移転後初投稿。
時間がある時に今まで投稿した分をアップしていく予定です。
1話
今年で4歳になるが、こんな世界に生まれたくなかったと思っていた。
誰が、好き好んで人の命が紙屑みたいな価値の世界に転生しなきゃいけないのだ。
出来る事ならば、人が死なない世界に転生したかった。出来る事ならば、学園物などが理想だ…あえて例を言うならば『To LOVE〇』とか『アマガ〇』などがよかった。原作は、読んだ事が無いのでよく知らないが、かなりリア充的な展開が期待できただろう。
『本日、ハンター協会のネテロ会長が…』
TV放送で一番聴きたくない単語が流れた。
そう…この世界は、HUNTER×HUNTER!!
日常を送るには、とても辛い世界。
非日常を過ごすには念能力と呼ばれる超能力紛いな物が必要な世界。
だが それでは、お腹を痛めてまで私を生んでくれた両親に申し訳ないと思い。最近は、考えを改める事にした。
そこで、アリ編までしか原作を知らない私が必死に考えた人生プランがこうだ。
① 念能力の取得
② グリードアイランドの『支配者の祝福』を入手!!
③ ネフェルピトーを嫁として確保!! ← 実は、一番重要な目標
④ ハンター試験合格
正直、自分でも無理な課題を挙げたなと思う。だって、原作キャラや旅団との遭遇率が高過ぎる。
この世界で生き残る為にも最低限①は必須。②を手に入れて世界から隔離された環境でヌクヌクと過ごす!! そして、何より重要なのが③だ。だが、これを達成する条件は、果てしなく厳しい。だって、ゴンさんやキルアを相手にしないといけない可能性があるからだ。正直、あの状態になったゴンさんには逆立ちをしても勝てないだろう。だが、われに秘策あり!! その方法は、まだ秘密だ。②と③を達成する為にも、やはり①の目標は不可欠。そして、①を獲得する手段として④だ。
「そろそろ、道場の時間でしょう?遅れずに行くのよ〜レイア」
「はーい、もうすぐ行きます。お母様」
この世界では、前世の世界と違い人間の限界を超えている連中が多い。その事から鍛えれば誰でもある程度のところまでたどり着けるのは明白だ。両親がサラリーマンと専業主婦の私がどこまで強くなれるかは疑問ではあるが…とりあえず、頑張ります!!
ちなみに、私の場合は俗に言うアルビノ呼ばれる遺伝子疾患を患っており、少しでも体が丈夫になりたいという名目で道場に通わせてもらっている。後、容姿については…ぶっちゃけ、某人型汎用兵器のアニメに出てきたカヲル君だ。
そして、私は今日も元気に心源流拳法道場へ通う。
心源流拳法道場にて。
「イチ! ニ! サン! ヨン!…………」
道場では、同年代に近い子供も多数いる。やはり、ハンター協会会長と同じ流派という事で人気なのだろうか、それとも自分の身程度を守れるだけの力を付けておいてあげたいとおもう親心からなのだろうか。この世界の犯罪率は、前世の日本とは比べ物にならないからね。
それにしても…子供相手で多少は優しく指導してくれているというのにやはりキツイ。
腕立て、腹筋、スクワット、マラソン、柔軟体操が準備体操で終わり次第。正拳突き や 子供同士の組手。先輩からの型の指導など一日でたくさんのことをやる。今年から通い始めたが、みんなの練習についていくのがやっとだ。
全く、原作キャラたちの性能に唖然とするな。ひと桁の年齢で天空闘技場を200階まで上り詰めるってどういう事よ。
「はぁ…」
「レイア!! たるんどるぞ!! マラソン2km追加だ」
「サーイエッサー!!」
ため息をつく私に、道場の高弟から活が入った。
くっそ!! 誰でもいいから私に早く念能力を教えてくれーーー。
レイア私室にて。
「今日も疲れた〜〜」
いくら体力が必要だからって、四歳児には無理なレベルのメニューな気がする。だが、ここ最近着実に体力が底上げされているのも事実である。これが、話に聞く超回復と言う奴なのだろう。それとも、〇樫ワールド新法則なのだろうか。
このままの状況を続ければ、体力だけは確実に付くだろ。しかし、念能力については微妙だ。高弟になり師範代クラスの目に止まれば、開花させてもらえるかもしれないが…期待はできないだろう。やはり、念能力取得のためにハンターを目指すしかないかな。
?の目標達成の為にも、どんなに遅くても原作キャラたちを同じ時期に念能力を学ばなければ、達成は不可能だろう。
私が合格可能なハンター試験は………やはり、原作キャラたちと同じ試験しかないだろうな。内容は、ある程度把握出来ている為、対策がしやすい。
ただし、ヒソカとイルミともご対面してしまうというマイナス要素もある。しかし、ネフェルピトーを嫁に迎えるという欲望と天秤にかければあら不思議…天秤がネフェルピトー確保の方に傾く。
機会をみて、両親にハンター試験受験に付いて話そう。未成年の場合は、色々と許可が必要だった気がする。その後、道場のハンター試験経験者に指導を頼もう。それが例え茨の道であろうとも男にはやらねばならない時もある。
まずは、例の試験がいつなのかを調べてから今後の計画を立てよう。せめて、私がゴンやキルアと同年代でないことを切に願う。才能の差を少しでも埋める時間が欲しい。
数日後。
原作キャラが参加するハンター試験(287期)がいつなのかが判明した。その結果を見て私は、安堵した。なぜなら、今から12年後だからである。これだけの猶予期間があれば、道場で血の滲む様な努力をすれば最低限合格可能ラインにはなれるだろう。
学業から両立は、大変だろうが頑張るしかない。仮にハンターになれたとしても、世の中で生きていく以上、最低限の学力は必要だからね。
「さーて、いくら12年後とはいえどうやって両親に切り出そうかな…」
問題は山済みである。12年の間にどれだけの問題を解決できるだろうか…いや、全て解決せねばならないだろう。考えるだけで気が重いな。
こういう時は、趣味に没頭するのが一番だ。
私は机の引き出しから、彫刻刀と2Lペットボトル位の木片を机の引き出しから取り出した。前世では、手先が器用だった事もあり趣味でフィギュア原型師をやっていた。おまけに、存外人気が出て某イベントではそれなりに稼いでいた事もあった。
まぁ、この世界でフィギュアのような至高な趣味を持つ人物など、そうそう居ないだろうから収入には期待できないがね。
そして、私は今日も疲れを癒す為に趣味に没頭する。
この趣味が意外な人物の目に止まるとは、思ってもみなかったレイアである。
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ハンター試験受験を心に決めてから、早二年…6歳のレイアです。
俗に言う小学校一年生です。
ハンターハンターの世界にも学校ってあるのですよ。てっきり、自己学習や通信教育しか存在しないと思っていました。だって、原作じゃそんな描写なかったしからね。
という事で、二回目の小学生を堪能しております。いやー、前世で社会人を経験している私にとって2時や3時に自宅に帰るのはヌルゲーもいいところだ。
だけど、道場に通う時間が学校の為、短くなってしまったのは少し痛いかなと思ったけど…そんな事は無駄な心配だった。先輩達が濃厚なトレーニングメニューをしっかりと考えてくれている為、時間が短くなろうと総運動量は変わらないという虐め。
今日も道場で鍛錬を終えて、疲れた体に鞭を打って帰宅した。
このままでは、ハンター試験前に私が死ぬんじゃないだろうかと思うくらいに疲れた。原作キャラの才能が妬ましい。キルアなんて6歳で天空闘技場を僅か二ヶ月で150階まで登ったんでしょう。きっと私が一ヶ月かかった事を一時間とかからずにモノにしてしまうだろう。
やめた やめた!!
こういう辛気臭い事を考えるのは、ダメだ。そもそも比べる対象が誤っているのだ。この世界の中心的存在と脇役の自分を比べるなどナンセンスだ。こういう時は、電脳ネットと趣味のフィギュア原型でも作ろう。
「お、またMilkyから返事がきたか。相変わらずマメな人だな」
この二年で私のフィギュアが電脳ネットのオタクの中でも稀に話題に挙げられるようになるまで、腕を上げた。おかげで、こういったファンの方からメッセージが貰えるようにもなった。それにしても、木彫りフィギュア何てマニアックな代物を毎回買ってくれるこの人に感謝しないといけないね。
私のフィギュアは、下着のシワまで丁寧に作っている為、一ヶ月で1.2体程度しか作れない。出来上がり次第、即売付きのネットオークションに流している。それの殆どを落札してくれているのがMilkyというハンドルネームの人だ。全く、原価が0円に近い商品が一体辺り10万ジェニーで売れるのだからメシウマだよ。
「なるほどなるほど…色を塗ったフィギュアを売り出して欲しいか」
Milkyからのメールには、たわいない挨拶とフィギュアを塗装して売り出して欲しいとのことだ。本来フィギュアとは、塗装されてあるべきものだと印刷すれば原稿用紙5枚にはなる程の文章を書いてきた。塗装をする事に対して誰かの師事を仰ぎたいのであれば手配までしてくれると至れり尽くせりだ。
何者かは知らないが、熱い漢であることは間違いないな。きっと、フィギュアに命をかけているようなそんな人物だろう。折角の機会だからダメ元でお願いしてみようかな。ちょうど、漆塗りに興味があったから その辺の手配できたらお願いと書いておこう。
「木彫りフィギュアの漆塗りとか買う方もアレだが…それを趣味で作ろうとする私も相当のアホだな」
メール返信完了。
さてさて、あんまり遅いと両親が心配するから今日も寝るとしよう。
一週間後。
学校から帰ってきてみると、家の前に黒塗りの高級車が止まっております。まるで、ドラマを見ているかのようです。
あれ、これってかなりまずい状況じゃない!?
父が会社のお金に手を付けてその代償に私と母が売られるとか、誰かの連帯保証人で借りた人が逃げたから回収にきたとか展開か!?
だが、どちらにせよ普通の状況ではない。
ここは、素直に警察に助けを求めに逃げるのが得策だろう。私のような子供が大人の武力に叶うわけもないからね。
私が身を翻し、この場を去ろうとした瞬間 車に乗っている黒いスーツを着込んだドライバーと目があった。
ゾクゾク
こいつは、ヤバイ!!
道場に通っている事から自分より強い人は見慣れているので、多少相手が強かろうと驚く事はない。しかし、あのドライバー明らかに只者ではない。道場の高弟よりかは、確実に強い。下手したら師範代にも届くかもしれない。そう感じた。
逃げる!!
それが私にできる唯一の手段だった。逃げ切れるかどうかなんて問題ではない…逃げる以外に道がないのだ。私は、力の限り人気の多い場所に向かって走った。6歳の足では、あの者から逃げる事など出来ないのは至極当たり前だが…ここは住宅地だ。そして、家から約50m先に警察がいる派出所モドキがある。そこまでたどり着けば私の勝ちだ。
ダッダダダダダ
地面を力強く蹴り、一心不乱に走る。
バタン
背後で車の扉を締めると聞こえた瞬間、目の前に黒い壁が現れた。人間急には止まれない…当然 私はそのまま黒い壁に衝突した。
ドーーン
どうやら、壁ではなく人と衝突してしまったようだ。本来であれば、こちらが謝らねばならないのだが…私にはそんな余裕はなく。ぶつかった人の助けを求めた。
逆光でよく顔は見えないが…近所の大人だろう。
「お願いです 助けてください!!」
「どうしたのですか?」
なにやら、とても強そうなお声の人だ。
「家に何やら物騒な面構えの人が来て、まだ家には母が…」
「それは、大変ですね。それで、何処にその人達が?」
どこって、私の真後ろから走ってきているでしょう。マフィアみたいな顔つきをしたスーツの男が…
「どこって…あれ?」
振り返ってみれば誰も居ない。あるのは、黒い車だけだ。
・・・
・・
・
「どうなさいました レイア様」
全身から冷汗が流れる。まさに、蛇に睨まれた蛙と言った感じだ。
「ど、どちら様でしょうか?」
「申し遅れました。私は、とある方からレイア様のお手伝いをする為に遣わされましたワジマと申します。以後よろしくお願いします」
私は、この瞬間 Milkyというハンドルネームの人が誰なのかを理解した。まさか、Milkyがゾルディック家のミルキだったとは…普通気づくよねと後々思ったレイアであった。
文字数の関係で「にじファン」に投稿していた2話分を一話として投稿しております。
またよろしくお願い致します。