トリステイン編アンリエッタルート(オマケ)
このバットエンドは、闇の皇子様からの結構前に募集したアンケート回答によるアイデアを元に書いたものです。
お話の流れ的に随分経ってからの掲載ですが、何とか書けました。
これは、アンリエッタ姫ファンの方は見ない方が良いかも知れません。
リクエスト自体が、ツアイツとウェールズに振られてヤケになる話を希望されましたので……
多少はアレンジを加えて、まろやかにしています。
では……
トリステイン王国の王女アンリエッタ姫!
最終決戦時に、あれだけ周りに言いふらしていた
「無償の愛をアンリエッタ姫に捧げ続けていたツアイツ様」
が、自ら取り立てて重用していた銃士隊のアニエス隊長と駆け落ちした!
これは周りに居た銃士隊員達の話でも明らかだ。
「アニエス殿、手を……
逃げますよ!」
「何処までも着いて行ってやる!」
彼らは、手に手を取って風竜に掴まれて飛んでいった!
文字通りの逃飛行……
この台詞を大勢の者が聞いている。
彼らは計画的にガリアへ逃げ延びた……
つまり(アンリエッタ姫的には)信頼していた2人に裏切られた訳だ。
しかも周りには話してないが、実は前の夜には3人で愛し合っていたのだ。
まさか、あれだけ激しく愛を交わした翌日に捨てられるとは……
アンリエッタ姫の落ち込みっぷりは酷い物だった。
しかし持ち前のポディシブシンキングで、取り敢えず2人の事は頭の隅に追いやった!
「私には、まだウェールズ皇太子が残っていますわ!
彼が、彼こそが本命。
ツアイツ様は火遊びだったのです!
アニエスの事など、私が野良犬に噛まれた被害者よ」
気持ちを切り替え、ウェールズ皇太子の獲得へと進む。
先ずは今回の功績を全面に押し出し、増援の件でアルビオン王党派と交渉のテーブルにつく。
両国の安全の為に、婚姻外交を認めさせる。
まだまだ諦めていないアンリエッタ姫だった。
SIDEウェールズ皇太子
ツアイツ殿と銃士隊の隊長がガリアに逃げ出した!
調べてみれば、ガチレズのアニエス隊長と手に手を取って風竜で逃避行。
しかし、敵前逃亡では無く敵軍に先陣切って突っ込み大混乱を引き起こしてから突き抜けたのだ。
言わば一番槍の功績だし、彼のゴーレムの働きは目覚ましかった!
敵の切り札の空中船三隻と傭兵部隊数千を爆発する投擲兵器で倒したのだ。
しかも正規のトリステイン王国軍でも何でもない。
あくまでも王党派の為に、僅かな手勢を引き連れて個人参戦してくれたのだ……
そして、この戦果。
トリステイン王国軍は、ツアイツが駆け抜けた後の混乱する敵軍を倒したに過ぎない。
「ウェールズ様、ツアイツ殿より鷹便が……」
バリーが、残敵掃討で忙しい最中に心の友からの手紙を持ってきてくれた。
「有難うバリー。
早速読んでみよう……」
ウェールズにとって、ツアイツの謎の行動が明らかになる。
「ウェールズ様。
急ぎ筆を取ったので乱調乱文をお許し下さい。
アンリエッタ姫についてですが、ガチレズと噂の合った銃士隊のアニエス隊長を口説き落として聞いた所、私とウェールズ様とのハーレムを夢見ています。
あの御方は危険だ!
とても我らが、どうこう出来る女性ではないのです。
私はガリアのジョゼフ王を頼って逃げます。
彼には借りが出来るから……
逆に暫くはゲルマニアには寄り付きません。
アンリエッタ姫の人気はトリステイン王国では絶大!
そんな彼女が、閣下にどんなトンデモ話を持ち掛けるか分からない。
いくらアンリエッタ姫でも、大国ガリアには楯突けない筈です。
ウェールズ様も気を付けて下さい。
何か有れば、この鷹で手紙のやり取りをしましょう!
状況的に、トリステイン王国には立場が弱いかも知れませんが御武運を」
手紙を読み終わり、丁寧に畳んでしまいバリーと向き合う。
「やはり私のカンは正しかったのだ。
アンリエッタ姫は地雷女!
踏んでしまえば折角勝ち取った勝利と、この国の未来が露と消える……
バリー、どうすれば?」
流石の覚醒ウェールズも頭を抱え込んだ。
「いやはやツアイツ殿には、返しきれない恩が出来ましたな。
トリステイン王国との交渉の前に、この事実を知らせてくれるとは。
相手の思惑が分かれば簡単です。
先に相手から文句の出ないお礼をすれば良いのですよウェールズ様。
つまりお金を沢山払いましょう」
流石は老獪なバリー!
どちらにも角の立たない案を考え付く。
「おお!
礼を先に尽くして、それ以上の要求を突っぱねるのだな?
復興にお金は必要だが、国その物が傾くよりはマシだな。
分かった、それで行こう」
方向が決まれば、覚醒ウェールズの行動は早い。
バリーを交渉役に任命し、国庫から出来うる限りの予算を捻出する。
先ずトリステイン王国には、礼金として兵1人に対し10エキュー。
1万人なので、10万エキュー。
それに参戦してくれた貴族や王族の礼金に上乗せで50万エキュー。
合計で60万エキューだ。
これに特産品の風石を大量に付けて、その日にバリーが届けた。
出迎えの貴族達の前で彼らの功績を称え、エキュー金貨や風石を積んだ船ごと渡した。
その際に、トリステイン・ゲルマニアの両国には感謝しきれない。
しかしゲルマニアにはウェールズ皇太子が、心の友と言って身分を超えて友誼を結んだツアイツ殿が、僅かな手勢を率いてレコンキスタ本隊に突貫!
多大な被害を与え、残りの連中を信頼するトリステイン王国軍に任せ引き揚げていった。
彼の功績を称え、ゲルマニアと事前に交渉を進めていたウェールズ皇太子とアルブレヒト閣下の御息女との婚姻を結ぶ。
金銭的なお礼はトリステイン王国を最優先にした為に、あちらには負担をしいるがご容赦願いたい。
そう言って頭を下げた。
これだけ持ち上げられ、財政厳しいトリステイン王国に優先して礼金をくれるのだ。
それに男の友情とは、素晴らしい物ではないか!
いち早く、ヴァリエール公爵やマザリーニ枢機卿が賛同し条約を締結した。
何か騒いでいたアンリエッタ姫は、カリンが実力行使で物理的に黙らせた。
これにてレコンキスタ騒動は幕を閉じた。
結局アンリエッタ姫は、名声を得れた。
稀代の謀略王女と……
しかし、その後は気の抜けた様にポヤポヤが酷くなる一方だった!
これでは国が傾く。
ヴァリエール公爵は、軍事クーデターを実行。
3日でトリステイン王国を平定し、ヴァリエール王朝を興した。
初代エレオノール女王!
彼女は、国の為にガリアにて暮らしているツアイツとの婚姻外交をジョゼフ王に持ち掛ける。
その条件は、ハルケギニアを統一しブリミル教を駆逐する事……
果たしてジョゼフ王は、この条件を飲むのか?
時代は急激に様変わりをしようとしている!
※エレオノール女王のハルケギニア統一物語は……
続きませんから。
これにてアンリエッタ姫ルートは完結です。
明日からはガリア王国編を始めます。
しかしアンリエッタ姫のルートは難産でした。
感想で指摘を頂きましたが、ガリア勢が黙っていないし彼らは有能です。
アンリエッタ姫の妄想を持ってしても返り討ちですよね?
イザベラ隊を突破してもカステルモールさんが……
彼を乗り越えてもシェフィールドさんが居ます。
この三重の守りを抜ける手立てをアンリエッタ姫が行える方法を考えつきませんでした。
何をやっても防いでしまえそうだし、仮に突破しても辻褄が合わない。
なのでガリア勢は登場させませんでした。
自身のアイディアの無さが辛いです。
原作の前半から酷かったアンリエッタ姫を何とかお花畑の妄想娘として活躍させようと思いましたが、自分でも書いていて……
あちゃーイタい娘になったなー!
と思ってしまったので、読者の方にも不快感を与えてしまったかも知れません。
ここに原作アンリエッタ姫ファンの方ともあわせてお詫びを申し上げますm(_ _)m