第二歩
夢の中で自分はあることを思い出していた。
それは前世のときに見たこの世界の主人公の情報。
たまたま開いたニコニコしてコメントがいっぱい流れる動画を見たときのこと。
実のところ自分はこの世界のことをそれでしか知らないのだ。
そしてそれで見た映像とは・・・
『…少し頭冷やそうか』
この言葉を発した後に磔にされた少女に向かってビーム見たいのを飛ばしている映像。
そして近くにいた青い髪をした少女が絶叫し、オレンジの髪の少女がうつろな目をしながら落下するというものだった。
はじめはなかなかに鬼だな(笑)ぐらいの気持ちで見ていた。
今になってちゃんとほかの情報も手に入れとくべきだったと後悔する。
はっきり言って自分の中でのこの世界のイメージは磔にしてビームでしかない。
そして問題はこれから発生するであろうイベントを自分は知らないのだ。
もし敵が学校に攻めてきて人質にされるようなイベントがあったら自分では絶対に対処なんてできない。
第一、自分が神からもらった能力はあんなビームをバンバン飛ばすような世界で真正面から戦ったら先ず瞬殺されてしまう。
自分が与えられた能力は、自分の2つの能力を使用することで強者ともまともに戦闘ができるというものなのだ。
片方ずつでも戦闘のまねごとはできる。
しかし、接近、範囲攻撃、映像のように磔などにされたら打つ手なし。
そのまま星にされてしまうのだ。
ここまで思考していると内容が切り替わる。
それは小学3年生の時にたまたま見てしまった恐ろしいもの。
その日、自分はたまたま臨海公園を訪れていた。
そこでとあるものを見てしまう。
主人公であるだろうなのはが、敵キャラに向かってニコニコな動画の映像とは比べ物にならないような規模のビームで攻撃したのだ。
それを見たときには戦慄した。
なぜなら発射される前に、ピンクの光が球体の形にに集まって行くのを見ていたからだ。
それは元〇玉でも使うのかと錯覚するほどのものだった。
そして、それを人に向けて放つのだ。
人が光に飲み込まれるのを見たとき自分は本能的に逃げ出した。
もし見ていたのがばれてあれを向けられたらと思うと背筋に冷たいものが走る。
幸いそのときは誰もこちらに気づいていなかったようだから近くにあった林の中に隠れ、誰もいなくなるのを待ってから帰った。
今思い出してもあれは怖い。
おそらくあんなのを受けた敵さんは生きてはいないだろう。
明らかなオーバーキル。
その日この世界の本当の危険性に自分の中で思い至ったのだ。
そして自分の中で一つの取り決めもした。
なのはと接する機会があったら絶対に逆らわないと。
現在ではその頃に拾った番号の入った青いきれいな石をお墓に見立てあの名前も顔も知らないかわいそうな敵キャラさんに祈りをささげるのが日課になっている。
その思考を最後に自分の意識が登るような感覚に見舞われる。
もう起きる時間のようだ。