ちとオリジナル小説の方が行き詰まり気晴らしにコチラのネタを書いてしまいました。
禁断の従姉妹姫は本作でも名前だけしか出て来なかったので……
この機会に書いてみたのですが、結構スラスラと書けてしまった。
良かったらオリジナル小説の方も読んで下さい。
2人はmagical princess!「禁断の従姉妹姫」
「ツアイツ?
何だい、この漢の浪漫本は?
私は言った筈だよ。
これは駄目だと……」
ガリア王宮の一室でソファーに正座させられ絶賛説教中で有ります。
イザベラが本気で怒ってるのは、人よりも若干広い額に浮かべた井形で分かります。
彼女は片手にイザベラとタバサを題材にしたレズ本……
禁断の従姉妹姫を持ち、もう片方にワインボトルを持っている。
お気に入りのアイスワインだが、今は鈍器でしかない。
最愛の妻に、独身時代の一寸した悪戯心がバレてしまった。
「でっでも、何故バレたんだ?
竜騎士やイザベラ隊の連中が、そんなミスを犯す筈が……」
あの本は厳重な管理体制の下、外部にバレる事は有り得ない筈だが?
ワインボトルを僕の左頬にピタピタと当てながらニヤリと笑うイザベラ。
中々に漢らしい恫喝方法だ。
「随分と立派な製本だね。
ハードカバーに箔押しのタイトル……
何処の出版所に依頼したんだい?
増刷をガリア国内の出版所に頼んだのは失敗さね。
私にも独自の耳も目も有るんだよ。
さて、ツアイツが仕込んだツンデレプリンセスのツンの部分をたんと味わって貰おうかな」
両手にワインボトルを握り締め、凄い笑顔で近付いてくる最愛の妻を見ながら脳挫傷は嫌だなーと……
「ばか、ばかばかっ!
ツアイツのばかー!」
「グハッ!」
鈍い打撃音の後に、一瞬だが目の前が真っ暗になり星がスパークした!
意識が薄れる中で涙を浮かべ真っ赤になりながらワインボトルを振り回すイザベラを「可愛いなぁー」と思ってしまった。
視界の隅でニヤニヤしているジャネットは
「お前は今夜、ベッドでヒィヒィ鳴かすからな!」
と誓いながら意識を手放す。
王族とは、夫婦喧嘩も命懸けだなぁ……
◇◇◇◇◇◇
2人はmagical princess!
「禁断の従姉妹姫 序章」
私達は王家の兄弟の娘として生まれ育った。
私のお父様は現国王の長男だが、魔法第一主義のハルケギニアでは致命的な程に魔法の才能が無かった。
かたやシャルロットのお父様は次男だけれど、神童と言われる程に魔法の才能が豊か。
両極端の父を持つ私達の魔法の才能も、やはり両極端。
年下のシャルロットの方が既にコモン魔法を習得し系統魔法を習い始めた。
私は未だ満足にコモン魔法も成功しない落ちこぼれ。
ついついシャルロットに冷たく当たってしまい、周りも年下の彼女に辛く当たる私を同情と落胆の混じり合った目で見る。
「シャルロット、自慢かい。
お前が唱えた魔法で私のスカートが捲れたよ。
このイヤラシい娘が!」
「ちっ、違う。
私はそんな事は……」
「じゃ、何かい?
私の被害妄想だと言うのかい?
ほら、どうなんだよ!」
「……………」
両手を握り締め、歯を食いしばりながら俯くシャルロット。
私は彼女のそんな姿が嫌で、更にシャルロットに辛く当たってしまう。
「ほら、何とかお言いよ!
人形じゃないんだろ?」
シャルロットを追い詰めてしまう、負のスパイラル……
まるで良く出来た妹姫と、意地悪で出来の悪い姉姫が周りから見た私達だ。
だけど、だけど本当の私達を皆は知らない。
だって、だって私達は……
◇◇◇◇◇◇
「イザベラ、ん……」
王族故のキングサイズのベッドに2人で寝転がりながら銀の皿に盛られたフルーツをシャルロットに食べさせる。
苺を一粒摘み、シャルロットの口元へ。
「シャルロットは甘えん坊さんだね、ほらお食べ」
彼女は私の指ごと口の中に入れる。
指先を舐めながら苺を奪い、小さな口でモグモグと食べる。
私達は薄い純白のシルクの夜着だけを着ている。
サラサラな肌触りが気持ちが良い。
あとは同じく純白の下着だけ。
真っ白な世界で違う色は、互いの蒼い髪だけだ。
「これはお返し、ん」
シャルロットも同じ様に苺を摘み……
口にくわえて突き出してくる。
「ばか……」
苺を食べる為に2人の唇が重なる様に……
◇◇◇◇◇◇
「うがぁー!
なっなんて破廉恥な本をバラ撒きやがって!」
内容を確認しなければ、どんな事になってるかが分からない。
だから読み始めたけど、何て破廉恥な内容なんだい。
こんな物を読んでた連中が私の周りに居るなんて……
放り出した漢の浪漫本を見ながら考える。
ツアイツ……
アンタ、未だ私を口説き落としてない内から、こんな内容の本を考えていたのかい?
幾らハルケギニアの常識を覆し捲るアンタでも、王族の姫を弄ぶなんて不敬罪で斬首される内容だよ。
全く私がベタぼれじゃなければ、アンタとアンタの一族が……
まぁもう良いか。
惚れた弱みだし、もう破廉恥な本は書かないって念書を書かせれば……
この問題を収束させる方法を考えていたら
「ちょ、テファ!
アンタ何で此処に居るんだい?」
真っ赤になりながら例の本をしっかりと抱えながら読む、天然ハーフエルフに気が付いた。
目の前15センチまで本を近付けて熟読していた。
「ほっ他の方々がお茶にしましょうと……
だから、わっ私が呼びに来たんです」
何故か漢の浪漫本を後ろ手に持ちながら、扉へ後ずさるテファ。
持ち逃げは許さないよ!
「ああ、お茶かい?
分かったけど……
その本は置いていきな」
そんな本が、あの連中に知られたら大変だ!
只でさえ第一子を身ごもるまでツアイツを独占してるんだ。
あいつ等が私への意趣返しのネタを放っておく訳が無いんだから。
「でっでっでも……
これは旦那様のお書きになった本ですし。
私達も読みたいなって」
ジリジリと後ずさるテファ。
馬鹿な!
そんな王家の醜聞を広める事が出来る訳ないだろ。
「駄目だ、返しなよ」
テファに襲い掛かる。
必死に本を取られない様にする彼女の体を弄りながら、本を奪おうとするが……
巨大な乳が邪魔して、肝心な本に手が届かない。
「何だい、自慢気にこんな脂肪の塊をぶら下げやがって!
揉んでやるわ」
ムギュっと擬音が聞こえそうな、けしからん乳を揉みしだく。
結構気持ちの良い弾力だね。
「ちょイザベラ様。
だっ駄目です、私には……
私には、そんな趣味は……無いです……から……」
何だい趣味って?
私はレズじゃないよ。
「ほらほら、本を返さないと体に言い聞かせるけど良いんだね?
本当にイヤラシい体だね、テファは。
羨ましいくらいさね。
ほらほらほら、気持ち良く鳴きな」
執務室で美少女2人が、揉み合いっこをしている。
いや一方的に弄られているだけ?
そんな平和なガリア王宮の執務室だった。
この後、中々呼びに行って戻らないテファを心配してルイズが執務室を訪ねた。
何やら中から艶っぽい声が聞こえる。
それに護衛の兵士が鼻血を垂らして悶えているけど……
気持ち悪い護衛を視界の外に追いやり息を殺して、ゆっくりとドアを開ける。
「イザベラ様。
テファが来ませんでした……か……
ごっごめんない。
お邪魔しました」
そこには良い笑顔でテファにゴニョゴニョするイザベラが居た。
そっと執務室の扉を閉めた彼女は、ダッシュでキュルケ達に報告に行った。
「みっみんな聞いて!
イザベラ様とテファが
「2人はmagical princess! 禁断の種と性別を超えた愛」
を実践してるわ!」
その日、ガリア王国に新たな伝説が生まれた。
「2人はmagical princess!」
この禁断の愛の記録に、新たな1ページが刻まれた。