第3話 説明と同意
前回なのはちゃんとユーノを手伝うことを了承した俺だが、さてさてどうしようかな〜。
とりあえず詳細を濁して、手伝ってくれそうな人に少しお願いしようとするか。
とりあえずノムさんに電話をしておこう。
場合によってはリトルリーグの練習も休まないといけなそうだし……。
後は、もしかしてユーノが言い忘れただけかもしれないけど、魔法の秘匿は言われてないから、両親にはちゃんと説明しよう。
未成年だからちゃんと話をしておかないといけないよね。
「父さん、母さん、話があるんだ」
夕飯の食卓で両親に話し始める。
今日、八束神社であった事。
魔法とジュエルシードの存在。
ユーノとなのはちゃんの事。
手伝うと約束した事。
全てを話し終えると、父が口を開く。
「突拍子もない話だが、タローが嘘を付くとは思えない。私達は信じるよ。なあ、母さん」
「ええ、たっちゃんは良い子ですから、嘘は付きませんからね。その2人のお手伝いをしたいのね?」
俺は無言で頷くけど、この両親は優しすぎるよね。
何というか、良い人過ぎてビックリさせられるよ。
そんな事を思っていると、2人とも続けて話し始める。
「私はタローが無理や無茶をしなければ何をしてもイイぞ。1つ条件があるとすれば、ちゃんと無事に帰って来ると約束してくれ」
「あら、あなたが条件をつけるなら、私も1つ付けよかしら?」
「はっはっは。母さんも1つぐらい言ってみなさい」
「俺はどんな条件でも受けます。だから2人を手伝わせてください」
「それなら……その俺と言うのを辞めて僕にしなさい。まだ小学生なんだから俺と言うのはあまり良くないわ」
………。
母は何を言ってるんだ?
「はっはっは。それは良い。タローは言葉使いは基本的に良いのだから、俺と言うのを止めておくと更に良くなるな」
「ええ、そうでしょ。俺より僕の方が可愛らしいですもの」
この2人は本当にお人好しで優しいわ。
この程度の事ならちゃんと守らなきゃ。
「はい。僕はちゃんとその条件を守りますので、やらせてください」
「「良い(わ)よ」」
さて、ご飯が少し冷めたけど食べるかな。
「母さん、明日タローと携帯電話を買いに行きなさい。タローも後でカタログを出しておくから、明日の学校が終わるまでに欲しい機種を選んでおきなさい」
「え、良いの?」
「あら、そうね。これで何かあった時も連絡が取りやすくなるから良いわね。明日の放課後に学校まで迎えに行くから、そのまま買いに行きましょうね」
なんか幸運ですね。
許可を得つつ携帯まで買って貰えるなんて……。
小学生に持たせるのは早い気もしますけど、クラスメイトでも数人持っているのでこれが時代の流れだと理解しておきますか。
次の日、学校に行って早速携帯電話のカタログを開く
授業が始まるまで見てよう。
うーん、電話とメールが出来れば良いんだが、さてさてどれにしようかな?
「「「おはよ〜」」」
話をしながら三人娘が通学して来た。
教室がまた騒がしくなって来たな。
さて、そんな事よりカタログを……。
「タロー君、おはよーなの」
「ああ、おはよう。昨日の今日で身体に不調はないかい?」
「うん、全然平気なの」
「それは良かった」
そんな挨拶をなのはちゃんとしていると、残りの2人がなのはちゃんを引っ張って行きコソコソと話し始める。
いや、その程度しか離れないなら、僕じゃなくても全然聞こえるから……。
「なのは、あの一之瀬に今日はわざわざ挨拶に行ったけど、どー言う風の吹きまわし?」
「なのはちゃん。一之瀬君と仲良かったっけ?あと、昨日の今日で身体の不調って?」
あ、なのはちゃんがフリーズしてる。
ん、レイジングハートと話をしているのかな?
これって耳を澄ませば聞こえるかな?
(ユーノ君、な、なんて説明しよう?)
(なのは、落ち着いて。とりあえず神社で運動していたらタローと会ったと言ったらどうだい?)
(うん、そうするの)
「昨日神社で運動していたらタロー君と会って、それでお話しするようになったの。ね、タロー君!」
(お願い、上手く合わせて〜)
(なのは、タローは念話聞こえないよ……)
「「そうなの一之瀬君?」」
なんでこの子達はこの程度の事で必死なのかな?
まぁ、ややこしいのは僕も困るからイイけどさ。
「ああ、そうだよ。僕はいつも国守山でトレーニングをしているから、神社で昨日運動していた高町さんと会ったんだよ」
そう言い、手元のカタログに目線を戻す。
さて、どれが良いのかな〜?
(ユーノ君、上手く行ったの。タロー君、ありがとうなの)
(なのは、良かったね。だから、タローに念話で感謝しても聞こえないんだってば)
いや、その念話ってやつは目の前でやってるなら、耳を澄ませば聞こえるよ。
こっちからはどうやれば言葉を伝えられるか分からないけど……。
キーンコーンカーンコーン
おや、予鈴だ。
2人はまだ何か聞きたい様だったけど、授業が始まるから席に戻って行く。
なのはちゃんはこちらに手を合わせから戻って行ったけど、折角合わせたのにそんな行動を取ったら怪しまれるよ……。
授業中は平和だったが、昼休みに三人娘がやって来た。
「タロー君、お昼を一緒に食べに行こ?」
「良いよ。支度をするから先に行っていてイイよ」
「早くしなさいよ。私達は屋上にいるからね」
そう言って三人娘は教室を出て行く。
さて、僕もお弁当持って屋上へ行くかな。
今日は牛タン丼だ。
この牛タンって言うのは……以下略。
屋上に来たんだが、なんで三人娘以外はいないんだろう……?
まさか、貸切!?
「タロー君こっちなの〜」
呼ばれた方へとりあえず行くか。
「ごめん、待たせたかい?」
「そんなことないわよ。それより食べながら自己紹介しましょ。同じクラスでもまだ、あまり話をしていないでしょ」
「そうだね。それでは……」
「「「「いただきます」」」」
食事をみんなで食べ始める。
やっぱり女の子のお弁当は綺麗で少な目だね。
まぁ、僕の牛タン丼の美味しさには敵わないだろうけどさ。
「同じクラスだから、長い自己紹介は省くわね。呼び方はアリサで良いわ」
「私はすずかって呼んでね」
「分かったよアリサ、すずか。僕はタローと呼んでくれ」
「「うん、タロー(君)」」
「私もなのはで良いの」
「分かったよなのは」
この後は簡単な趣味とか、家の話をした。
2人ともかなり大きな家に住んでいて、すずかはメイドがいるし、アリサは運転手がいるんだって……。
随分とお金持ちでお嬢様なんだね。
僕はさっさと食べ終えてしまったから、携帯電話カタログの続きでも読むかな。
はっきり言って良く分からない……。
「タローは何をさっきから見てるのよ?」
「ん、携帯電話のカタログ。今日、母さんが買ってくれるって言うから、お店で悩む前に予習してるんだけど、何が良いのか良く分からない」
それなら任せてと三人娘が意見を言い合う。
やれ、これが最新機種だの、これが高性能だから良いだの、これのデザインが素晴らしいだの……。
とりあえず三人娘の意見を聞いてまとめた結果。
「一番頑丈なのはどれ?」
三人娘は呆れたみたいだけど、J-SHOCKの携帯電話を進められた。
確かに防水で対衝撃とか結構大丈夫そうだ。
「三人ともありがとうね。これにするよ」
「私たちの意見は何だったのよ……」
「「あはははは……」」
その後は携帯電話を買ったら連絡しなさい!と、三人娘の電話番号とメールアドレスを教わった。
そして、僕がリトルリーグに入っていることを教えると、試合を見に行くと言う話になった。
「次の土曜日が試合だよ。急だから予定か合わないんじゃない?」
「あら、大丈夫よ。ね、すずか、なのは」
「うん、私は大丈夫かな」
「私も大丈夫なの」
「ほらね。その代わり日曜日はなのはのお父さんが監督をやっているサッカーチームの試合があるから、タローも応援に来なさいよ」
「あぁ、構わないよ」
お互いの試合会場や時間を教え合って昼休みは終わり。
随分と騒がしいお昼ご飯だったな。
折角応援にきてくれるのに、最近はジュエルシードとかで色々と忙しいから、試合までトレーニング時間があまりない。
仕方が無いからイメージ負荷を多めにしておこう。
そして放課後。
母さんと携帯電話を買いに行った。
欲しい携帯はあまり人気がないのか、在庫もあって買えたよ。
僕のポケットに入れて置いても壊れなければ良いんだが、さすがにトレーニング中とかは無理だと思うから、取り扱いには気をつけないとね。
とりあえず三人娘のアドレスを登録して、メールを送っておこう。
そうするとアドレスを登録したと返事が直ぐに来た。
なのはとはジュエルシードの件で連絡が取れるようになったから便利になったかな。
僕も念話が使えれば良いんだが……。
目の前で念話をやってるなら耳をすませば聞こえるけど、こっちから声は届けられないから不便だよね。
夜になのはから電話が来て、ジュエルシードの発動があったと言われた。
その場所は夜の学校だった……。
要するに怖いから一緒に来て欲しいんだってさ。
仕方が無い、準備をして学校に向かうか。
バットとグローブを持ち、自分で投げたボールに乗り、学校近くに着地した。
あまり目立ってもダメだから、ここから学校は歩いて行こう。
さて、なのははどこにいるのかな?