ネタが……
4月、春。それは学生であれば入学、進級と、この一年を新しく始める「始まりの季節」とでも言おうか……。
つまり……その、何が言いたいかというと春は陽気な感じで行かないと駄目じゃね?
みたいな感じだと思うわけよ。うん、割と切実に。
だから決して……決してこんな感じでは……
◇◆◇◆◇◆◇
「…………」
「…………」
だから決してこんな黒髪黒眼の美少女が無言で俺の事をまるでクソ蟲を見るようなハイライトを完全に無くした目で見る様な季節では決して無いと思うんだな。うん。
「……ねぇ」
「は、はいっ」
昨日のスーパーでのアイスの一件で聴いたあの少し照れてるような甘い声など今の彼女には全く無く、ただただ……怖いです。はい。
今の状況は俺正座、レスティアさん不動明王が如く仁王立ちで腕を組んでらっしゃる。まさに鬼の形相というやつか。
とにかく、何故こんなことになったかというと……
昨日、俺がフェイトとアルフなる魔法使い(?)とバルディッシュ(喋る斧)を拾って家まで連れて帰ってきたのが原因であった。
回想でぃすてぃにー
フェイト、アルフ、バルディッシュを拾い、商店街にいる人たちからから
「ただいまー」
両腕は既にアルフとフェイトを担いで空いていないのでドアノブは脚を器用に使って開けた。
因みにバルディッシュは、勝手に待機状態というのになってくれたのでポケットの中だ。
「あ、ユウトーおかえりなさ……い……?」
「……ただいま、レスティア?」
「…………………」
「…………………」
沈 黙
「あの、レスt」
「……………………」(にこっ)
無言で笑顔を返すレスティア。しかしその顔の奥は恐らく笑ってはいないだろう。
なにより、レスティアの後ろから黒いオーラが出ている。
オーラか……あれか、某ハンターみたいにオーラを使って強くなれたりするのだろうか。
多分この黒いオーラは使用者のステータスを底上げして無双みたいになるんだろうな。
勝てる気が全くしないもん。正に蛇に睨まれた蛙だよ。
「…………………」
「…………………」
既にこの無言状態が始まってから一時間と経っている訳なのだが、何も無い。
レスティアは最初に見せた黒い笑顔から表情が一ミリも変化していない。
一方ユウトは冷や汗ダラダラである。ナイアガラの滝の如く全身から汗が噴き出てくる。
……いつかこれ脱水症状が出るかも知れない……
「ねぇユウト……?」
「は、はいっ!?」
余りの恐怖と緊張で少し裏返った声で返事をするユウト。
「私はね、怒ってはいないのよ」
「なん……だと?」
ユウトは『怒っていない』という言葉に拍子抜けしてしまったのかつい腑抜けた声を出してしまった。腑抜けてないか。どうでもいいけど。
「私は何故、この『美少女』と『美女』を担いで帰ってきたのか。という事を聞きたいだけなの」
『美少女』と『美女』という所をやたらに強調して話すレスティア。そして明らかに青筋立ってますよレスティアさん。今のあなたなら本当に笑顔で人をマッハで殺せそうです。もちろん萌え的な意味では無く。
「しかもこの二人、魔力持ちじゃない。それにこっちの犬耳は使い魔の様だし」
どうやらアルフの事を犬耳というのはユウトだけではないらしい。アルフの素体は狼なのだが……しかしアルフの素体が狼ということはユウトも知らない事だ。
「あ、そうそう。この金髪の娘……えと、フェイトって言ったっけ?」
ピクッ
「へぇ」
ピクピクッ
「フェイト……それがこの金髪の娘の名前?へぇ」
……レスティアの額に青筋が浮き出ている。みたいな光景はたぶん幻影である。たぶん。幻影であると思いたいっ!
俺は……追い込まれている!
◇◆◇◆◇◆◇◆
「大佐ー! 大佐ー!」
「どうした?そんなに慌てて」
「レス党の奴等が……いや違う、アセロラにはレモンの約34倍の天然ビタミンCが……!」
「そうか、一旦落ち着け。それは絶対関係ない」
「あります! あるったらあるんです! つまりアセロラさえ食べていれば風邪予防もできるし、夏バテもせずに過ごせるはずです!」
「うむ、確かにそれは凄いが最初に言った『レス党の奴等』という所の方が今は大事だと私は思うのだがね」
「あ、そうでした! レス党の奴等が攻めてきました! 奴等は私達を殺す気です! あいつらのボス、レスティア女王は私達をぉおおおお!!」
「だから落ち着きたまえ。すぐ取り乱すのが君の悪い癖だ」
「は……す、すいませんでした」
「して、奴等は我等エス党を潰そうと企んでいるワケか……」
「大佐……」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
——ウァアアアア!!
「くっ……」
隊舎の外から聞こえてくる断末魔やそれに合わせた狂気の声をあげる者、それらを背にした大佐は一つ、今戦場で戦っている戦友たちを救えない自分の不甲斐無さからか、または狂気の声に怯え、追い込まれたからか……それともどちらもだろうか——悪態をついた。
ズダダダダダダダダダダダダダダダダダ
そのマシンガンは絶え間なく、銃弾を発射する際にでる光——マズルフラッシュを閃かせていた。
ズダダダダダダダダダダダダダダダダダ
そして、その銃音は一切『音が止む』という事を知らずにいた。その弾が作り出すものは弾幕、まさに壁のようなものであり避けることはかなり難しいと思えた。
「ハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
ズダダダダダダダダダダダダダダダダダ
マシンガンを持つ男は狂気の色を濃くしてその鉛玉を振るっていた。
マシンガンの弾は次々と魔法のように敵の——大佐の戦友の躰へと吸い込まれていく。
そしてその中には……女もいたのだ。
男はマシンガンの弾が敵の躰に当たり、絶命すると同時にさらに狂気の色を濃くしていく。
「いいか! 逃げる奴は皆ベトコンだ! 逃げねぇ奴はよく訓練されたベトコンだ!」
そして、そんな彼に少しばかりか畏怖感を覚えたのだろう。その男の仲間内の一人が話しかける。
「お前……よく女が殺せるな……?」
「簡単だ——女はのろいからな」
俺達には出来ないことを平然とやってのける! そこに痺れる! 憧れるぅ!
こ……この男、できるッ! みたいな意味合いだが、狂ったこの男にはいささか興味が無いようであった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
1つの大きな部屋——その部屋には机と椅子、その後ろには五芒星に竜を象った旗がある。これは、この軍の軍旗だ。この部屋に一つだけある椅子に座っている男の軍服にも同様の紋様がある事でそれを物語っていた。
「くそっ!」
ダンッ
その男は苦虫を100匹ほど噛み潰したような顔をしながら力任せに机を殴るように叩いた。
彼のその表情だけで、どれだけの人々が犠牲になったのか手にてるようにわかる。
彼は今すぐにでも戦場に出て、戦い、そして仲間を救いたかった。しかし彼にはそれができない。なぜなら彼は司令官だからだ。司令官が司令塔を動き、戦場に出ると言う事は、司令官がいなくなる。つまり命令を出し、軍隊を動かす者がいなくなるのだ。もし、その時を考えると今よりも被害は大きくなる可能性が極めて大きい。だから、彼は動きたくても動けない。鎖に縛られ、拘束されたも同然の状態なのだ。
一つの間違いが——行動が、隊そのものを動かし、戦場を動かし、そして戦況をも変えてしまうのだ。
だから彼は……もう一度机を叩いた。その怒りを、哀しみを……ぶつけるように。
そして、彼は叫ぶのだ。天に向かって。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
だからこそ——彼は壊れたのだ。この、冷酷で、残忍で、余りにも非情な戦場のせいで。
◇◆◇◆◇◆◇◆
……おわかりいただけただろうか。
今、俺がどれだけ追い込まれているのかを。
何でかシリアスっぽいのになったのは気のせいである。
一応言っておくがさっき叫んでいたのは大佐である。
まぁとにかく、俺は今この大佐くらい追い込まれている。未だに背中から冷や汗が出てくるのを止める術がない。しかし、このままの状態では埒があかない。
「レスティア……」
と、思い意を決して話しかけてみる。すると
「なぁに?」
レスティアは振り返り……
スペシャルブラックでダークなスマイルをしていたので
「ごめんなさいでした」
とりあえず謝った。
そのあとは、レスティアにお仕置きだ、特訓だ何だ言われた気がするけどよく覚えていない。
唯一覚えているのはやはり、スペシャルブラックでダークなスマイルだった。
大佐ぁあああああああああああああ!!!
それとDOG DAYSを書きたいなぁなんて思ったり。
ハーメルンにまだアカウントが残ってるしハーメルンで書こうかな。
こっちに来たのはハーメルンが安定してなかったからだし……
最近安定してますし……