こんにちは861です。
今回はキャラが多少ブレてますが、お気にせずに。
*諸々な方々の指摘を受け、書き直ししました。
…………
「(あぁ~、予想はついていたが、いるだけでストレスが凄まじいな、これは)」
彼がもたれ掛かっていたのは一年三組の教卓側の戸の前、廊下側最後列から死角になるようにして待っていた。
「……(憐れなるや織斑一夏。)主よ、あ奴をちびっとだけで良いんで守りたまえ……」
そう言って十字を切る青年。何だかんだ言って根は神父なのである。
そうして、主担任に促され教室の中に入った……。
その説明を受け、彼女達が最初に感じた感情は【疑念】であった。
そうして、青年が入って来た時に沸き上がった感情は【驚愕】であった。
そうして、青年は自己紹介を始めた。
「……一身上の都合で1日遅れの編入とはなりましたが、始めまして皆さん、俺は『ガルシア・バルバロッサ』といいます。
とりあえず細かい話しは後にして、簡単な自己紹介だけ……、
誕生日は5月26日、
血液型はO型
趣味はギターだったりバイクだったり色々、
……この通り、免許は持ってます。当然、学生としてのルールは守りますが。
そして、年齢ですが……、18です。
皆さんよりだいぶ年いってますが、気にせずお願いします。
最後にですが、世間じゃ織斑一夏の野郎が世界初云々扱いされてやがりますが、俺にとっては、正直傍迷惑な話です。
……あの野郎がうっかりやらかしたせいで、実質職無しにされたんですから」
……最後は、恨み混じりの言葉で締めくくり、席に座った。
そうしてガルシアが座った数秒後に、彼女らの【驚愕】は【歓喜】へと変わった。だが、それが爆発する前に……、
「……取り敢えず落ち着け!!」
ガルシアの、地の底から震い立つような声に一気に静まった。
「……気持ちは判るが、取り敢えず、抑えてくれ。
ここで派手に騒いだら、他のクラスやら学年やらに大いにバレる。どうせバレるんなら、より遅いに越した方が良いんじゃないのか? 」
慌てて言った為か、言っている内容が滅茶苦茶になるガルシア。
だが、彼女らは一応納得したようで……、SHR自体は滞りなく終わった。終わったのだが……、
「……失礼、バルバロッサとかいうヤツはいるか? 」
SHR終了後少しして、三組の教室に黒スーツの女教師が入って来た。
若干騒がしくなる教室内。……知らぬ者なぞ居ようか、彼女こそ、『織斑千冬』である。
「……俺ですが」
手を半分上げ反応。
「見ない顔だな、編入生か? 」
「一応、そうなりますね。……それで、俺に何か? 」
「あぁ。……ほら、お前の携帯電話だろう? 」
織斑教諭の投げた携帯電話を片手で受け取るガルシア。
「……何故、俺のだと? ……えぇと、」
「千冬、織斑千冬だ。織斑先生と、ちゃんと呼べよ? 」
「そうですね。で、織斑先生? 結局何故なんですか? 」
「……それを私が拾った時に喧しく鳴っていてな。苛ついてつい、通話ボタンを押してしまったよ」
「そうですか、で、向こうは? 」
言外に要件を尋ねるガルシア。
「さぁな、向こうはお前の専用機がどうこう言っていたが……? 」
その言葉にざわつくクラスの諸姉一同。
「どれどれ……、もしもーし? 」
『……おう、ガルシアか? 』
「あぁ……、主任」
『取り敢えず言っておく……、バカもーん!! 専用機を置き去りにする代表候補生がどこにいるかー!! 』
「すいません、本当にすいませんでしたーっ?! 」
どこぞのサラリーマン宜しくぺこぺこ頭を下げるガルシア。
それを見たとある女生徒に、
「(こいつ、もしかしてどっか抜けてるのか? )」
とか思われていたのは、内緒である。
『……まぁ、反省しとるようだし、今回は良いだろう。今、別の仕事が入っていてアレなんで、来月迄には届けるよ。それでいいかい? 』
「はい!! ありがとうございます!! ……何だ? 」
「……えっと、ガルシア君と織斑先生って、何だか似てるな……って」
「……それは雰囲気が、か? 」
取り敢えず横に並んでみるガルシア。
そうして上がる納得の声。
「……織斑先生としては、ソレ、どうなんですか? 」
「随分と難しい事を聞くのだな、バルバロッサ」
「……そうなんですか? 」
……当人からすれば唯の会話であるが、端から見てる連中にとっては、目の前で斬りあってるように錯覚するようなプレッシャーを感じたとか何とか。
「そうだ。……あぁそうだ、聞こうと思っていたのだが……、」
「なんです? 」
「この、【代行者】とは何だ? さらに言えば、【聖堂教会 第八秘跡会バルセロナ支部所属】……とあるが? 」
履歴書らしき物の一部を指差しなから問う織斑先生。
「(やれやれ、こりゃまた面倒な御仁にバレたな……)
わかりやすく言えば、神の教えを信じているにも関わらず、教義に反する行いをしまくったアホんだらをぶちのめす……、それを認められた連中の事ですよ。……と言っても、それだけじゃないんですがね」
「……おっと、これは“此方側”の住人である貴女方には関係ない話でした」
無理やり話を打ち切ろうとするガルシアに、
「待て、今のは聞き捨てならんぞバルバロッサ。此方側というのは、どういう意味だ……」
喰らい付く織斑先生。
「どうしても、説明せねばならんの……、ですか? 」
「当たり前だ。……ついでに言えば、他の連中も興味津々のようだが」
「え″!? ……本当に、……で す か?? 」
ギギ、ギギギという音がしそうな動きで後ろを振り返るガルシア。
……三組の主担任を含めた全員が、興味津々を通り越して、目をキランキランさせていた。
「そういうことだ」
「……出来ません、どうしても話すことは出来ません」
「ほう……、理由は? 」
……一瞬、空気が凍り付く。それを無視しガルシアは……、
「……念のため言っておきますが、ここから先の話は、堅気の皆さんお断りなんですよ。……それに、『好奇心は猫を殺す』の喩えも有りますから。藪を突いてヒドラに腕喰い千切られたくはないでしょう? 」
「……そこまで、なのか? 」
「ええ。……それでも聞きたい方は、いますかね? 」
ぐるりと教室を見回すガルシア、すると全員黙りこくっていた。
「…………流石の私も、片腕喰い千切られるのは御免被るな」
「織斑先生レベルなら、指2、3本ぐらいで済むと思いますが? 」
「……おいおい、織斑先生で指2、3本持っていかれるとか、どんなレベルの世界なんだ一体……?! 」
……どうやら彼は、その呟きが聴こえていたようで、
『世の中には、平穏無事に暮らすのならば、興味本位で触れてはならない領域が存在する……。』唯、それだけな話だ」
……と、曖昧に答え話を終わらせた。
「……そうか、そこまで言うなら仕方ないな」
「ええ、それはそれとして、そろそろ戻った方が良いんじゃないですか? 」
「……まさか生徒に催促されるとはな。そんな訳だ、私は戻るとしよう」
そう言って織斑先生は三組の教室から立ち去り、それから少しして、予鈴が鳴った……。
…………
そうして三時間目。クラス代表がどうこうという話になったのだが……、
「(な、なんでなんだ!? 俺がここまで他薦されているんだ……!? )」
「他に誰かいませんか? いないなら自動的に決まっちゃいますよ? 」
主担任の声が掛かるも上がる気配は無し。
「あの……、そもそもどうして俺なんでしょうか? 推薦される筋合いがちっとも無いんですが……」
意を決して手を上げるガルシア。
「……諦めろ、そもそもアンタがあんな話言わなきゃ良かったんだ。大体、あんな話聞いたら嫌でも推薦するさ」
「あ…………、あれか…………」
とある女生徒の指摘にガクリと項垂れるガルシア。
「それでは、三組のクラス代表は、ガルシア・バルバロッサ君に決まりました~。皆さん拍手~」
そうして鳴り響く万雷の拍手。
「……主よぉ、今だけはアンタを恨むぞチクショ~」
それをガルシアは、机に突っ伏しながら聴いていた……。
そうして昼休みとなった。
今の今まで他のクラス、学年の連中から隠れるように過ごしてきたが、流石に昼飯食わぬ訳にもいかず……、
「……鬱陶しい、視線が鬱陶しい……」
代行者の身体能力で超ダッシュで己の昼飯確保し、端の方の席で食う事にした。……一滴も零すことなくテーブルに置いた事で、また注目を浴びるはめになったが。
……因みにガルシアの本日の昼飯メニューは、以下の如く中華系である。
・大盛り五目炒飯
・青淑肉絲
・麻婆豆腐
・干焼蝦仁
……そして、烏龍茶。
他の女生徒が、
「うわ、スゴい量……」
とか言ったらしいがどうでも宜し。
そして、十字教徒特有の長い食前のお祈りをし、食事開始。
食ってる最中、二人ぶんの気配を背後に感じ、利き手側を見る振りをして横目で後ろを見る。
「(あぁ……、あれが織斑一夏か……)」
後ろの席には、(※世間的には)世界で始めてISを動かした(とされる)男と、根元で二股に別れた長いポニーテールの女生徒が座っていた。
「…………」
「…………」
偶々一瞬だけ、目が合う二人。されど特にどうということも無く、もとの位置に戻った。
「(……どうでもいいが彼女……、)」
「(……誰だか知らぬがこやつ……、)」
「「((……できる! ))」」
ポニーテールの方(篠ノ之箒というのだが)は剣士としての勘から、ガルシアは代行者としての勘からと、妙なところでシンクロする二人であった……。
「箒、どうした? 」
「……何でもない、気にするな一夏! 」
「そうか? 」
「そうだ」
そんな会話を頭の後ろで聞きながらガルシアは昼飯をかっ食らっていると……、また後ろに気配が一つ。
会話の内容から察するに、織斑に用が有るようだ。
「(ま、どうでもいい事だが、な……)」
……相手(三年生らしい)はどうやら、織斑の特訓相手をしてやろうとしたらしい。……結局、篠ノ之によって断られたが。
そうして食い終わったガルシアが、食器を片付けようと立ち上がると……、
「ちょっと、ねぇちょっと! 」
声をかけられ無視していたが、余りにも鬱陶しいので仕方無く……、
「…………何か」
「なんでそんなに不機嫌なのよ……」
「アンタの所為だ、アンタの。で、用件は? 」
「…………」
「無いなら話し掛けないでくれ、俺は他人の娯楽役なんぞ真っ平御免だ」
「よ、用なら有るわよ! 」
「……どんな? 出来るだけ簡潔に纏めてお願いします。……特訓の相手をしてやろうというなら、実力の程度を見せて貰うのが先ですが」
「随分と、自信ありげね君。名前は? 」
「ガルシア、【ガルシア・バルバロッサ】。スペイン代表候補生を有り難く押し付けられました」
「へぇ……、それなりに実力はあるのね」
「まぁ、人外エリアで目一杯泳いでますが」
「そう……。で、いつやるの? 」
「早いうちに。明日……は無理みたいなんで明後日はどうでしょう? 」
「いいわね、それで決まりね」
「お手柔らかに。……何か? 」
「なーんか、君に敬語使われる事に違和感あるのよね……」
「……多分、年齢かと。俺は今18なんで、そちらからしたら年齢は横並び、学年は二個下って事になりますから」
「……え?! それ、ホント? 」
「…………よく言われます、それ」
驚愕する三年生と、また言われ、ため息をつくショボーンなガルシア。
「あ……、悪かったわね……。なんと言うか、君って一昔前のハンサムって感じよね……」
「それ、褒められてる気がしないんですが……? 仮にそうだとして、手加減しませんけどね」
「そう……」
「それでは」
そうして、ガルシアは食器を片付け学食を後にした……。
そうして放課後、主担任から学生寮の自室の鍵を受け取ったガルシアは、荷物を取りに寮長室に行き、自室こと、1035室に向かった(代行者ダッシュで)。
まあ、難なく到着出来たのはいいのだが……
「おいおい……、これは学生寮の自室ってレベルじゃないぞ……。流石はIS学園という事なのか……。おっと、現在シャワー使用中か。……俺は運がないな」
因みに、これは全て小声である。
「(……どうする? 同居初日から心証下げる訳にもいかない、だが、仮に今ここから出て行ったとして、他の部屋の連中に騒がれるのは簡単に予測がつく。そうしたら、同居人に迷惑が掛かりかねない……。
おいおい、これはアレか?? ?予想可能ナレド回避不可能?とかいう事態なのか、死亡フラグなのか!? )……あ」
そこまで考えて、あることに気がついた。
……荷物を仕舞い込むのに意識を割きすぎて気付かなかった事にすればいいと。
「若干ズルい気がしないでも無いが……、俺は心証下げる訳にはいかんからな」
誰に言ってるかワカラン台詞で一人納得し、バッグの中身をクローゼットに仕舞い込み始めた……。
「……これで一丁上がり! 随分入ってたんだなぁ……」
因みにギターケース(仮)は、ベッドの下に滑り込ませた。……中身が中身でバレたら面倒であるが故に。
そうこうしているうちに、シャワールームから同居人が出てきたようで……、
「さっきからガチャガチャ何をやっているのかと思えば、アンタがアタシのルームメイトか? 」
「あぁ、これからよろしく頼む。改めて名乗るが、ガルシア・バルバロッサだ」
「……態々名乗るなんて礼儀正しいやつだな。
支倉千里だ、こっちこそよろしく頼む」
お互い顔を見合わせることなく挨拶を交わす二人。
「……で、ルールはどうする? 」
そう言って振り替えろうとすると、
「……待ってくれ、今、ガルシアとか言わなかったか!? 」
「言ったな、それが……、なるほどな」
ガルシアは横目で、千里はシャワールームから頭だけ出して向かい合う形となった……。
「バカ、まだ向くなと言っただろうに! 」
「……面目ない」
……頭だけ出した千里の格好は、タオル一枚巻いただけであった……。
如何でしたか?ルームメイトについてですが、原作タグの〆入っている作品と、描写でわかるかと。