いつもこの変態小説を読んでいただき有難う御座います。
本作品もいよいよ大詰め。
これから登場キャラの補完を盛り込んでいきます。
今日から全5話でワルドさんの補完話……
「幸せワルド計画、最終章」
をお送りします。
この後は、三人娘の話を考えています。
時系列に合わせてアップしていきます。
幸せワルド計画最終章挿話33・第一部
私はジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。
伝統と格式だけ立派なトリステイン王国で、魔法衛士隊のグリフォン隊の隊長を勤めている。
子爵位を戴いている貴族だ。
一応僅かだが領地も持っている。
端から見たらエリートなのだろうか?
しかし、仕える姫はアンポンタンだし宮廷順位も低い下っ端貴族でしかない。
だが私は今、この世の春を迎えている。
国を内緒で飛び出し、帝政ゲルマニアのハーナウ領で世話になっているが……
ここは漢の夢と理想が詰まったパラダイスだ!
ああ、因みにトリステイン王国には遍在を配置し政務に滞りはない。
勿論、領地経営もヴァリエール公爵が協力してくれるので順調だ!
まだ私の胸の中で温めているのだが……
いずれゲルマニアに出奔するので、その際はヴァリエール公爵に領民の事を頼みたいと思っている。
さて漢のパラダイスとは大袈裟と思うかもしれないが、私は毎日を天使と天使達と過ごしている。
天使とは、ジョゼット殿!
ちっこくて、ストンでロリな天然さんマイエンジェルなのだ!
毎日が甘酸っぱくてドキドキだぞ。
そして天使達とは……
お世話になっているサムエル殿と共同で運営している孤児院だ!
ここには親と離れ離れになり生きる事が困難になった少女達(だけ)を集めて将来の為にレディの教育を施している。
因みに少年達(だけ)は職業訓練学校に放り込んだ。
男の浪漫本やフィギュアの作製をみっちりと教え込んでいる。
これにより将来ハルケギニアには、漢の英才教育を施された同士が増えるのだ……
ツアイツ殿が、幼少の頃から鍛えれば立派な漢となり我らの野望を支えてくれる。
幹部候補生なのだよ!
とかヤバい目で言っていた……
どちらもまだ30人程度だが、いずれ増えるだろう。
ハーナウ領は比較的平民に優しく住み易いが、それでも孤児は居る。
平民が生きるのには厳しい時代だ。
それが子供となれば、尚更だろう……
因みに私はどちらも副院長だ!
院長たるサムエル殿は私設軍を率いてアルビオンに向かった。
私とダッシュの2人で留守を預かっている。
比較的家臣団がしっかりしているので私の仕事の殆どは、私設軍が居ないと知った盗賊やらをラウラ殿と撃退する日々だ。
悲しい事だが賊の多くはゲルマニア国内からではなく、トリステイン側から来る。
生活水準の向上は治安に繋がるとは確かだな。
ゲルマニアより平民の生活が更に厳しいトリステインでは、盗賊に身を落とす連中が多いのだ。
それを考えるとハーナウ領の連中は気の良い奴らが多い。
そんな他国の貴族たる私をも暖かく迎えてくれるハーナウ領には、レコンキスタ問題をツアイツ殿が解決したら出奔して来るつもりだ。
先程も十人程度の強盗団を捕まえたばかり。
戦いの日々の癒やしは、美少女と差し向かいでお茶を飲む事。
ハーナウ領の比較的大きな街でジョゼット殿と喫茶店にて午後の紅茶を楽しんでいる。
大分慣れてきたが、まだ1人で買い物は未だ危険だ。
しかもガリア王国の血を引く彼女は常に危険と隣り合わせだからな。
未だに高価な衣装や洒落た店には馴染めないのか、そわそわしているが、来た当初よりは大分マシだが……
彼女はケーキを三皿食べて落ち着いたのか
「ワルド様、また強盗団を壊滅されたそうですね。
凄いわ」
妙に感心した表情で見詰められると照れる。
ツアイツ殿のマル秘ジョゼット攻略本。
これを参考にダッシュと日々打合せをしている為か、大分懐いてくれている。
まだケーキ目当ての部分も有るが、なに対した金額でもないからな。
「なに、お世話になっているハーナウ領の人々の為になる事をする。
これは貴族として当たり前の事なんだよ。
領民の安定の上に我々の生活が成り立っているんだ。
それを忘れてはいけない」
ジョゼットが尊敬の眼差しを向けている。
周りの平民達も好意的な目で我々を見ている。
正直、心苦しい……
実は今のは全てツアイツ殿の言葉を真似た物。
前に領地経営レクチャーを受けた時の教えだ。
復讐心に燃えていた時は、領地経営なんて家臣に任せきり。
出世だけを考えていた。
平民も貴族の生活の土台程度の認識だったし……
まさか、こんな風に考える事なんてトリステイン王国に居たら絶対に有り得ない。
良くも悪くも典型的な貴族の見本はトリステインだ……
「しかし、お国の方は大丈夫なのですか?
なにやら大変みたいですよ……
ツアイツ様もガリアとアルビオンに向かわれたそうですし」
少し表情を曇らす……
比護を受けている人達が戦地に向かっているのだから、心配な筈だろう。
「トリステインの方は手を打ってます。
先ず心配はない。
それに私はサムエル殿とツアイツ殿に。
男が惚れた相手に、後を頼まれたのだ!
ハーナウ領は全力で守ってみせる。
それと……
惚れたといっても思想に共感した、とか心酔したとかの方だよ。
私もホモは嫌いだよ」
そう悪戯っぽく笑ってみせる。
どうだい?
この友情に燃えるナイスガイは!
ロマリア密偵団(本当は遍在ワルドズ)の変態に襲われたり、憧れていただろう男が教皇の愛人。
男の娘となってしまった事にショックを受けている彼女の心理に近い事をアピール!
同じ物が好き、同じ物が嫌い。
これは結構大切な事だ。
フィーリングが合うとか趣味が似ているとかは、好感度上げには重要なのだ!
「さて、そろそろ帰ろうか?
ジョゼットの様な可愛い娘が遅くまで出歩くのは危険だからね。
レディ、私めに屋敷までの護衛の任を与えて下さい」
そう言って帽子を取って胸に当てるポーズをとる。
ジョゼットは真っ赤になって照れているが、悪い気はしないだろう……
こうして少しづつだが、ジョゼットの好感度を上げている。
彼女の手を取り席を立つと、支払いをすませて相棒の所へ向かう。
「グリちゃん、帰りもお願いね!」
ジョゼットは相棒の首筋をスリスリしている。
我が相棒は、ブロハーと言う名前なんだが……
先に相棒に跨り、レビテーションでジョゼットを前に乗せる。
後ろから抱きかかえる様に飛ぶのだが、これも役得なのだよ。
美少女の温もりを感じ、髪の匂いを堪能しながらハーナウ家に帰った!