第89話
お早う御座います。
モンモランシーの母で御座います。
屋敷から見渡す領地は、少し前では考えられない程、活気に満ちています。
水の精霊との交渉役と言う大役も無事娘が継ぎ、新たな家宝となる指輪も水の精霊から託されました。
ゲルマニアのハーナウ・ツェルプストー両家、そしてヴァリエール家からの支援も貰い、かつてない程に盛況を極めています。
これも、モンモランシーが捕まえた義理の息子のおかげです。
残念と言えば、婿入りは出来無い事と複数の婚約者を同時に抱えている事でしょうか……
しかし、殿方の愛情とは有限なのです。
広く浅くでは、愛娘の幸せに関わりますから。
如何に、ツアイツ殿の寵愛を最大限に受けるか。
それが、問題ですわ。
幸いにして、我が家は水の秘薬の大家!
惚れ薬関係の薬なら、6000年の歴史の研鑽を見せ付ける程に種類が有るのですが……
しかし、娘にキッパリと断られてしまいました。
何か……
挿話?で、そんな物に頼らなくても平気な事を知っているからとか何とか。
母親に向かって惚気をカマすとは、娘の方がベタ惚れなのが分かりました。
それに、2人の間には確かな絆が有るのでしょう。
心配事は、まだ若いツアイツ殿が色んな女に手を出さないかです!
あれだけの甲斐性と能力を持つ身ですから……
周りの女性陣が放っておかないような。
その辺は、キュルケさんとルイズさんと共同して言い寄る女を防いでいるから平気らしいのですが。
母の勘では……
居ますよ!
特大の恋敵が、必ず居ます。
ビビっと来ましたよ!
ブリミル様の御告げが……
しかし、娘を信じて待ちましょう!
早く孫の顔が見れる様に……
SIDEツアイツ
ド・モンモランシ領の復興について、目処がたちました!
詳細は復興資金を貸し付けて、そのお金で復興資材を買って貰う。
後は、相互貿易とかですね。
本当はもっと細かい内容なのですが……
その辺は、両家の家臣達の実務レベルのお話です。
元々、水の精霊とド・モンモランシ伯爵を言いくるめるのが僕の仕事。
その任は、果たした訳ですから。
後は、専門家に丸投げしました!
序でにグリフォン隊員&竜騎士団員達は、領地の盗賊や亜人達の討伐のお手伝いですね。
無駄飯喰ってないで、キリキリ働けや!
そして、彼等の素姓ですが、ド・モンモランシ伯爵にはバレているみたいです。
「国を超えた友情とは素晴らしい物ですな!」
とか、したり顔で言われたから……
心配事は、討伐を共にしたド・モンモランシ伯爵の家臣団の方と交流が出来たのですが……
その際に、男の浪漫本が話題になる事が多く、比較的年上が多い家臣団の方は、正統派オッパイ好き……
つまり巨乳派で有り、ロリじゃないお姉さんが好きな方が殆どでした。
お別れの挨拶の際に
「良ければ、領地から巨乳お姉さん本をまとめて送りますから」
と、言ったら
「有難う御座います。
流石は、若旦那様ですな。
早く、お嬢様と結婚なされてこの地にも巨乳神殿を建立しましょう!」
とか、脇で聞いていたド・モンモランシ伯爵のコメカミがピクピク動いていましたが……
特に若旦那様の辺りで。
夫人はニコニコと聞いていました。
多分、豊胸指導の他にお肌ケアやヒップの弛みを無くす方法など、現代美容術を提供したおかげかな?
彼女も、水のトライアングルで有り、水の秘薬の大家。
成分表を提供したら、早速研究するそうです。
結果は、ウチにも教えてくれるし公表はしないそうです。
美に賭ける女の執念なのですね。
彼女は、モンモランシーに良く似た美人さんです。
もしかして、ド・モンモランシ伯爵は養子なのでしょうか?
完全に尻に敷かれていると言うか……
それは、それとして。
そろそろお暇しようと思います。
こちらに滞在して、既に10日以上経ちました。
復興は順調ですし、既に僕のする事も無く毎日モンモランシー達と遊んでばかり……
竜騎士団とグリフォン隊の皆さんもそろそろ休暇が終わる筈ですから。
彼等にも、あるオマケのついた、男の浪漫本の最新刊を渡します。
エキュー金貨でお礼をしようとしても、頑なに断られたので……
この後は、ヴァリエール家にルイズを送りがてらお邪魔して、ゲルマニアに帰る予定です。
カリーヌ様から、直々の手紙を貰いまして……
恐いけど、行かなければならないのです!
カステルモール殿とワルド殿は……
エルザにアタックをする気だな。
口ではミス・タバサをガリア迄送るとか言っているが、ガリアに行って会わずに帰るとは思えない。
2人には、彼女は吸血鬼だと教えてある。
後は、とっても優秀なのに酷い変態な君達の努力次第だと思う。
グールにされない様に注意だけ口を酸っぱくなるまで言っておいた!
正直、この時点では彼等の漢度を甘く見ていた。
コイツ等は、僕の心配も想像も超越してた……
ただ、それだけだ。
彼等は、1+1=無限大 の変態だったから……
シェフィールドさんは、僕をゲルマニア迄護衛してから、ジョゼフ王に報告に行くそうです。
流石はお姉ちゃん!
僕の護衛の筈の、風の変態組とは大違いだ。
そして出発の日、ド・モンモランシ夫妻とモンモランシー、そして家臣団の皆さん総出で、送り出してくれました。
モンモランシーとはこれでお別れですが、夏休みの後半にはトリステイン魔法学院で落ち合う約束をしました。
「ツアイツ殿、ヴァリエールの阿保たれに宜しく伝えて下され!
復興の件は感謝すると……
それとグラモンの色ぼけの取り込みは任せて欲しい」
そう言って握手をする。
「有難う御座います」
「ツアイツ殿、早く試練を解決しモンモランシーを貰って下さいね」
こちらは、軽くハグしてくれました。
もう義理の息子扱いですね。
最後はモンモランシーですが……
抱きつかれて……
フレンチなキスをされてしまいました!
周りから野次が飛び、ド・モンモランシ伯爵が怒り狂ってますが……
「ツアイツ、またね!
浮気は許さないからね」
と、釘を刺されながらド・モンモランシ領を発ちました!
「次は私の番だからー!」
ルイズ、ご機嫌です。