「それを渡してください」
やぁ、ただいま絶賛大ピンチ中の主人公こと荻原ユウトです。
そういえば気になるのだが、前回の話の冒頭と一緒じゃないかなぁ?なんて思ったり。
しかしそこら辺は作者の都合上許して欲しい。
さて、話を戻そう。今俺の目の前には斧を持った危険指定者の金髪少女と犬耳?を付けた美女?がいる。
そして俺の手の中には蒼い宝石、そこの二人はこの宝石を狙っているらしく……。
「それを渡してください」
執拗にそう言ってくる。
「まぁ、これを渡したいのは山々だが……質問いいか?」
「……」
無言か……まぁ勝手に進めさせてもらうか。
「1つ、これは君のか?」
1つ目の質問、彼女は首を横に振る。
どうやら質問には答えてくれるみたいだ。
「じゃあ2つ目、これは君のではないのに何故これを欲する?」
「……」
彼女は無言のまま、首を横に振る。
質問の答えとして成り立っていないが。
「3つ目、これを見つけるように誰かに頼まれた?」
3つ目、縦に振る。
「4つ目、誰に頼まれた?」
「……母さん」
ということはその母親の落し物かなにかか……?
「5つ目、これはお前の母親の落し物か?」
「……違う……」
「違う?じゃあなんでお前の母親はこれを取ってくるようにお前に言ったんだ?」
「わからない……」
わからないて……。
「あ~、もううっさいねぇ」
すると少女の横にいた犬耳さんが気だるそうに言う。
「こういうのはさぁ、ババッと取っちゃえばいいんだよフェイト」
フェイト、というのはこの少女の名前だろうか。
「と、いうわけでさぁ。あんたには恨みはないけどっ」
ダンッ!
「それ、持って帰らせてもらうよ!」
一瞬のうちに犬耳さん←決定事項 が、商店街の床を踏み抜き間合いを詰めてこようとする。
うぇ、マジかー。俺、戦闘とか前世でしたことないよ?
体育の柔道とか。あれは戦闘じゃないだろ。
……まぁ仕方ないか。状況が状況だし。
一応使い方だけはレスティアに教えてもらったし、ぶっつけ本番になるかな。
そう思って、俺は前世から持っていると言われた|能力《ちから》を解放する。
|情報操作《データ・オペレーション》——発動
全身の筋肉、及び動体視力を操作。
「ハァッ!!」
犬耳さんが右ストレートを放ってくるが避ける。
すごい速さで蹴りがくるがそれも、避ける。
避ける避ける避ける避ける、犬耳さんが放ってくる全ての攻撃を避ける。避けまくる。
ここで、能力解説だ。俺の能力は2つある。
一つは今、現在進行形で使っている|情報操作《データ・オペレーション》。これは、あらゆる情報を操作できるという能力だ。
人体の基礎構造、筋力の情報も操作、つまりは身体能力の上昇ができたりする。後は、結構説明が難しいため省くが俺の中に新しい能力などを作ることも可能だったり、基礎構造から操作できるので女性の体になれたりと多様な能力であることがわかった。
2つ目、これが一番驚いた能力。
——アカシックレコードだ。
アカシックレコードというのは情報の塊みたいなもので、アクセスすれば宇宙の始まりから終わりまで、過去未来世界の全てを観ることができる。
俺の場合は生まれた瞬間からアカシックレコードにアクセスしていだ。だが、前世にいた世界が世界なためか限定的なものにしかアクセスしていなかったらしい。らしい、というのはまったく無意識の内にアクセスしていたからだという。
ちなみに限定的なもの、というのは学校で習ったりする知識のみだ。しかもこのアカシックレコード、この世界に来てからまだ二日目なのでアクセスはまだしていないが、アクセスすると情報量の多さからの負担を軽くするためなのか、アクセスしたあとは糖分を取らなければならないらしい。
「ハァ……ハァ……」
犬耳さんは肩で息をするほどに攻め疲れていた。
まぁ、5分以上全力で攻めていたらこうなるのも当然だろうが。
俺?動体視力をかなり上げてるから紙一重で無駄な動きをせず余計な体力なんて使ってないし、操作すれば体力の上限なんて上げられるし問題ない。
「ハァアアア!!」
最後にストレート。遅いな……。
ガシッ
「なっ!?」
犬耳さんの目が驚愕したように開かれる。
自分の腕を掴まれたのが信じられないのだろうか。
最初の一撃より遥かにパンチの速度は落ちていた。
だから捕まえるのは容易い。
「どっ……せい!!」
ぐるっ
犬耳さんの腕を掴んだまま、俺は柔道でいう背負い投げをした。
「わっ!?」
ダンッ
「ガッ……ハ……」
犬耳さんはそのまま肺から空気を全て吐き出し、気絶した。
「アルフ……!」
アルフ……というのは犬耳さんの事かな。
カシャ
フェイトはその漆黒の戦斧を構えて
[Harken form]
その戦斧から電子音がした後、その斧は形を変え始める。
変形したその戦斧だった武器のイメージは……死神の鎌。
刃の部分は金色に輝いている。
[Arc Saber]
「アーク……」
フェイトはその戦斧を振り下ろし
「セイバー!」
鎌と同色の斬撃を放ってきた。
動体視力の上がった眼で見ると、どうやらその斬撃は電気を帯びているらしく、当たるのは危険と判断した。
「よッ……と」
アークセイバーと呼ばれた斬撃を紙一重で躱した、が
[Blitz Action]
「ハァッ!!」
このフェイトのブリッツアクションは相手が一瞬見失う程の短距離限定の超高速移動魔法。普通ならユウトにはフェイトの姿がかき消えて次の瞬間にはユウトに一撃を与えているはずだ。
普通ならば。
そしてフェイトの姿は一瞬にしてかき消え、彼女は漆黒の鎌を横なぎに振るう。しかし、彼女が攻撃するはずだった少年は目の前にはいない。
……灯台もと暗しとはよく言ったものだ。
少年がいたのは……彼女の目の鼻の先、足元であった。
「ッ!!」
しかし気付いた時にはもう遅かった。
少年の腕は彼女の鳩尾に吸い込まれていき……
「………ッ!!」
悲鳴にならない声をあげて気絶した。
「危なかった……」
そう呟き、フェイトとアルフを見下ろす。
「この灰色の空間もそうだが、さっきの魔法ってやつか?だったらレスティアんとこに連れてって見てもらうか……」
[Please wait.(まってください。)]
電子音が聞こえた。
「ん?どこだ……?」
[Is here, here.(こっちです、こっち)]
声がした方を見ると、フェイトの持っている斧からこの声は聞こえたように思えた。
「この斧か?」
[Yes,I am.(はい、そうです。)]
「なんで斧が喋ってんの?いや、さっきも声みたいのは出てたけど、あれは何か仮面○イダーの変身ベルトみたいな感じかなと思っただけで……」
[Since I is an intelligent device that piled up in AI.(私はAIが積んであるインテリジェントデバイスですので。)]
(インテリジェントデバイス……?それが何かはわからないけど、後でこのフェイトって子が起きたら聞けばいいや)
そう思い、フェイトとアルフ、インテリジェントデバイスを拾い上げる。
《That……(あの……)》
「どした、インテリジェ……長いよ。なんか名前ないの?」
[Is Barudisshu.(バルディッシュです。)]
「どうした、バルディッシュ?」
[How do you do?(どうするのですか?)]
「とりあえず、家に連れていこうと思う。このまま放置しとくのもアレだしな。別に変な事はしないぞ?しないよ?絶対だよ?」
[You are a interesting way.(あなたは面白い方ですね。)]
「面白い……だと?」
[What's the matter?(どうしたのですか?)]
「面白いなんて初めて言われたよ。あとこの空間どうにかしてくれ」
[Gut.(わかりました。)]
灰色の空間は天井から割れるようにして開かれ、商店街は先程のざわつきを取り戻していく。
バルディッシュの感性は少し可笑しいんじゃないかと思いながら、商店街の人に少しアレな目で見られながら俺は帰路に着いた。
魔法補足説明:
今回フェイトが使った短距離超高速移動魔法のブリッツアクションですが、これは無印の6話目あたりにフェイトがなのは戦の時に使用した模様。
6話というと温泉のあたりですかね?
wikiったら載ってました。
ちなみにフラッシュムーブはなのはが開発した魔法だそうで、ソニックムーブとかはA'sのバルディッシュ・アサルトで使ったらしいです。
つまり無印時にはまだソニックムーブは存在してなかったことに……。
なのはの脚に付いているあの羽は無印だと、「フライアーフィン」、A'sから「アクセルフィン」だそうです。
「アクセルフィン」は「フライアーフィン」の上位版みたいですね。
ブラストォオオオオオオオオオオ!!!はっ!すいません。奈々さんのブラストでテンション上がりました。