第155話
深夜の自室で話し合う。
オッサンとロリ……
「エルザ、ツアイツ殿の護衛すまないね」
「ツアイツお兄ちゃんとの遊びは面白いよ!
でも護衛要らなくないかなぁ?」
膝の上に座っているエルザの頭を撫でながら聞く。
「何故だい?」
「ツアイツお兄ちゃんの体……
あの筋肉の付き方は戦闘を生業としてる連中の付き方だったよ!
本人の魔力も高いし……
1人でメンヌヴィルと傭兵達とも渡り合ったんでしょ?
かえって邪魔じゃないかなぁ?」
カステルモールは考える……
「確か、烈風のカリンの愛弟子だったな。
武人としての雰囲気はないが、それなりの遣い手なんだろうね。前に元素の兄弟を相手に良い様に攪乱したとも聞いているし……」
「烈風?
ああ、トリステインのオバチャンだね!」
黙り込むカステルモール……
「それは本人の前では言わないでくれよ。
まぁ会う事もないと思うが……
明日の夜も忙しいから、早く寝るか」
エルザを抱きかかえてベッドに向かう。
「発情した姫様が来るんだよね?
ツアイツお兄ちゃんも大変だ」
「……いや、違わないけど違うぞ。
それは誰にも言ってはいけないよ」
子供?故に本音で話してしまう彼女に、どう説明しようか悩むカステルモールだった。
「そう言えば性癖について、ツアイツお兄ちゃんが良く話し合えって!
エルザ、大人の方の女王様になって言葉責めや鞭打ちしたら良いの?
って聞いたらね……」
「なっ何でそんな話になったんだ?」
思わずエルザを抱きかかえて聞き直す。
「うーんと、カステルモールお兄ちゃんのマントの刺繍のエルザがボンテージ?だったから……
てっきりそう言う趣味なんだと思った。
でもツアイツお兄ちゃんは違うから良く話し合えって!」
ツアイツ殿、有難う御座います。
まさか、幼女に調教のタイミングを計られていたとは……
「私はノーマルだ!
今夜も証明しよう」
そう言ってエルザを押し倒す!
「キャ!」
ラブラブな2人だった……
翌朝、食堂で見たカステルモールはゲッソリしていたが、エルザは艶々だった。
SIDEツアイツ
「カステルモール殿。
何故かお疲れですが、昨夜はイザベラ様を送って行かれたのですか?」
右手だけで器用にスクランブルエッグを食べながら聞く。
「ははははっ!
仕える姫に何か有っては一大事ですから」
何故か動揺している?
「あの後、イザベラ様付のメイドさんが来て見舞い品を置いていきましたよ。
流石はイザベラ様だ。
王族が深夜に出歩くに辺り、護衛とか準備とか全て滞りなく手配されている」
「ははは……
イザベラ様の手腕は凄いですね。
でも知らない振りをして下さい」
「何故ですか?」
カステルモール殿は何かを考えているみたいだが……
「きっと誉めると、照れるから……
でしょうか?」
「…………?
随分奥ゆかしい所も有るんですね」
ツンデレさんだからかな?
意外な一面だね。
「今夜イザベラ様が来たら、これからの事を話し合いますのでカステルモール殿も同席して下さい」
「お断りします。
いや、遠慮かな……
何か有れば呼んで下さい。
それまでは2人で話し合われた方が良い!」
そんなに力説しなくても良いのに……
「分かりました。
アルビオン王国に行く手段をどうにかしたいのです。
ウェールズ皇太子には手紙を送ったので、そろそろ着いている筈ですが……」
どうするかな?
イザベラ様に頼もうか……
「ああ、私が相棒と送りますよ。
近くまでは、両用艦隊で……
それにイザベラ隊も付いてくるでしょうし」
当初の予定通り、彼らは助力してくれる。
しかし、イザベラ様に断りを入れないと駄目だね。
「有難う御座います。
しかし、イザベラ様に私から頼んでみますね。
流石に軍籍にある船は拙いですし……
お金は私が出しますから、民間機を雇いましょう」
金貨は重いから、宝石を幾つか持ってきている。
捨て値でも1つ千エキューは下るまい。
「用意が良いですね。
しかし心配は無用だと思いますよ」
その頃のデレベラ様!
プチトロアのイザベラ執務室。
久し振りに主が元気に政務をこなしている。
しかし、この2人が手伝うのは当たり前の扱いになっていた。
「イザベラ……
ミスタ・ツアイツはどうだったの?」
タバサが、書類と格闘しながら聞いてくる。
「ああ?
元気だったよ。
しかし、怪我が酷い……
暫くは静養させるよ」
「怪我……
大丈夫なの?」
何だい?
エレーヌ、まさかワルド子爵を振ったのはツアイツ狙いかい?
「エレーヌ……
可哀想だが、ツアイツはペタンコは無理だよ。
他のロリコンを探しな」
「イザベラ様、タバサ殿は純粋にツアイツ様を心配してるのですよ!
嫉妬は可愛いですが……」
「……嫉妬?
イザベラはツアイツと結婚するんでしょ?」
「えっ?いや、そうなんだけど……
その、未だ工作が……
もう少しかかるよ」
やはりお子様には、ツアイツの良さは解らないか……
まぁツアイツは自他共に認める巨乳好きだから、エレーヌは安全パイだ。
そうだ!
コイツの存在を忘れてたよ。
「ジャネット……
言わなくても分かるな?」
一応確認しておく。
「その、ツアイツ殿狙いかって事ですね?
イザベラ様の後で良いです。
彼の周りに居れば、面白い事に困らないですから」
そうだった!
コイツ等は、自分が楽しければ良い奴らだったよ……
「自重してくれよ。
私は午後、昼寝をするから今日の仕事は昼までだ。
さぁもう一息頑張るよ」
寝不足だと、アイツとの時間に差し支えが出るし……
そうだ!
見舞いの品を何にするか、考えてなかったよ。
病人だからね……
何が良いんだろう?
果物?お酒?
んー何時も貰う方だったからね……
専用デスクに座り、うんうんと仕事もせずに悩み始めたイザベラ。
タバサとジャネットが、やれやれと仕事をサボる為に執務室を出て行っても気が付かなかった……
デレ期は順調に続いている。