幸せワルド計画最終章挿話34・第二部
おはよう。
ワルド&ダッシュだ!
ハーナウ家の人達と食事を終えて、これから領内の視察に向かう所だ。
日課となるロリ孤児院に目の保養……
いやいや、親を失った彼女達の慰撫に向かうのだ!
隣を見れば、心なしかダッシュもご機嫌だ。
リアル光源氏計画を実行しているので、彼女達には頼れる漢でなければならない。
何となく旦那様でなく、兄様や父様になっている気がしないでもない。
サムエル殿などおじ様だ。
私もまだ若いのだが……
意気揚々とn
「ワルド様、お出掛けですか?」
声を掛けられ振り向くと、ホワイトセーラー服姿のジョゼットが居た。
これはソフィアの見立てだ。
余りに高価な服は慣れないと、メイド達にお願いしたらしい。
小柄なジョゼットには良く似合っているぞ。
短めのスカートにオーバーニーソックスがナイスだ!
グッジョブ、ソフィア!
今度、何かお土産を差し入れよう。
彼女の素晴らしい絶対領域をチラ見しながら
「ああ、ジョゼット。
これから街に見回りに行ってくるよ」
爽やかに応える。
彼女は、何かを考えている様な素振りだが?
「何だい?
何か言いたそうだが……」
「私も連れて行って下さい」
ナッナンダッテー!
我等のパラダイスに同行したいだと?
アイコンタクト発動
「ダッシュ、マズいぞ」
「本体、提案だが職業訓練学校に連れて行け!
アレは全くの慈善事業だ」
「お前は?」
「勿論、パラダイスへ」
「きっ汚いぞ!」
「今はジョゼットにバレる方がマズい」
この間三秒……
遠距離に思念を飛ばせる彼らだが、何故アイコンタクト?
表情を引き締めてジョゼットに話し掛ける。
「私は職業訓練学校を見に行く予定だが……
それで構わないのかい?」
ニッコリ頷く彼女を相棒まで案内する。
今回は彼女を抱き上げフライで相棒に乗り込むが……
何か不思議な光景が脳裏に浮かぶ。
ペタンコのルイズを抱き上げて
「羽の様に軽いね、僕のルイズ!」
何だ?この情景は?
まぁどうでも良いか……
ジョゼットの小さな女の子の温もりを堪能しながら郊外の職業訓練学校まで飛んでいく……
SIDEジョゼット
ハーナウ家に保護されてから、常に私を気遣ってくれるワルド様。
最初は助けた娘の様子が気になるのかと思っていた。
でもワルド様と話しているのは楽しい。
趣味も嗜好も近い。
ボケボケな私に色々と気遣ってくれるのは、お父様みたいな感じ……
私が捨てられなければ、お父様ってこんな感じなのかしら?
でもお父様はワルド様に悪いわ。
それなら、年の離れたお兄様かな?
でも流石は魔法衛士隊の隊長様だけあって、領内の盗賊の討伐を軽々とこなす強い人。
またロマリアの変態達が襲って来たら、助けてくれるかしら……
ワルド様に後ろから抱かれながら、グリちゃんで飛んでいく。
後ろから抱かれるのは恥ずかしいけど危険だからって言われた。
やっぱりお父様がしっくりくる。
頼りになる私のお父様……
「ジョゼット、付いたよ」
そう言ってお姫様抱っこで下ろしてくれる。
ニッコリ笑って前を歩き出すワルド様。
「待って下さい(お父様)」
慌てて追い掛ける。
門番の方と何か話されているわ。
「おはようございます、ワルド様。
今日はどの様な用件でしょうか?」
「いや、久し振りに彼等の様子を見に来ただけさ。
ジョゼット、行くよ」
私をエスコートする事を忘れない。
「ワルド様、ここは何をしているのですか?」
そこには幼い男の子達が、読み書きの勉強をしていた。
平民に文字を教えているの?
「ああ、彼等は次代のハーナウ領を担うんだ。
基礎学力は必要だよ。
それに親を無くした子供達に生きる術を学んで貰うんだよ。
彼等の多くは盗賊に両親を殺されて途方にくれていた……
あのまま放っておけば、死ぬか犯罪者になるしかない。
盗賊の討伐だけでなくアフターケアも大切なんだよ」
凛々しい顔で素晴らしい事を話すワルドお父様。
そんな考えを持っているなんて……
授業?を終えた子供達がワルドお父様に集まってくる。
聞けば殆どの子達は、盗賊討伐の後にワルドお父様が連れてくるそうだ。
命の恩人が、生きる術まで面倒を見てくれる。
しかも貴族なのに平民の子供達と分け隔てなく戯れている……
世の中には私を捨てた親もいるのに……
血の繋がらない子供の面倒をここまでみる人もいるんだ。
でもワルドお父様は私のお父様なの!
何故か、高い高いやら頭を撫でられて笑う彼等に嫉妬してしまう。
ワルドお父様は、しゃがんで子供達と目線を合わせて強く生きる様に諭している。
やはり理想のお父様だ!
私もワルドお父様に後ろから抱き付いた。
SIDEワルド
ジョゼットの手前、幼女パラダイスに向かったダッシュを恨めしく思いながらも職業訓練学校に来た。
ちょうどハルケギニア語の授業中だ。
読み書きが出来なければ、男の浪漫本の崇高さなど理解出来ないからな。
暫くは授業風景を眺める。
ジョゼットは感慨深かげだ……
セント・マルガリタ修道院時代を思い出しているのか?
授業が終わると、私に気付いた子供達が駆け寄って来る……
彼等は最近になって私が盗賊討伐の折に、美少女・美幼女と共に保護した子らだ。
親を失った悲しみは、私も良く知っている。
なので仕方ないが、励ましてやる。
しかし私は未だ二十代だ!
父親では無いからワルド様と呼ぶんだぞ。
誰がワルドお父様だ!
等と考えていたら、後ろからジョゼットが抱き付いて来た!
ぐふふふっ……
私の頼りがいの有る姿に惚れたか?
背中に当たる、小さな胸の膨らみを堪能する。
やはりツアイツ殿のシナリオは凄い!
向こうの女の子(だけ)孤児院でも幼女が纏わりついてくれる程、懐いてくれているんだぞ。
ダッシュめ……
今日は独り占めだな、楽しいのか?
ご機嫌な思念が漏れ伝わって来てるぞ。
背中のジョゼットを抱き下ろすと頭をナデナデした。
目を細めて喜んでいる。
「さて、帰ろうか。
では皆も元気に励むんだぞ」
こうして職業訓練学校の訪問は終わった。
多大な収穫が有ったな。
ぐふふふっ……