こんばんは、861です。
これは、数多のネタのなかから取り出した、別の人、別の骨子による物語です。
それではどうぞ。
「……あ~、やっと着いたぞ、日本……」
時刻は午後5時、日本の某空港の前にておもいっきり背筋を伸ばす青年一人。
……焦げ茶色の髪を後ろは首のやや下辺りで纏め、前は右半分:左半分を7:3で分け自然に流している上に、目鼻立ちが整った所謂『ハンサム』な顔である。
それだけでも目立つ風貌なのだが、彼の存在を異質に見せているのが、右肩に担いだ一見ギターケースの様にも見えるモノと、彼が着ている黒の修道服であった。
「……えぇと、取り敢えずタクシーは……、と」
キャリーバッグを引き摺りタクシー乗り場に向かう青年。運良く一台見つかり、それに乗り込んだ。
「随分大荷物ですな。お客さん、何処まで? 」
青年が拾ったのはベテランの風格漂う中年ドライバーのタクシー。
「……IS学園の最寄り駅まで」
「あいよ」
そうしてタクシーは出発した。
で、その車内にて。
「……そういやお客さん、IS学園に何の用で? その荷物からして、整備科の新任教師か何かかい? 」
何気なく聞いたタクシードライバー。
「……俺、幾つに見えるんですか? 」
「二十代半ばじゃ、ないのかい? 」
「……俺、まだ18なんですが……」
「……あぁ、そりゃすまなかったねぇ」
「……はぁ、どうも」
「で、結局君は何者なんだね? 」
「……一言で言えば整備する側ではなく、乗る側ですね」
「ほぉ、あれかい? こないだ報道された彼の二番手三番手みたいな感じかい? 」
興味を抱くタクシードライバー。それに対し彼は……、
「……俺の場合は、アイツの一件以降にバレたんです。……動かしてたのが」
若干嫌そうに言った。
「そりゃ、災難だったね。一本食うかい? 」
「あ、いただきます」
ドライバーから差し出されたツイスターを食う青年。
「それにしてもアレだね、君の歳を考えれば、普通就職や進学をしているんじゃないかとは思うんだが……、君は向こうで何やってたんだい? 」
「……(参った、何と答えればいいんだ……? 仕方ない、普通に答えるか)そうですね、バルセロナの教会で駆け出し司祭をやってました」
「ほぉ、その歳で司祭か、大したもんだ」
「……神学校、一年飛び級でした。次席ですが」
「こりゃまた驚いた!! 十字教はさっぱりだが、いやはやスゴいね君は」
「はあ、どうも(……この様子じゃ流石に言えないな、俺が【代行者】やってるなどとは) 」
ため息をついた青年に対してドライバーは、
「……大丈夫かい? ダルそうだけど」
……と、青年にとっては都合のいい勘違いをした。
「はぁ……、この一月半、IS関連の知識の詰め込みと平行して、ミュンヘン→トリノ→マドリード→バルセロナ……、って感じに飛び回ってたんで、まともに寝所で寝たの10回位しかないんですよね……」
「そりゃ大変だったね……」
「ええ……、ミュンヘンでの仕事を終え、トリノの知人を訪ねた頃にスペイン当局からの電話で……」
「……向こうは、なんと? 」
「『神父バルバロッサ、アンダルシア社経由でお前がISを起動できていたのはとうに調べはついている。
だから、さっさと戻ってこい』……とまあ、そんな感じです」
「……そりゃ、災難だったねぇ」
「……思い出したくありませんよ、アレは。教会からの圧力がなけりゃ、簡単に情報が流れてたでしょうしね……、ホント、教会様々ですよ」
そうして青年はまた、ため息をついた。
「……良くわからんが、なんで教会からの圧力? 」
「うちはカトリックなんで、その辺の個人情報のガード、固いんですよ、多分」
……どちらかと言えば【教会】の裏の方からの圧力が掛かったのだろうと推察する青年。
そうこうしているうちに……、
「それはそうとお客さん、着いたよ」
「あぁ、はいはい」
「ん? これ、多くないか? 」
「チップって事でよろしくお願いします」
「そうかい? 」
「ええ。それじゃ」
そう言って青年はタクシーから降りた。
「……よし、行くかIS学園! 」
妙な気合いを入れ、モノレールに乗り込む青年であった……。
…………
「(……暇潰しに振り返ってはみたが、どうなるんだろうな、俺は……? )」
……To be continued.
如何でしたか?
次回は、入学となります。
それでは