第118話
おはようございます。
ツアイツです。
寝不足の為、朝食を食べるのもボーッとしています……
メニューは、ベーコンエッグにクラムチャウダーに各種パン、それに牛乳だ。
先に屋敷に帰したエーファ達が、給仕をしてくれている。
久し振りの実家の朝の風景……
昨夜は父上とロマリア対策で話し合い、全てのオーダーの発注手配書を書き終えたら既に部屋の窓から朝日が差してきました。
完徹です!
しかし、テファやロングビルさんと久し振りに一緒の朝食だから頑張って起きてます。
テファが、隣で甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるのが嬉しいです!
ロングビルさんもテファの反対側に居て挟まれる様に座っていますが、少し不機嫌そうだ……
昨日、キュルケと結婚式を挙げたばかりだし、当然2人共知っているだろう。
しかし、今日はテファとイチャイチャ……
この幸せを守る為にも頑張らねば!
「父上、そう言えばワルド殿の遍在が来ている筈ですが?」
すっかり忘れてたけど、ソフィア達と帰したんだ。
「ああ、彼ならサムエル愛の資料館に籠もっているぞ」
遍在って食事しなくて平気なのかな?
謎の多い魔法だよね!
後で顔を出してこよう。
「ツアイツ、今回の休暇は何時まで居られるのかしら?」
母上かのんびりと聞いてくる。
「そうですね……
二週間位滞在出来るかな。
学院には始業式の10日前位には戻る予定です」
「それなら、ゆっくり出来ますね。
久し振りに実家を満喫しなさい。
それと、テファさんに構ってあげなければ駄目よ」
テファを見れば、目が輝いている。
しかし襲撃の件も有るし遠出は危険かな……
「そうですね。
テファとロングビルさんは何がしたいの?」
急に話を振られたロングビルさんはビックリして
「私かい?
私よりテファを優先してやってくれよ。
テファは何かないのかい?」
自分より義妹を優先するロングビルさん。
「わっ私ですか?
…………では、練習した手料理を食べて貰いたいです」
彼女は前の休暇の時に、料理のレパートリーを増やすと約束したっけ。
今度は何を作ってくれるのかな?
「それは楽しみだな。
父上、皆で近くの街まで買い物にでも行きませんか?
ウチの街も大分賑やかになった筈ですし……」
母上に「あーん!」して貰っていた父上に許可を貰う。
「ん?
そうだな……
十分な護衛を付ければ良いが……
ツアイツ、シェフィールド殿はどうしたんだ?
彼女が居れば問題無いのだが?」
ヤンデレ無双を知っている父上が聞いてくる。
確かにお姉ちゃんは最強の護衛だ!
「シェフィールドさんは旦那さんの所に里帰り中なんですよ」
父上が、微妙な顔?
「そうか……
ジョゼフ王も大変だな。
あの想いを一身に受け止めているのか」
「「…………?」」
余りシェフィールドさんを知らない母上とテファは不思議そうだ!
「まぁ今日位はのんびりしろ!
街に繰り出すのは明日でも構わんだろ?」
父上の提案で、今日は一日中ニートする事になった……
んーお昼寝したいです!
食後に、遍在ワルド殿に会いに
「サムエル愛の資料館」
に、顔を出す!
「おはよう!
遍在ワルド殿、居ますか?」
部屋に入ると、ワルド殿が2人居る。
2人共、一心不乱に男の浪漫本を読み耽っている。
片方は、鬼気迫る物が有るのだが……
2人がこちらに気付いた。
軽く頭を下げるワルドA
「お邪魔しております。
ツアイツ殿」
この落ち着きは、あの遍在さんかな?
では、こっちの目を血走らしてる方は……
まさか本体か?
「ツアえもーん!
カステルモールに幼女を取られちゃったよー」
縋り付いてくる本体?
「誰が、ツアえもーん!
ですか!
てか、どっからそんな単語を調べてくるのですか?
まさか本体ですか?」
強引に引き離して問い質す!
「ああ……
すみません。
取り乱してしまいまして。
私は本体です。
ガリアでカステルモール殿と別れた後に、直ぐサムエル殿に手紙を出しまして……
自棄酒を何日か飲んでから、此方に来ました」
「そうなの?
でもトリステイン王国に居る遍在達は平気なの?」
ワルド殿、仕事はどうしたの?
「今は遍在は2体です。
彼と政務をこなしている奴だけですから」
「男の浪漫本をコピーした2人は?」
「私もカリスマ上級会員ですから、全て買い揃えました。
この2体の遍在は、自ら男の浪漫本を読む事により漢力を回復出来るので、本体との距離が有っても平気です」
何言ってんの?
遍在って、そんな魔法じゃないよね?
僕は恐る恐る遍在ワルド殿の方に顔を向けると……
彼が頷くのを見てしまった。
こいつ、軽く虚無ってないか?
原作では中ボスだったのに、変態紳士化したらバグキャラになりやがった……
「それで、エルザ殿とカステルモール殿はどうなったのですか?」
ワルド殿が血の涙を流して語るカステルモールとエルザの恋物語に、僕は思わず拍手してしまった!
グッジョブ、魂の兄弟よ!
多分、理想的な終わり方だろう。
誰も死なず、彼女も幸せになれた。
まさか正妻に!
とは思わなかったけど。
しかし成長しない幼女を妻にしたのだ。
此方でもフォローしないと駄目だな。
「それで、いつ頃こちらに来ると言ってましたか?」
「一度、イザベラ殿と話してから此方に向かうと言ってましたな。
ブリュンヒルデなら一週間位で此方に来れるのでは?」
彼の逞しい相棒を思い出す。
確かにあの風竜なら、さほど時間は掛からないだろう。
「ツアイツ殿、本題です!
カステルモール殿に有り、私に足りない物は何なのですか?
何故、私にはロリッ子を娶れないのですか?
何故、私はタバサ殿に振られなければ……」
両手を地に付いて慟哭している。
床に彼の涙で水溜まりが出来始めた。
「何故、タバサ殿に振られたのですか?」
タバサ殿との雰囲気は悪くなかった筈なのに……
「タバサ殿は、成人男性の痴態にトラウマが出来たらしく……
竜騎士団の連中や私には、その様な感情は持てないと言われてしまいました……」
おいおい。
知らない内にとんでも無い話になってるぞ!
どうしようか……
余りにも哀れ過ぎるぞ。
しかし、原作キャラでワルド殿の好みのロリッ子なんて他には……
居た!
とびっきりの美少女が居たよ。
「ワルド殿……
僕も面識は無いのですが、1人とびっきりのロリッ子美少女を知ってますよ」
ワルド殿が顔を上げたが、涙と鼻水でエラい事になっていた……