「フ、フハハハハハハハハハハハハハハハハ!甘い甘いぞ!俺がそんなに簡単に諦めるなんて美神さんが募金に福沢さんを入れるぐらいありえん!」
やたらとハイテンションな横島が何処にいるのか気になる方も多いでしょう。
「ガハハハハ———グベラホ!」
標識に頭をぶつけて崩れる…つまり…美神達が乗っているバスの屋根にいるのだ。
「お、大人しく座っとこ」
頭が100度ほど右に傾いてても特に気にしないのはさすが横島。
「それにしても…見事に成功したなぁ」
ここに至った経緯を順に追っていく。
…と言ってもぶっちゃけ最初からバスの屋根にいたのだ。
なら鞄の中にいた横島はなんだったのか?それは式神である。
美神達とのやり取りが短かったのは折檻を受ける前に逃げるためだ。
一応完成した式神だがGM(グレートマザー)の折檻どころか美神の折檻を耐えれるほどの耐久性はあるはずもないので早々逃げる…所謂戦術的撤退で回避という作戦だったのである。
「…で何処に行くんだろ?」
合宿がどういう物なのかは調べたが何処に行くかは調べてなかったと微妙に抜けているところが横島らしい。
「なんか段々田舎…てか山に入ってってるな…う、酔ってきた」
そりゃ屋根の上では酔いもするだろう。
ちなみにチェーンで命綱のようにして身体とバスに固定(屋根に勝手に取っ手をつけた)してあるので落ちる危険性もないが揺れが凄くて普通の人間ではすぐに酔う。
「ま、まさかこれで夜まで移動とかないよな」
そんな不安はあるがついて来た事に後悔は『今のところ』ない。
「やっと着いた〜」
座りすぎて固まった体を解す様に動かしていると少し離れたところで群れを成していた女子高生が騒がしくなった。
「………」
自分の推理が間違いであって欲しいと思う…思うがその確率は極めて低い。
何より美神の霊感がそれを告げているから。
「僕横島忠夫!お茶でも一緒に——「今日は忙しいので」」
「貴方を一目見たときから僕の恋は始まりました——「うわ、キモ」」
「君のためになら死ねる——「勝手に死ねば、むしろ死ね」」
「お姉さん、踏んづけてください——「………」」
とりあえず完敗しているご様子。
それを見た美神は声を掛けるべきか無視すべきか消すべきかを真剣に考えていた…特に後ろ二つを。
「よ、横島クン!何をしているんだね!」
騒ぎに気づいた唐巣神父が横島に駆け寄る。
「あ、ヤバ」
そして逃走を計ろうとする横島だったが周りを見渡して逃走ルートを見定めようとするがいつの間にやら教師達が包囲していた。
「ち、こうなったら…生命の根源たる水をもって実りを成して障害なき道を造らん」
横島は地面に指で地面に何かを描き、終わったかと思ったら手を当てて呪を呟くと真っ直ぐに人一人が余裕で通れるぐらいの並木道というには木の密度が壁ぐらいあるが…が出来上がる。
ちなみに包囲していた教師は地面から何かが出てくる気配を察知して逃げた為、包囲が崩れた。
水生木…五行思想において水は木を育むと言う意…を用いた今回に向けて美神達から逃走する為に考えた横島オリジナルの術だ。
「ワハハハハ、さらばだ明智君——「あんたはなにやっとるかー!」——ビヒズスキン!」
唐巣神父が知った以上自分も無関係ではいられないと諦めて(元々無関係でいられるわけないが)並木道に入ろうとする前に神通棍で一本足打法でしばく。
「あんたと言う奴は!どうやってついて来たのか知らないけど人に向かって陰陽術を使うアホだとは思わなかったわ!」
「堪忍や〜仕方なかったんや〜捕まったらせっかく頑張った事が無になるんや〜」
「知るか!」
今度は振り子打法。
「み、美神君、そ、それぐらいでいいのではないかね」
いつも以上に霊波を発する神通棍に美神と同じく怒る立場の唐巣神父もタジタジだ。
「はぁはぁはぁ………はっ!」
冷静さを取り戻した美神は周りを見渡して(し、しまった〜私のイメージが!)とか思ったりするのだが他の生徒の気持ちは(あのナンパ野郎を退治してくれた!)と言う事で好感度アップしていたりするが当人が知る由もない。
慌てた様子で教師達が駆け寄ってきた。
「一体こいつは何なんですか!ここは六道女学院所有の地。部外者が侵入したとなれば問題になりますよ」
「いや、それがその…私の弟子で横島忠夫と言いいまして…どうやらついてきてしまったようです…お騒がせしてすみません」
「あ、唐巣神父のお弟子さんでしたか…それにしては…」
言葉を濁して途中でやめる教師。
唐巣神父には言葉の続きが分かったらしく苦笑してもう一度すみませんと言って頭を下げ、とりあえず人目のつかない所へ横島と美神を連れていく。
「いや〜ん、こんな人目のない所に連れて来て何する気!」
「気色悪い声出すな!」
地面に叩き伏せて神通棍を突き立てて抉るように回すと「おう、おおう、い、いかんこの歳でそっちの趣味は——」と怪しい声が聞こえ美神は更に力を込める。
この歳で、って歳とってからならそっち系に目覚める予定なのだろうか?
「まったくどうやってここまでついて来たのよ?あの後確かに行ったわよね?」
美神はどんな方法で来たのかわからず余計にイライラしているご様子。
そして唐巣神父も頷いて肯定する。
唐巣神父は唐巣神父で師匠として弟子の気配を察知できずにちょっと凹み気味。
「あ〜あれっすか。あれの正体はこれっすよ」
そう言ってベルトポーチから式神用の霊符を取り出して霊力を籠めて放つ。
「どうも、1/1スケール式神横島ッス」
「「………」」
「「あ、あれ?反応が薄!もっと驚いてくれると思ったんだけどな〜」」
二人揃って肩を落とす。
「やっぱあれか?俺なんかが増えてもゴミが増えた程度しか価値ないんかね」
「そう落ち込むなって俺!もっと頑張れば見返せるさ!」
「…そうだな俺!今度はウルトラ○ンサイズを作ってやるぜ!」
「その調子だ俺!」
なんだか危ないこれからの方針と自分で自分を慰めるなんていう妙な現象が起こっている中、師匠&姉弟子はフリーズからやっと立ち直った。
「よ、横島クン?それは…いやこの場合彼か?…はその、式神なのかね?」
「「そうッスよ。中身はオリジナルとほとんど変わんないんで今学校に行ってるのも同型ッスね。これで破門も無しでよろしく!」」
「中身って…じゃあなに?式神に自分と全く同じ人格をもたせれたわけ?」
「「うっす。人格をコピーするのはそんなに手間じゃなかったんすけど持続時間と耐久力の方が大変だったな〜」」
「「………なんて非常識な」」
((やっぱ学校に式神を行かせたらあかんかったかな?))
本当は人格のコピーが非常識と言っているのに横島は少しだけ的ハズレな事を考えていた。
「はぁ…ついて来たなら仕方ありませんね。まぁ、これも修行の一環と考えれば悪い事ではないでしょう」
「先生!それでいいんですか?!絶対またナンパ…いや、入浴の時とか覗きますよ。絶対」
「「ギク」」
「横島クン?」
どことなく昔の面影を臭わす唐巣神父。
「「はっはっは、やだなぁ。俺がそんな事するわけないじゃないっすか〜」」
もう一度、はっはっはと笑って誤魔化すが唐巣神父のプレッシャーに冷や汗だらだら。
「それにしても横島クン。あんた最近セコイ手ばっかりうまくなってない?」
「「え?美神さんから借りたこの本に書かれてた通りにやってるだけッスよ?」」
荷物から取り出したるは…「美神流戦術指南書 〜何を持ってしても勝利せよ!〜 著者:美神美智恵」だった。
「「………」」
なんともいえない空気が二人を覆い、黙ってしまう。
横島もつられて黙る。
そして時は動き出す。
「よ、横島クン!これどうしたの?!」
指南書をパラパラパラっと読みながら問いかける。
「「何言ってんですか、美神さんが貸してくれた本の中に混じってました」」
「………ちょっと黙っててくれる」
「「イ、イエッサー」」
真剣な顔で本を読みふける美神を放っておいた方が賢明だと判断し唐巣神父に小声で話しかける。
「「唐巣神父〜美神さんどうしたんスか?」」
「あれはね。美神君…令子君の母親、美知恵君の書き残した…そう、分かりやすく言えば遺言なのだよ」
「「え………美神さんのお母さん亡くなってたんですか」」
二人の横島が目に見えて今までの陽気な雰囲気が陰気な雰囲気になっていく。(おお、これぞ陰陽師?)
ただその遺言書のような物を気づかず横島に貸してしまう辺りちょっと抜けている。
「彼女は立ち直り、前を進む決心しました。あなたは彼女が再び挫けそうになった時に支えてあげてくれませんか?」
「「そりゃあ俺なんかで役に立てれるなら火の中水の中三途の川の中!」」
「そうですか」
自分では教えを説く事は出来ても支えてあげれない。
唐巣神父は親代わりになれても友にはなりえない。
今学校での友…つまり霊能科の生徒は十中八九GSを目指す為、卒業した後は商売敵ともなる。
金に執着している美神が友が商売敵になった場合…恐らくよほど仲がいい者以外は友とは呼ばないだろう。(原作でも自称友達の六道冥子、商売敵兼ライバル兼喧嘩友達の小笠原エミ以外は登場してない)
その点横島は年齢的に考えてしばらくはGSになるにはまだ先の事だし思惑美神との相性も悪くはないようなので親心ながらちょっとした支援もしたくもなるというものだ。
「「それに…」」
「ん?」
「「あの胸と尻と太ももは俺んだ!」」
唐巣神父はズルっとこけた。
この多少困った性質をなんとかこの一年で直さないといけないかもしれない…と何度も考えているのだが…まあ無駄な努力となる事は宇宙意思によって定められている。
「誰があんたの物ですって!」
「「ピタゴラスッ」」
素早い二連撃がヨコシマーズに見舞われ、式神の方が耐え切れずに煙をあげて消滅する。
「あら、意外と弱いのね。その式神」
「とりあえず完成したけどまだまだ研究する必要があるんすよね〜12時間しか持たないし」
「おや?てっきり合宿の間持つ物と思ったのですがそれぐらいしか持たないのかね?」
「そうよ。学校を休んだら破門だって忘れたの?」
「フッフッフ、そんな中途半端な事するわけないじゃないっすか!」
「えらく自信満々ね」
「結構頑張りましたから!1体でダメなら2体で補えばいいんすよ!つまり式神に式神を使わせるわけです。そうすれば留守番と学校に行く事ぐらい分けない!」
式神が長時間持たない原因が霊力不足ではなく素材の悪さである事が判明して、それならばと完全に霊力が消費しないうちに式神が式神を使ってみたどうか?という素人考えの打開方法を考え付いてそれを実行し、成功したのだった。
「「………」」
今サラっとオカルト業界…特に式神使い…を激震させるような事を言っている事を横島はもちろん知らない。
「いや〜こんな簡単な方法で出来るんならもうちょ——「「横島(クン)(君)!」」——はぃ?!」
唐巣神父は「またそんな重大な事をサラっと…」と呆れ、美神は「あんた何やってんのよ!」と驚きの声を上げる。
「な、何か問題でもあ——「あるに決まってんでしょ!」——イソブラボンッ!」
「まったく、あなたは迂闊に術を造り、使いすぎです」
小声で説教して溜め息をつく。
「横島クン、その事絶対他の人に喋ったりしたら承知しないわよ!」
「美神君…君もやっとわか——「私が独立したら雇ってあげるから!350円で」——み、美神君!」
原作より値段が上がっている事を祝福してあげるべきか仮にもGSを目指していて才能があると認められたのにも関わらず安すぎると嘆いてあげればいいのか…まあ、強いて言えば笑ってあげよう!(嘲笑、苦笑、爆笑など各自に任せる)
「美神君、前から——」
「先生こそ無料で依頼受けるのは——」
横島が修行を受けるようになってから何回…いや、何十回目か分からないやり取りが始まりのをボーッと見ながら「結局俺…何がいけなかったんだ?」と二人の言い合いが終わるまで首を傾げていた。
「あ、もうこんな時間か…準備しなくちゃ。先生お先に失礼します」
「はい、集合場所を間違えないように気をつけてください」
りょうか〜い、と軽く返すとその場からいなくなった。
「これからなんかあるんすか?確か次の予定まで40分ぐらいあるはず…」
片手に旅のしおりを開いて確認している。
「…君がどこでそれを手に入れたのか聞かないでおきましょう…知っての通りこれから除霊補佐実習があるので——「て事は美神さんは湯浴みに?!」」
美神は…というよりGSを目指す者にとって除霊前に身を清めるのは常識であり、横島もそれは知っていた。
そして話を聞き終わる前に即行動。
だが、今回の唐巣神父は一味違い横島の俊足を目で捉えて首襟を掴みあげる。
「横島クン、今日は特に許しませんよ」
目がキラーンと怪しく輝いたのはきっと気のせいではないだろう。
いつもは姿を見せずに横島が行動を起こすために防止も出来ず、そして何より美神自身が撃退に成功しているので問題はない。
「美神君は同級生と相部屋です。その少女の事も考えてあげなさい」
美神の事は考えてあげなくていいのか?というツッコミはなし。
「い〜や〜じゃ〜その為に付いて来たんじゃ〜」
駄々っ子がやるように手足をバタつかせるが容赦のない唐巣神父の締め上げで抜け出す事を許さない。
「まったく、もう少しその素直すぎる性格を直せませんか?「無理!」」
言い終わるか終わらないか分からないぐらい即答。
(こうなったら…)
とうとう業を煮やした横島は実力行使に出る事にした…といっても闘うつもりはなく、逃げる一手である。
こっそり地面に術式を足で描く。
「生命の根源たる水ももって実りを成して彼の者を拘束せん!」
そして地面を力強く踏む。
すると土が割れ、蔓が生えて唐巣神父の足に絡み付こうとするが、そこはプロの中でも一流と言われるGS、捕まる前に跳んで回避する。
「チッ」
「よ、横島クン!人に向かって霊能を使ってはいけないとあれほど——くっ!」
さらに捕縛しようとする蔓に霊波砲を打ち込まれ、さすがに格差がありすぎて接触した途端に消滅する。
(うひゃ〜分かってたけどなんつーか反則じゃないか?)
今の攻防で自分と師匠の差がどれだけあるのかを思い知った横島。
自分の霊力を術式で増幅させ、地脈から少量ながらも吸い上げて使用した術が唐巣神父の緊急で放った出来の悪い霊波砲で消滅するほどの差があるのだ。
だがここで凹んでいる場合ではない、と壁を乗り越えるべく活を入れる。
「と言うわけでさらば!」
今度は真剣な煩悩(どんなだ?)で溢れる煩悩を極限まで抑え(覗き仕様の陰行)抑えた煩悩で身体を強化し、神速の域を体現する。
「待ちなさい!今日と言う今日は許しませんよ!」
神父として、師匠として、人として、そして己の正義の為、こちらも霊力を漲らせて神速に入り霊感で気配を探り追いかける。
これより師弟の死闘を繰り広げる。
「くそ、いつもならこれで振り切れてるのに…」
気配を殺しに殺して偶々見つけた倉庫に身を潜めている。
あれから二分ほど鬼ごっこを繰り返したがやはりいくらプロのGSとはいえ霊感で完全に追尾する事には限度があり、横島は逃走の経験を生かして逃げ切った…つもりだったが完全には追尾できないが大体の場所には見当がついている為そんなに離れずウロウロしているのだ。
「残り時間は…多分六分弱くらいか…部屋は匂いで辿れるから大体の位置は分かってるのに…」
お前は犬か?と思うような身体能力を発揮しながらカサカサカサッという家庭の黒い悪魔の音が聞こえてきそうな動きで壁を這う。(本当に人間か?)
「罪深き者に裁きの鉄槌を与えん!」
「うげ!」
いつの間にか発見されていたらしく、しかもなんかやる気全開の唐巣神父はとうとう霊能まで使用し始めた。
「三十六計逃げるが勝ち」
なんと横島の神速は唐巣神父が放った霊波砲より速いスピードで振り切ってしまう。
やはり横島は人間より妖怪よりらしい(ぇ)
「仕方ない。覗きの囮用に使うつもりだったけど…式神よ、しばらく唐巣神父の相手をよろしく!」
寄り代を後ろを向かずに放り投げるとお馴染み…というほどではないが…横島(式神)が三体現れる。
「ウルズ2了解」
「ウルズ6了解」
「ダイコウジ——「山田二郎さん、ちゃんとコールネームで返事するように」——……ウルズ7了解」
海兵隊式ののしり手帳を片手に持ち、もう片方にはビールを持つウルズ2、何処から手に入れたのかライフルを持って現れたウルズ6、なぜか釣竿片手に持っているが所々怪しい物がちらつく戦争オタクっぽいウルズ7が現れた。
フルなメタルがパニック的なキャラが唐巣神父の行く手を阻む。
ちなみにウルズはコードネームなので伏字なし。
「狙い打つぜ!」
「『レディ』…GO!」
「ウルズ6、ウルズ7、中身はあってるけどキャラが違ってる!」
ライフルはライフルでも地球から宇宙を狙撃できるような茶髪男のようなウルズ6、何やら銃でパンッと撃たれて早死にする人と拳が真っ赤に燃える人が合体したようなウルズ7、そして唯一まともなキャラを保っているウルズ2。
実は性別が違うのでオネエ言葉になってしまう所なのだがなぜか変な方向にエラーを起こして真人間になっていたりする。
「主と聖霊の御名において命ずる!汝、穢れたる式神よ(ぇ)!キリストのちまたから立ち去れ!」
「「「よっと」」」
いくら中身が違っても所詮横島(式神)されど横島(式神)。
全員蜘蛛の子を散らすようにバラバラと逃げるがその足の速さはやはりオリジナルに劣るがそれでも唐巣神父の攻撃を軽がる躱す。
「くっ、ここまで横島クンと同じとは」
「「「じゃあ今度はこっちの番だ」」」
三人…式神の場合は三鬼か?…は唐巣神父に肉弾戦を仕掛ける。
生憎この三体は霊能力までコピーされたものではなく身体能力を優先されて造られたものなので物理攻撃しか手段はない。
「シャイニング…フレアーーーー!」
「トランザム!」
「何遊んでんだよ」
わざわざ攻撃する時に叫ぶウルズ7に魔法の言葉で赤く輝き、スピードが3倍速になるウルズ6、そして二人に合わす様に行動するウルズ2。
だが、戦闘経験に圧倒的に差があるので序盤から三人は押されっぱなしで本当に時間稼ぎにしかならないようだ。
「ふっ!」
そしてとうとう一人は捕まり、組み伏せられた。
「クソッたれが……」
どうやらウルズ7だったようだ…は台詞を言い終わる前に煙を発して消える。
「「ウルズ6〜〜〜〜!よくも…よくも!」」
何処が演技っぽく叫ぶ残り二人。
それを見て苦笑いしてこれは戦い辛いな…と流れ出る汗を拭きながら思う唐巣神父。
「これは…もう追いつけないかもしれませんね」
ほとんど不可能に近いながらも努力を惜しまないのは唐巣神父所以だろう。
「ぐふふふふ…ここだな…クンクン…うむ、ここで間違いないな」
ドアの前で怪しく笑い、匂いを嗅ぐ…常識的に見ると変態こと横島がいた。
「よし、まずは…」
懐からある物を出す。
「このタイプはこれとこれとこれで…」
カチャカチャカチャとドアノブに小細工を始める。
まあ、簡単に言うとピッキングを始めたのだ。
そして十数秒後、ガチャと音がなる…もちろん鍵を開ける事に成功した音。
「よし」
そーっとドアを開けて…ようとした時。
「バルサミコスッ!」
ドアを突き破って霊波砲が横島に直撃して後ろにあった壁にヒビが入るほどの勢いでぶつかる。
「よ、横島クン?!」
「え、人が居たワケ!?」
どうやら肌黒で何処かの民族衣装のような物を着た女性…小笠原エミとバスタオル一枚で身体を隠しただけの美神との喧嘩に巻き込まれたようである。
横島は死んでしまうのか?!
「あ〜死ぬかと思った」
ですよね〜