謀略教皇VS謀略教祖!趣味と趣味の闘い・第6話
ロマリア連合皇国。
ハルケギニアをオッパイで統一する為の、最後の難関だ……
当初はロマリアの国民を此方に移民させて、緩やかに衰退させてから攻略するつもりだった。
対宗教戦とは何かの拍子で優劣がひっくり返る危険性も有るし、根強く反対勢力が生き残る場合も有る。
地下に潜られゲリラやテロとして活動されては、為政者として最悪の相手だから……
しかし教皇ヴィットーリオが先に動いた。
未だに国が定まらないトリステイン王国に揺さぶりを掛けて来たのだ。
トリステイン王国には、僕の……
漢の浪漫本ファンクラブはガリア・ゲルマニア・アルビオンと違い、国家が公式に認めていないんだ。
上記三国は、国のトップ達とも友好的だし国内の活動の許可を得ている。
それにクルデンホルフ大公国とも根回しは済み、ベアトリス姫殿下の凱旋ライブを持って対外的にも僕達の仲間入り確定。
残りは、トリステインとロマリアのみ。
だからこそ、教皇ヴィットーリオはトリステイン王国に対して行動を起こした……
と、思っている。
あんな変態でも若くして宗教庁のトップに……
教皇の地位を勝ち取ったヴィットーリオは謀略に長け、そして厄介なのが自身が虚無の使い手だと言う事だ。
ブリミル教のトップが、6000年の歴史で殆ど居なかった虚無の使い手である!
これは公表するタイミングを上手く調整すれば、此方よりの貴族連中が揺さぶられてしまうだろう。
それだけハルケギニアでは、虚無とは絶大なのだ。
そんな知識が有りながら、教皇ヴィットーリオがルイズを虚無の使い手と突き止めて寄越せと言ってきた。
本来なら重大な話だが……
僕は知識でルイズは虚無の使い手と知っていたので、サラッと流してしまった。
それをヴァリエール夫妻に見咎められて……
今、彼らに僕の知っている真実と原作知識を話さねばならない。
家族と認めてくれた、実の息子と同じとまで言ってくれた、新しい家族の為に……
転生者で有り、原作知識が有るんです!
何て言っても彼らからすれば荒唐無稽な事だ。
だから、ソレを隠しながらなんだけどね……
事の重大さからか、ヴァリエール公爵がメイドさん達を下がらせ、サイレントやディテクト・マジックを自ら重ね掛けしてくれる。
その間に、カリーヌ様が新しいお茶を淹れてくれた……
「有難う御座います。
では……
先ずはルイズが虚無だと言う事を驚かなかった事についてですが……
これは僕がガリア王国の次期王として、ガリア王家に伝わる記録。
そして、もう1人の虚無の使い手であるジョゼフ王と話せる機会を持てた事から分かった事です」
実在する、もう1人の虚無の使い手を知っていれば新しい虚無の使い手を推測出来る。
後で皆にも話さなければならないし、ジョゼフ王とお姉ちゃんには事後報告となるけど仕方ないよね。
「ジョゼフ王が虚無だと?
しかし彼は、魔法が苦手の無能王と……
魔法が苦手?
そうか!
それが共通点か」
「かの人物が公式の場で魔法を使った事は無いと記憶しています。
弟のシャルルに魔法の才能を全て取られた無能王と……
勿論、魔法の才能と国を治める才能は別ですが。
なる程、ルイズも魔法が苦手。
そして魔法が苦手な、失敗してしまう人物は殆ど聞きませんね。
それが始祖に連なる血を受け継いでいる人物が2人も……
確かに異常ですね」
この広いハルケギニアで、魔法が全く成功しない人物は限りなく少ない。
単に魔法が下手くそでも、コモンやドットなら成功させられる。
威力や精度は別として……
だから彼らの共通点に気が付いた、と言う事にする……
「僕も幼い頃から、ルイズの爆発魔法は不思議でした。
失敗と言われながら、僕の黒色火薬ブーメランより威力が有り軌道が見えない。
スクエアの僕の渾身のゴーレムを簡単に破壊する。
普通ならオリジナルとか、新魔法とか騒がれてもおかしくないのに……
まぁ彼女は、魔法が使えない事については余り悲観的じゃないのが救いでしたが……
一部では爆殺の天使とか、破壊の妖精とか色々言われてましたけどね」
原作と違い、僕がツンデレ貧乳の彼女を色々と変えてしまったから。
自惚れでなければ、彼女は原作より早い段階で幸せになれた筈だ。
「確かにツアイツ殿が近くに居てくれたので、娘はそれ程悩んでいなかったな……
幼い頃は巨乳メイドに囲まれて仲良くしていたし。
トリステイン魔法学院でも、蔑みや憐れみを受けてはいなかったと報告されている。
全ては君のお陰だ」
「しかし、少し時期がズレていませんか?
貴方がジョゼフ王と直接話せる機会を得たのは、レコン・キスタ殲滅後の筈です。
当時は未だガリア王国の内情には詳しくない筈ですよね?
何故でしょう?」
うっ……
確かにジョゼフ王と直接話したのは、全てが終わってからだ。
今更、もっと前から繋がっていました!
何て言えないぞ。
暫くの間、僕は黙り込んでしまった……
それを不審そうに見詰めるヴァリエール夫妻。
「僕はトリステイン魔法学院で、有る本を読んでしまいました。
「始祖ブリミルと、その使い魔法達」
これは、オールドオスマンが収集し一般生徒には閲覧許可を出さなかった本です。
しかし僕も物書きとして、秘蔵されている書物には興味が有りましたから……
こっそりと読みました。
そこには、始祖ブリミルの伝説の使い魔の記録が有りました。
通常の使い魔とは、ハルケギニアに生息する動物や幻獣です。
しかし神の左手は、何とあらゆる武器を使いこなすとか!
つまり人間か亜人の様に、少なくとも武器を使える両手と知性は有った訳です」
原作でコルベール先生が、一発でサイトが虚無だと気付いたんだ。
同じ様に気付いた事にする。
「なる程……
始祖の記録は数が少ない?
しかし、それは使い魔の事で有り虚無の使い手の事では有りませんね。
それだけでは、ルイズが虚無とは断言出来ない筈ですよ」
確かに、コルベール先生はサイトに刻まれたルーンを見て虚無の使い魔に辿り着いたから……
「もう一つは、お姉ちゃんの存在です。
規格外の彼女に刻まれたルーンは、神の頭脳ミョズニトニルン!
つまり伝説の使い魔だからこそ、あれだけのマジック・アイテムの制御が可能だったのです。
もっともルーンの存在を指摘し、虚無の使い魔だと教えて貰ったのは随分後でした。
僕は、お姉ちゃんが虚無の使い魔だと決定付ける証言を得たのです。
彼から……」
そう、デルフリンガー!
通称デルフ。
僕が溢れる妄想で、その存在意義を書き換えてしまったインテリジェンス(エロ)ソードだ!
実際に、お姉ちゃんが虚無の使い魔だと言質を取っている。
「彼?
ツアイツ殿の周りで、それ程虚無や始祖に詳しい人物など……
まさか、マザリーニ枢機卿かロマリアの神官とかでしょうか?」
「そうだな。
伝統を重んじるトリステイン貴族でも、実際に虚無や始祖に詳しい人物など……
まして虚無の使い魔を断定出来る人物などは、居ないでしょう」
6000年も続いているのに、その根元が曖昧なブリミル教ってどうなんだろうか?
「ここからは他言無用でお願いします。
この秘密がバレたら、僕は本当に異端審問にかけられても文句は言えません」
僕の犯した罪は……