第2話 魔法少女?
さて、授業が終わってからはいつもの国守山でトレーニング。
今日も縦横無尽に駆け回ろうかな。
素振りを軽く1万回ぐらい終えると、なんだかこの付近でも違和感を感じるぞ。
素振りを止め集中して探ってみると八束神社の方からだね。
ちょっと向かってみようかな。
八束神社に向かうと、神社への階段にいるのは……なのはちゃん?
それに向かって飛びかかって行く四つ目の犬の化け物!
迷わず俺はバットを構え素振りをする。
ドゴォウ!
なのはちゃんを守るように、素振りにより発生した竜巻が周りを囲む。
飛びかかってきた犬は、その竜巻に弾き飛ばされる!
もちろんなのはちゃんがいる場所は台風の目の状態で竜巻の被害を受けない。
「な、なんなの?」
なのはちゃんが驚いて混乱している。
「なのは! 今が封印のチャンスだよ」
あれ、フェレットが言葉を話してる?
まぁ、いいか。
「ええっと、封印ってのをすればいいんだよね。レイジングハート、お願いね。」
『All right. Sealing mode. Set up.』
杖が言葉を話してる?
そして杖から光の翼が生え、犬を光の帯が縛る。
『Stand by. Ready.』
「リリカルマジカル。ジュエルシード、シリアル16、封印!」
『Sealing.』
「ウォォォオオオーーーー……」
犬は光の塵となり散った。
光が消え、そこに残されたのは子犬と青い宝石だった。
なのはちゃんが宝石に杖を近付けると、杖の先端にある宝石部に宝石が取り込まれる。
『Receipt No. XVI.』
「これでいいのかな?」
「うん、これ以上ないくらいに」
「えへ。あ、さっきの竜巻は……?」
そう言い周りを見渡すなのはちゃんとフェレット。
やっぱりフェレットが喋ってるよね。
そして俺と目が合う。
「あ、それ俺がやったんだけど、怪我はないかい?」
「「え!?」」
なのはちゃんとフェレットが思い切り驚いてるね。
さてさて、どうしたものかねぇ……?
なんだか居心地が悪いな。
その後、硬直が解けた後、1人と1匹がコソコソと話しを始める。
「ねぇねぇ、ユーノ君。魔法とか色々見られちゃったけど、どうしよう?」
「ど、ど、ど、どうしよう?」
なんだか慌ててるけど、全部聞こえてるんだよね。
「いや、全部聞こえてるんだけど……。ついでにそのフェレット、ユーノだったかい? 君が喋ってるのも聞いちゃってるんだけど、どうするんだい?」
「「え゛!?」」
「まぁ、不思議なことは特に気にはしないから良いんだけど、少しは説明してもらえると嬉しいかな。俺の名前は一之瀬太郎、タローって呼んでくれ」
「うん、タロー。僕の名前はユーノ・スクライア。スクライアは部族名だから、名前はユーノだよ。実は……」
彼? ユーノが喋り始める。
ユーノは遺跡発掘をして流浪の旅をするスクライア一族の1人らしい。
彼らが発掘したジュエルシードが、輸送中の事故で海鳴市にばら撒かれてしまったようだ。
この発掘作業の現場指揮を執っていたのがユーノだったと。
そしてジュエルシードは願いが叶う宝石なんだが、雑念なども拾ってしまうので願いは正しく叶うことは少ない。
さらに封印をしていない状態だと、先ほどの犬のように動植物を取り込んで暴走体となる。
この事故に責任を感じたユーノは、独力でジュエルシードを回収しようとしたが、暴走したジュエルシードは手に負えず、傷を負って倒れたところでなのはちゃんと出会った。
で、ジュエルシードは合計21個あり、これが3個目とのこと。
「事故というぐらいだから君の責任でもないだろうに。君は真面目なんだな」
「いえ、僕が発掘したものですし、最後まで責任は取らないと……。そして放置するには危険なものですから」
「なるほどね。それで高町さんはユーノのお手伝いをしていると」
「うん。だって、ユーノ君だけじゃ心配だし、私も魔法が使えるらしいから手伝えると思って……」
さっきからスルーしていた魔法を自分で使えるとか言っちゃうのか……。
さっきからフェレットや杖が喋ってるのも魔法と言われれば納得できるな。
だいたい魔法のせい。
そんな感じかな?
まぁ、あまり気にしないでおこう。
「なんとなくだけど把握したよ。それで君達は残り18個集めるまで、こんな危険なことを続けるのかい?」
2人は真面目な顔をして頷く。
どうも真面目な堅物2人でやらせるには心配だなぁ。
うーん、俺にも何かを手伝う事は出来るかな?
野球以外は苦手なんだけど、放ってはおけ無いか。
「はあ……わかったよ。高町さんはユーノをしっかり手伝ってやればいい。俺も何か手伝うよ」
「うん。……タロー君も手伝ってくれるの?」
あれ、なんだか驚かれたね。
そんなに俺が手伝うのが不思議なのか?
「なのは、彼はリンカーコアがない。」
「「リンカーコアって何?」」
その後ユーノが説明してくれたけど、リンカーコアっていうのは魔導師が持つ魔力の源。
先天的なもので後天的に生じることは極稀であるとのこと。
要するに俺にはリンカーコアがないから魔法が使えないと。
そして魔法を使う補助道具としてデバイスというものがある。
魔法使いの杖というのが簡単な例で、なのはちゃんが持っているのはレイジングハートと言って、考えることも喋ることも出来るインテリジェントデバイスと言うものらしい。
「暴走体と戦ったりしなければならないから、魔法が使えないと危険は多いし、ジュエルシードの封印も出来ないんだよ」
「いや、魔法なんてものはどうでもいいよ。魔法がなくても手伝えることはあるだろ。大体、魔法が万能なのは絵本の中だけじゃない?」
「でも……」
「このまま見て見ぬ振りは出来ないし、知ったからには二人が心配だから、俺は無理をしないで手伝える範囲で手伝うよ」
「「ありがとう(なの)」」
「レイジングハートもよろしくな」
『All' right!』
ついなのはちゃんたちが心配で、自分から飛び込んでしまったよ。
まぁ、魔法なんて使えないのが普通だし、そんなものに頼らなくても出来ることなど山ほどあるからね。
とりあえず今日は解散となった。
さて、どうやって何を手伝おうかな?