プロローグ
あ、ありのまま、起こった事を話すぜ!
朝起きたら兵藤一誠になっていた。
な……何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何をされたのかわからなかった……頭がどうにかなりそうだった……催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……。
いや、恐ろしいと言うべきか、理解が出来ないと言うべきか。どっちも似たようなもんだろうと俺は思う。……いや違うか。
それはともかく、俺は『兵藤一誠』としてこの世にいる訳だ。現在幼稚園児。
俺が知っている限り、この世界は不味い。俺が兵藤一誠であると言う事からも既にヤバいが、時たま聞こえる変な声とか、明らかに死亡フラグが乱立している世界の死亡フラグが乱立している主人公に憑依してしまった……『主人公補正』がかかってればいいんだがなぁ……無理だろうなぁ……。
俺に原作イッセーの様なエロ魔神になる度胸は無い。
とはいえ、俺の力──と言うよりも、俺の中の『赤龍帝』の力がある以上、何かしらの厄介事に巻き込まれるのは確実だろう。
龍の力を持った者とは得てしてそう言うモノだ、と原作でも言っていた気がするし。
龍の力がある以上、俺もそう言った事に巻き込まれるのだろう。死ぬのだけはマジ勘弁なんだが。
ハーレムでウハウハ出来るとか言われてたりもした気がするが、死んだらそれまで。そこそこ可愛い子を嫁にして、そこそこ楽しい人生を送れたらいいんだが……無理かも知れんなぁ。
いや、諦めるにはまだ早い。俺は現在小学一年生にすらなっていない。つまり、原作が始まるまで単純に考えても十年以上はある訳だ。
この間に赤龍帝の力をコントロール出来る様にして、出来れば『
神様転生とか言うパターンじゃない以上、何の力も貰ってない可能性が高い……と言うか、この世界って神様死んでる筈だよな。
そうなると、俺はどうやって憑依なんて現象に至ったんだろうか。
いや、今それは良い。気にするべき事でも無い。いや、厳密には気にするべき事なのだろうが、これが数日どころか数年続いている以上、戻る可能性は限りなくゼロに近いだろう。考えるだけ無駄と言う奴だ。
と、そんな事を考えていた途中、横から誰かが俺の服を引っ張った。
「ねーイッセー、あそぼーよー!」
「ええい、うるせぇ! 遊んでやるから少し待ってろイリナ!」
頬を膨らませつつも渋々納得する様な表情を見せる栗毛の少女、
親は教会の関係者だと一目で分かった。十字架のアクセサリーを持ってるし、普段からそう言った事をイリナからも聞いている。──そして、何よりもイリナの父親が聖剣を持っている事が証拠だ。
種類までは実物を知らない俺に判断出来ないが、例の『エクスカリバーの欠片』を核に作られた聖剣の一つである事には変わりないだろう。
古ぼけた西洋剣。見た目からして銃刀法に違反しそうだが、一応模造品と言う事になっているのだろう。実際には人なんて簡単に切れるのだろうが。
ぶっちゃけると、一度使ってみたい。
今は人間な訳だし、使っても何の問題も無い……とは思うが、一応ながら本物の聖剣なんだよな。人が切れる可能性がある以上、子供に持たせる訳にもいかないだろう。
取りあえず、イリナと遊びながら考える事にした。
余談だが、この頃のイリナは本当に男の子の様だった。お転婆娘と言う奴だ。後、良く勘違いをする子でもある。
前作を掻き直してる途中で行き詰ったので、何となく書き始めてみました。亀更新と言うか、基本的に気が向いたら更新と言う形を取るでしょう。
読んでいただける方は、今後ともよろしくお願いします。