは赤犬大将だったかもしれない、んだ。とはいえ、エースは海賊だからなあ…自分とはこのままいったら、敵対するんだよね。
その4、覇気もまた同じ。
覇気使いである白ひげ海賊団の隊長クラスに赤犬大将が攻撃された時、『厄介じゃのう』と言いつつも、首筋を斬られても平然としていた。
これから推測されるのは、覇気もまた量と質、それに元々の攻撃力が影響してくるんだろう。
その5、毒などは普通に効く
これは言うまでもないだろう、ドクドクの実が実例だ。
さて、これらを踏まえて、考えている事がある。すなわち。
……矢張り赤犬大将ことサカズキには退場してもらった方がいいだろう、という事だ。
彼は悪人ではない。むしろ正義の権化だが、自身を『正義』と断定する者程、実際は却って残酷に、容赦ない殺戮が出来る。我々の世界で自爆テロなんてやらかす人達だって、『自分達は極悪人である!』なんて思って、やってる訳はないだろう。
きっと彼らだって、『自分達は正義だ』『自分達は神の御意志に沿った行動を行っている』と思っているのだろう。
無論、見方変われば、正義もまた変わるんだけど……。
実際、彼は昨年、オハラに措いて、『政府の命に反した反逆者(考古学者)が乗っている(かもしれない)』という理由で民間人の避難船を容赦なく撃沈した。そこまで疑うなら、どこかの島に降ろす前に検査すれば……いや、それでも万が一、を考えたんだろう。
ただ、漫画でサカズキ大将の部下のみならず、クザン中将も『やりすぎ』だと引いていたように、サカズキ大将はとにかく、容赦がないのだ……原作時も大して性格が変わってたように見えないから、きっとこれから二十年近くの間も大勢を殺していくのだろう。そして、その中には海賊や反政府組織だけじゃなく、間違いなく巻き込まれた民間人も混ざっているのだろう。
エースを殺す相手だから、じゃない。どうにも好きになれないからだ。
とはいえ、どうするか。
……いや、方法はある。
毒物が効くなら……そう、水銀もまた毒物だ。
だが、果たしてそれは許されるのだろうか?
公害という水銀の毒がもたらした歴史を持つ日本人として……やってもいいのか。
元の世界で原因解明までに長い時間がかかったように、この世界でも同じ事が起きるだろう……ましてや、赤犬大将だけ体調不良となったとしたら、分かる訳がない。
自然と最前線に立てる体ではない、となり、引退へと追い込まれる事だろう……。
だが……。
これは毒ガスなんかと同じく、最悪の禁じ手なんじゃ……そう思うと……どうしても迷いが出てしまう。
これに関しては容易に結論が出そうになかった。
……ガープがつれてきた新人が部屋を去った後で、当人に確認する。
「ところで、奴は大丈夫なのか?」
「あ〜まあ、まだ何かありそうじゃが、悪人ではない。まあ、大丈夫じゃろう」
「何故そう判断した?」
「儂の勘じゃ!!」
「……」
センゴク大将は頭を抑えた。こいつの勘は恐ろしい程よく当たるからな……真面目に調査してる方としては時折バカらしくなる事がある。まあ、奴がそこまで言うならば、海軍全体の不利益になるような真似はするまい……。