本作品を執筆し続けて、一年以上かかりやっと完結までこぎつけられました。
第63話(最終話)
レイザーと14人の悪魔達を無事に討伐し、見事最後のSSランクのカードを手に入れたレイアです。
無論、クリアするにあたりメンバー全員が現実世界にカードを持ち帰る為の準備も万端である、カード上限が開放されたと同時に複製する。このタイミングを狙ってくる汚いプレイヤー達も居てもおかしくないが、残念な事にみんな頭が良いらしい。
「恐らく、このゲームの最速クリア記録で間違いないでしょう。しかも、生涯抜かれることはない…では、メルエム様、どうぞお先に」
臣下である私がメルエムより先にクリアするのは不味いだろう。
メルエムとネテロの協力なくしては、これほど早くはクリア出来なかった。メルエムには、いくら感謝をしても足りないくらいである…まぁ、両親が昏睡した原因の一端を担っているのだから見方によれば、手伝って当然であるがね。
「構わぬ。このゲームの主役は、余ではない。余は、あくまでサポートをしたに過ぎぬ。カード集めとて、余とネテロがおらずとも遠からず集められていただろう。故に、命令する先にクリアせよ」
まじ、イケメン過ぎるわ。これで容姿と性別が残念でなければと、つくづく惜しい存在である。
「では、お言葉に甘えまして…」
ゲームプレイヤー達の血と汗と涙と命の結晶といって過言でないカード達がここに集結した。その瞬間、前回同様にゲームプレイヤー全員に告知がなされた。
だが、このゲーム参加者の誰もが喜ぶ事はなかったのだ。なぜなら、万が一にでも最後のカードを手に入れてしまったらメルエムと愉快な仲間達が凶悪なオーラを振りまいてやってくることを全員が理解していたからだ。故に、殆どのプレイヤーは無回答することを心に決めていたのだ。
カードより命が大事である。
無論、それはゲーム運営を行っているGM立ちにも同じ事が言えたのだ。レイザーは、『大天使の息吹』でも使わない限り、当面の間は再起不能。そして、グリードアイランドの受付をしていたGMもメルエムがゲームに来た際にそのお姿を直視してしまい、現在も集中治療室で治療中である。更に、我々を監視していた他のGM達が、何を間違ったのか女湯を覗いて既に視力を失う程のダメージをおっていたのだ。
そんな、運営側の裏事情など露ほども知らず・・・レイア達は、最後のカードを手にするためのイベントを始めた。
数分後。
システムより以前同様に手紙が届いた。
『あなた達全員にクリア報酬を差し上げますのでもう来ないでください。パレードも行いません。『支配者の祝福』と現実世界にカードを持ち帰るカードケースと『離脱』も同封しましたので、そのままお帰りください』
酷い…運営の怠慢ここに極まりである。
ゲームの使用上、上限数がある為一人がクリアしたら次の人に手紙が届きますと書かれている。
「これは、余達に喧嘩を売っているのだろうか」
「そうじゃの…。全員をクリア扱いとか舐めたことを、儂達に掛かれば周回プレイなど余裕。それを一回のクリア報酬で済ませようなど、安く見られたもんじゃの」
メルエムもネテロもご立腹のご様子である。少々、怒る方向が間違っている気もするが問題なかろう。確かに、このメンバーなら周回プレイなど容易い…というか、複製し続ければ、毎日何度でもクリアできるからね。
「まぁ、とりあえずはご主人様のご両親も治せるし、いいんじゃないかニャ」
「そうですよ。目的は達成しましたので我々もクリア報酬貰って帰りましょうご主人様」
ピトーとタマモの言うとおりである。今回の目的は、ゲームの周回プレイではない。両親の昏睡状態を治すことが優先である。故に、早々にカードケースに『大天使の息吹』二枚と『人生図鑑』である。『人生図鑑』を選んだのは、私の必殺の能力である賢者タイムの発動条件を考慮してのことである。これで名前がわからない人は、ほとんどいなくなるだろう。
「おめでとうニャご主人様…」
「こんなに早くクリアするなんて流石ご主人様。あ、そうそう、この日のためにピトー様と一緒にクッキーを焼いたんですよ。ささ、どうぞどうぞ」
まじ、ピトーとタマモがクッキーを焼くとか、信じられないだろう。いや、これは花嫁修業の一貫と見て間違いないだろう。
まぁ、現実世界に変えればそのまま式を挙げる予定だからな。
モシャリモシャリ
渡されたクッキーを食べてみたが…存外美味しい。てっきり激マズだと思っていたが、予想を覆す……あれ、この味!!
気付いた時が一瞬遅かった。身即座に吐き出そうとしたが、瞬時にタマモが私の口を塞ぎ、クッキーを私に飲み込ませた。
ゴクリ
の、飲み込まされてしまった。この味は間違いなく『ホルモンクッキー』…そして、我が身に恐ろしい変化が起こった。
「oh!!Noooo!! なんてこった、息子はないけど、大事なムスコが!!」
「平和的に解決できて何よりだニャ」
「どこが平和的やねん!! 完全に無理矢理じゃん!! というか、なぜ!? まさかの反乱!?」
「そんな事ありませんよ。ただ、ピトー様とこのゲームに来る前に色々と物理的に話し合ったんですよ。その結果、最初のお子さんはピトー様で、二人目は私と言うことで…」
その瞬間、全てを理解した。こいつら肉食系だ!! しかも、目的は…ゴクリ。
じょ、冗談じゃないぞ。しかも、周りの連中は他人事の様に面白そうにこちらを見ている。
「レイアが女か…ありじゃね。プロハンター、料理、洗濯、掃除に加え、芸術面で多岐に渡る才能。しかも、銀髪美少女になっているぞ」
どちらの味方かさっぱり、わからないミルキ。長年の付き合いだというのに、助ける気配すらない。
「余も有りだと思うますぞレイア殿。愛の形は人それぞれ…そういう形もありかと。後で、銀髪アニメキャラのコスプレ衣装を来てポーズお願いします。ネットにアップするんで」
デイーゴは…完全に私をコスプレイヤーか何かを思っているふしがある。こんなの、私が望んだ愛の形じゃないぞ!!
「……ま、まぁ、いんじゃね。俺は少なくともありだと思うぜ」
若干、顔が赤いキルア…少し前まで一般人だったはずだが、なぜかオタク共と同じ匂いがする。
「愛とは、掴み取るものだ!! ピトー、タマモ…励むといい!!」
「少年…いや、少女かな? まぁ、人生いろいろじゃ。頑張って逃げ切るんじゃぞ」
メルエムは、二人を煽り…ネテロは、若干味方してくれたが、自力で頑張れと。
執事一同は、当然沈黙を守っているが、内心では…あぁ、こりゃレイア死んだなと思っているに違いない。
「あぁ、言い忘れてけど。今、ご主人様に食べさせたのはホルモンクッキーだけど、魔女の若返り薬を練りこんでいるニャ」
………
……
…
「な、何粒だ!?」
「たった、4粒ニャ」
これで、肉体的にも身長が縮んだ謎も解けた。
しかし、それ以上にヤバイのがその組み合わせのコンボだ。実際試したわけではないが、効果は…
「察しのいいご主人様ならお気づきでしょうが。既に実験済みですよ」
ホルモンクッキーの効果時間は一枚で24時間である。その、24時間とは何をもって計算されるかというと、体内時間である。故に、魔女の若返り薬1粒と併用して使うことで、どうなるかというと二つの可能性がある。
『1歳若返った上で、一日だけ異性になる』
『1歳若返った上で、一年と一日だけ異性になる』
既に実験済みということは間違いなく後者だろう。
「ミルキ様!! 両親のことは任せた!!」
カードケースを投げ渡し、私は即座に移動スペルを…奪われたorz
「…はや!!」
「無理ですよご主人様。この至近距離で、私たち相手にスペルなんて使わせるはずないじゃないですか…ジュルリ」
「大丈夫ニャ。痛いのは最初だけニャ…最初だけ…ジュルリ」
前門の狐、後門の猫…まじ、有り得ない。この場から、早々に離脱を開始しているメルエムと愉快な仲間たちが憎い。
「だが、簡単に喰われてやる程、お前らのご主人様は甘くはないぞ」
タマモにカードを奪われる事など想定の範囲内だ。今まで、何度同じようなシーンを見てきたと思っている。当然、対策も考えているわ。
カードは、一定時間過ぎると自動的に復元化される。故に、その特性を使えばいいのだよ。原作でもゴンが使ったようにね。
ちなみに、タマモが奪ったカードは、見た目だけは離脱のスペルだが…それは、コピー機で表紙を貼り付けただけの偽物だ。その中身は、いつか使おうと持ってきた最臭兵器…シュールストレミングである。しかも、爆発寸前のな!!
離脱スペルと信じ込んでいたタマモは、カードがそのまま消えるのを待っていたがそれが仇となった。
ボン
カードが復元化される同時にシュールストレミングの缶詰が破裂した。その瞬間、タマモを中心とした半径十数メートルに鼻が曲がるような悪臭が充満した。
「「ぎゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」
ピトーとタマモがふたり揃って、絶叫を上げた。
それもその筈、元々獣ベースの二人は私のような人間と比べて遥かに鼻がいい。数十倍の嗅覚があると思ってもらって間違いない。故に、死ぬほど臭いのだ。
だが、その瞬間に十分と言えるほどの隙ができた。
「ははは、女体化が解除されるまで逃げ切ってみせる!! さらばじゃ!!『離脱』」
こうして、人生で一番長い鬼ごっこが始まろうとしていた。
だが、レイアは知らなかった…味方で会った時は、これほど心強いと思ったことはなかった者が敵になった時に恐ろしさを。
………
……
…
数分後。
臭いの元から離れて、水浴びにて臭いを洗い流したふたりがいた。
「くっそ!! 逃げられた。ご主人様がもっと強靭なら本気で押し倒すんですが何分、力加減が…」
「全くだニャ。力加減しつつ、ご主人様の悪知恵を上回る必要があると…面倒だニャ。しかも、外に逃げられたとなっては…」
「そこは大丈夫ですよ。ピトー様、ご主人様は間違いなく、ご両親が入院している病院に向かうでしょうから。そこで取り押さえましょう。そして、そのままご両親に挨拶して既成事実を…」
耐性のない人達にとって、即死間違いなしのアイドル事務所対抗試合が生放送されるのだ。その魔の手から両親を守るべく最初に向かうことは想像がついていた。故に、待ち伏せである。
「完璧な作戦だニャ。さて、嫁を迎えに行くニャ」
こうして、レイアを追う二匹の凶悪な蟻コンビがここに誕生した。
時は流れて、数年後。
レイアの実家には、庭を元気に走り回る4人の子供がいた。
なぜ、4人もいるかって?そりゃ、簡単だ…あの二人から逃亡したのはよかった。しかし、その日のうちに捕縛されるってどういうことよ。こちらの動きが完全に読まれていた。そして、私は提案したのだ…「子供は産んでやる!! だから、ピトーとタマモも私の子供を産んでくれと…」断るならば、この命を絶つ所存であると真摯に訴えたのである。恥も外聞もない!!
そして、子供を産んだ後に、ホルモンクッキー+を再び使い元の体に戻ったのだ。いやー、女体化させられた時は、なぜこんな簡単な解決方法が思いつかなかったんだろうね。気が動転していたとしか思えないわ。
だが、おかげでとある問題も発せした。
我が家の家系図がとんでもなく紛らわしい…父親であり母親でもあるというとんでもない存在が沢山w
まぁ、役所で揉めたがハンターの権力を盾に何とかさせたさ。
だが、今はそれ以上に問題が発生している。
「いいか者共…余が指導するからには、目指すはトップアイドルだ」
「うーーん、光源氏計画…悪くないな」
ちなみに、メルエムとキルアの発言である。
メルエムは、あれから冗談なしでトップアイドルまで上り詰めたのだ。容姿はともあれ、その他のステータスは人類史上最高だからね。間違いなく、逸材である。それに人類も耐性が付いてきたようで今では、幼い子供以外はメルエムを直視しても倒れなくなり、次第に『メルエム様って美しい』という程に洗脳され…じゃなかった。教育されている。
キルアは、ゲームクリア後にゴン宛に何度か手紙を出したようだが。一ヶ月もしないうちにやり取りがなくなった。何でも、自己中過ぎてついていけないそうだ。それからというもの、ミルキに連れられて、オタク色に染められてしまった。ついには、アニメに出てくる電撃絡みの技を再現するまで至っている。最近は、超電磁砲を使えるようになったとか話だ。後、うちに娘はやらんぞ!! 娘が欲しければピトーとタマモを倒してからにしてもらおう!!
「Jud.子供の世話はお任せ下さいレイア様」
「流石は、レイア殿のお子さん達だ。本当に可愛い」
デイーゴは、国家元首として円滑に国家運営を行っており、今では前年度成長率7%を常にキープするほどだ。そして、最近ではオタクの中ではデイーゴが神のように崇められており、移住までする人がいるとのことだ。まぁ、目的はデイーゴの横にいつも控えている原作アニメキャラ達なのだろうがね。新作アニメが出る度にヒロインのリアルフィギュアを贈呈しているからね。おかげで、デイーゴの元には言い値でいいから売ってくれと相談も来るほどらしい。
後、最近では、クラピカが鹿角を同じ生き残りのクルタ族だと思い込み…奴隷扱いされていると勘違いして殴り込みにきたそうだ。原作組の能力は事前に伝えていたから対処できたようだが、流石に強かったそうだ。死闘の末に、取り押さえて丁寧に説明を行い和解したそうだ。
「誰かいい加減会長変わってくれんかの…ほれほれ、ネテロおじさんからのプレゼントじゃぞ」
そういい、私たちの子供全員にハンターライセンスを配るあたり職権乱用もいいところである。というか、おじさんってまるで親戚の叔父さんのようだが…全く赤の他人のおじさんである。こんな所で油を売っている暇があるなら、後任を育てろよ。というか、ネテロ会長、若返りすぎだろう!! 完全に20代の容姿をしている。一体、魔女の若返り薬を何粒飲んだんだよ!!
ちなみに…メルエムとネテロの間にはまだ子供はいない。アイドル活動に支障をきたすから引退後にという話らしいが、本気で見たくない。
幸せを掴むまでに色々と苦労したが、報われて本当に良かったと…人に恵まれて本当に良かったと思うレイアであった。
「ピトー、タマモ…愛しているよ」
「何を今更…愛しているニャ」
「当然私も愛していますよ」
「そっか。これからもよろしくね」
若干気恥しかったが、二人共いい笑顔だった。
最後の最後までお付き合いしていただきありがとうございます。
これにて、『まだ見ぬ嫁の為に』は完結いたしました。
我ながらよく、最後まで行けたと思いました。
途中何度も執筆を止めてしまいご迷惑をおかけしてしまいました事を
本当に申し訳なく思います。
と、長々と後書きをしてもあれなので!!
『本当にありがとうございました。ここまでこれたのも読者の方々のお声があってこそです。やはり、お声があったおかげでやる気が湧きまくりました』
そして、これからもSSの執筆活動は続けていく予定ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
ちなみに、次回作は、Fate/Zeroを計画しております。
主人公が得意とする魔術は以下の二つを考えております。
これを駆使して聖杯戦争を生き残る術を誰か教えてくれ(ぇ
後、それにマッチする英霊とかも募集中です。
『女性器をシュールストレミングの10倍の臭さにする魔術/隠蔽性が極めて高く、性交時に発動』
『射精を銃弾を同じ威力にする魔術/隠蔽性が極めて高く、性交時や自慰時に任意発動させられる』