それは、たしかに舞にも見えた。
幾多もいる怪物を切り刻み、吹き飛ばし、蹂躙する鋼鉄の巨人。
しかしその力は絶対で、触れる事すらかなわない力でも見えた。
だがその力を振るっている巨人の目にはなぜだろう、一筋の涙が零れているようだった。
12:00
釜山広域市 北方
もう、どれほどの数を相手にしたのか分からなくなった。
万を数えたあたりから数えるのをやめているが、半分は削れているだろうと思った。
両手に剣と刀を持って切り落とし、銃を使って吹き飛ばしもした。
だがそれでも津波のような行群は収まらず、2km先の司令部を目指して元10万の大群はその力を暴走に近い状態で出していた。
さすがにこの数が減らない事に苛立ちを覚える。
「あぁ、くそ!数が減りゃしねぇ!」
なんて途方もない事を叫びながらBETAの海に突貫し、そして喰い荒らしていく。
何度繰り返したか分からない所で、急に目の前に中将が現れた。
『鉄!後どのくらい掛かる!』
中将の問の答えのために、向こう側の画面を見る。
二足歩行の一つ目と同じく、目から光線を出してくる二つ目を重点的に撃破していたので、残りわずかと考えてもいいだろう。
タコと盾化けは通る度に大量にいたので、これも撃破。だがしかし数が減る事はなく、今も大量に残っているだろう。
蜂のような蜘蛛はでかく、邪魔な存在だったしこれも撃破。タコや盾化けとは違って目立っていたので半数ほどになる。
以上の予測を計算して
「15分だ!後15分で大型は全滅させる!小型で光線を出してくる奴は全滅させた!その他の小型、中型は任せる!」
『了解した!大型の全滅が済み次第、前線の援護に回ってくれ!』
「了解だ!」
中将との通信が終わり、軽く深呼吸をして心を落ち着かせていた。
難しい事は考えず、今はただ目の前の事に集中して、奴らを全滅させる。
そういえば昔、祖父にこんな事をいわれたことがある。
「お前はその力を、何のために利用するんだ?」
俺の力、つまりはフェンリルの事なのであることはすぐに分かった。
確かにこの力は一歩間違えば世界をも滅ぼす事が出来る。
だがそれを行えば、『世界』に殺されてもおかしくはない。
その時の俺はただ普通に自らの夢のためにこの力を使い、使役すると言った。
誰もが一度は憧れたことがあるかもしれない
「俺はね、
その夢は、とある英雄のような夢ではないけれど、それでも俺は
「この両手で救える物すべてを、救うんだ。」
俺の象徴を否定するために、この力を使う。
ほんの40秒程度の事なのに、とても長く感じていた。昔の俺の誓い、今は亡き祖父との誓いだった。
俺の存在をすべて否定する誓い。その誓いを破る事は無く、また成した事は無い。
「まったく、その時の俺の頭を疑うよ。ほんっと。」
まぁ、当時の俺がどれだけ夢物語に憧れていたかが分かってくる。
この力は誰かを救うと信じて疑わなかった俺と、いろんな人間を見てどれだけの人間が欲だらけなのかを見てしまった今の俺。
10年も経つとこんなにも変わるのだなと、つくづく思い知らされる。
でも案外夢なんてものは、叶いやすかったりもする。
そして俺にも夢があった。
俺の夢は『誰かを救える人間になる』ことと『いろんな場所を見て回る』ことである。
俺の
「
自身と機体を同調させて、身体影響を機体にも起こす事が出来るシステム———『クラン』を発動して機体の耐久値を上げていく。
同時に神下ろしの影響によって俺の体に刻印のようなものが浮かび上がって機体の外装パージと同時に刻印が光りだす。
さて、準備は完了した。
「用意はいいか?アンラ」
<こっちはOKだよ、ウルフ>
俺が呼んだアンラと呼ばれる第二人格は俺の事を契約時の名前で呼ぶ。
今となっては二人とも名前を変えているのだが、その名前で呼び合う事は無い。
<さて、僕は君の呼び出しに応じたよ。君は何を対価にするんだい?>
「そうだなぁ・・・・後20年の俺の死因かな。」
<今回は大きいねぇ、そんなに使うのかい?>
「10万が相手だからな、備えあれば憂いなしってやつだよ」
アンラは人の負を糧に存在しているような物。だから俺の負を奴に喰わせる。
そして俺の負というのは————
<これでまた死が遠のいたね。それじゃあ、後20年一緒になるわけだ。>
「ったく、またテメェといんのが20年増えんのかよ・・・・めんどくせぇな。」
<まぁまぁ、そう言わずに>
『世界』の名を持つ事が許された『邪神』アンラ・マンユと共にいる期間である。
「サポートは任せたぞ、アンラ」
<はいはい、任されましたよ。>
いつもの会話を終えて、死地に突っ込む俺とアンラの顔は、いつに無く笑っていた。
ただこのときまでは、この世界がどれだけ残酷なのかさえも分からずに。
どうも、陽炎です
バイト帰りに本を書こうとすると、どうも手がつかなくて毎日唸っています。
いろんなことを書きたいんですがぁ・・・・多すぎてすごく困っている状況でもありますw
朝鮮半島の地域に関してはGoogleマップを使っても出なかったので、いろんなところから探し出しました。
釜山(プサン)広域市と呼ばれる地域は朝鮮半島の最南端あたりになります。
その北に梁山市があり、西に安骨洞があります。
詳しく知りたい方は、ネット検索で『朝鮮半島 地図』と調べればありますので、そこからはセルフでお願いします。
なろうさんの報告のほうでも述べましたが、ハーメルンさんとの二重投稿をしようかと思います。
にじファンさんのところでお世話になったときに、アクセス件数にすごく助けられたので;
そして作者は本格的なage厨になってしまったかもしれません・・・・!
君がいた季節の限定版を買ってしまいましたw
まだやってはいないんですが・・・・
近いうちにやろうかと思いますw
では、また会いましょう。