初投稿となります。未熟な点がいろいろとあると思いますがよろしくお願いします。
あれ?ここって……?
まだ太陽が頭の上で燦々と輝く。
森の少し開けた所に1人の少年が立っている、年齢は17,8くらいだろうか。
何処かの学校のものと思われる校章入りの黒いブレザーに黒いコートを着ている。
彼は今顔を手で覆いその場を動こうとしなかった。暫くそのままの姿勢で佇んでいたが、やがてぼそりと呟いた。
「やっべえ……、失敗した……」
それだけ呟くと彼は急に歩き出した。
俺、中学生の時に異世界トリップしたんだ!
……うん、凄く可哀相な人にしか聞こえないけど本当なんだよ。
朝起きて学校行こうとして玄関開けたら2秒で異世界だったよ。
ただの日本の中学生が剣と魔法と魔物が蔓延る物騒なファンタジー世界で生きていける訳ないだろうが!
運良く出会った変わり者の【魔法使い】の爺さんに助けられて何とか帰ってこれた。
その時にいろいろあって【魔法使い】になりました。
戻って来たこの世界で俺は大成する!!
……訳もなく今では俺ももうすぐ高校3年生、そろそろ大学や将来を考えなきゃいけない時期になってきたよ。
——はあ?魔法はどうしたかって?
【魔法】の力を秘めた剣、——銃刀法って知ってる?
【魔法】の力を秘めた薬、——薬事法って知ってる?
【魔法】を使って悪党退治、——日本の警察なめんな。
と、いう訳で魔法なんかこっちじゃ殆ど使ってない。ばれたら捕まって何されるか分かんないからね。それに俺のいる世界は空気中に魔力が存在しないから魔法の効果が恐ろしく落ちる。
道具作成や内的作用なら問題ないんだけど外部に影響するようなものはコストパフォーマンスが1000:1ぐらいで役に立たない。
まあ、1人だけ俺が「魔法使い」である事を知っている友人がいる。それを知った時の友人の反応は
「自爆できるの?」
咄嗟に顔面パンチした俺は悪くないと思う。時々頼まれて道具を作ったりするけど
——平面画面が立体に見えるようになる眼鏡とか
——女性の3サイズが測れるようになる眼鏡とか
——女性の下着の色が見えるようになる眼鏡とか
……なんで俺、あいつの友達なんだろう?考えたら悲しくなってきた。
そして今の状況は
見たいドラマがあって転移で家に帰ろう。
何か座標が狂ったみたい。
だけだったらいいんだけど……。ここ、空気中にかなりの魔力が存在してる。限りなく嫌な予感がしながら森の中を歩いていく。
5分ほど歩くと道路に出た。
コンクリートで舗装された道、
道の脇には日本語で書かれた看板、
少し遠くには複数の建物。
ほっと一息つきながら看板に向かって歩く。
「よかった、日本だ。外国だったら不法入国になるところだった……」
看板の前に立って現在位置を確認しようとして動きが止まる。
携帯を取り出して画面を開く、——圏外。——PM5:10
近くに立っている時計を見る、——PM0:40
看板を見てもう一度現在位置を確認する。
『海鳴市、この先5キロ』
え?ここ、『とらハ』の世界?