「やっと…やっと完成したぞ!」
そこにあるのは今までの物と変わりない式神の依り代。
「これこそ制作に3週間も費やした式神、白虎!」
前世の記憶の一つにあった最強の式神の一つ。
「では、早速…白虎召喚!」
そして煙が視界を支配する。
次第に視界が晴れてくると…
「グルルルゥゥ」
「んー」
デカイ白に黒縞のトラと…
「な、なんで小さい女の子が?」
後、隅っこにイタチ?ぽいものがいるが横島としてはそれどころではなく。
「んーおとーさんどこ〜…ん」
誰かを探して辺りを見回す少女。
そして横島を見つけるとトラの後ろに隠れ、トラは警戒している。
「お兄ちゃんは怪しい者じゃ——「ムッ○ル!」「ガアァ!」——て、ちょっ!」
「ていう夢を見ました」
「あんた…とうとう幼女趣味に走ったの?いやこの場合は獣——」
若干引いている美神に、んなわけあるか〜!俺の好みは年上のボン、キュン、ボンのお姉さまじゃ〜!なんて言って美神に迫り、撃退されるのはいつもの流れ。
結局夢オチである。
まさかここでオリジナル俺TUEEEEE的な式神とかうたわれ○ものをクロスなんて無謀な事はしません。
まあ、クロスさせるならうた○れるものに横島が、もしくはGS世界にナ・トゥンク潜入時のメンバーか、もしくはアル○ゥが死んだ(?)時にハ○オロが例の暴走、近くに駆けつけていたエルルゥとアルルゥを連れてGS世界へ転移…あ、ちょっと書きたいかも?
ゴホン、とりあえず話を進めます。
「ですが今年の干支が現れる夢を見るとは今年はいい年になるかもしれませんね」
そう、いつの間にか年が超えているのだ。
ちなみに執筆している現在は2010年、寅年だからGS世界でも寅年だ。
「これって良い夢なんすかね」
虎に食われそうになって目が覚める事が良い事とはとても思えない横島であった。
〇〇月××日
美神さんと初詣に行ってきた。
願い事は…もちろん美女と出会えますように…と祈ってたら美神さんに殴られた。
どうやら声に出てたらしく周りの参拝客も引いていた。
帰ろうとする美神さんに謝り倒してなんとか引き止め、お守りを買おうと言う事になった。
そしてここでサプライズ!
神社で売っているお守りを買ったが、ここで1週間ほど寝る時間を削って頑張って造ったお守り。
今まで造った中では良い出来だ。
珍しく美神さんから感謝の言葉が聞けたので頑張ってよかったと思った。
〇〇月××日
久しぶりに教会に行くと…突然殴られた。
もちろん相手は美神さん。
どうやらお守りを付けてたら男からのプレゼントという事がクラスメイトに分かったらしく、からかわれたらしい。
別に俺が悪いわけではない、と抗議してみたが…火に油だったぜ。
〇〇月××日
いつものように重役出勤ならぬ重役帰宅(平たく言えば掃除当番だったがサボる)しようと廊下まで出たんだ。
だが、3倍○王拳を使って逃走している俺の袖を誰かに掴まれて大転倒。
その袖を掴んだのは少し年齢が上に見える女性だった。
制服姿だったし上級生なんだろう。
掴まれた事はともかく、美女が目の前にいればナンパしないのは男の恥とナンパ開始…する前に肩を掴まれ、無理やり正座させられて説教されました。
曰く、掃除当番をサボるなんて青春じゃないわ!青春は待ってくれないのよ!青春………青春………青春………だそうだ。
あれ?そういえばうちの学校にあんな美人いたか?
いやそれ以前に制服がうちの学校の物じゃない?
………一体誰だったんだろうか?
〇〇月××日
豆買ってきました。
この一言から始まった。
そう、今日は節分だ。
それはいい、ただね…なんで本物の鬼がいるんだ?
しかも唐巣神父と和やかに話してるし…実は鬼ではない?んなわけないやろ!
記憶にあるから間違いない…間違いないが…なんかこーイメージと違う。
まあ、平和なのはいい事だ。
鬼と楽しく豆まきして恵方巻も食べた。
そこでびっくり、実は恵方巻…美神さんの手作りだったらしい!
てか料理できたんっスね!って言ったら…まあ皆の想像通りになった。
〇〇月××日
先日あった美人なお姉さんの正体を探るべく各学年、クラスの生徒名簿奪取。
調べた結果…いませんでした。
本当に何者よ?!
そういや、いつの間にか学校での俺の机…古くなってね?最近寝てるか母さんから出された課題で必死だったから気づかなかった。
まあ、別に支障があるわけでもなし、気にしない気にしない。
〇〇月××日
さて、明日は決戦なので着々と準備している。
そう…呪い人形君がもっとも役に立つバレンタインデーだ!
見てろモテモテのイケメンども!
我が呪いで笑点させてやる!
〇〇月××日
昨日の誓いを胸に学校に登校。
あっちやこっちでチョコチョコチョコ、奪って食うぞゴルァ!
なんて思いながらも残念ながら登校中にチョコを渡す奴はいなかった。
しかし!学校は別だ!
うちの学校は表向きチョコの持ち込みは禁止だが、愚者(先生)達が盲目なせいでそんな規則あってないが如し。
ならば私が裁いてみせよう!
とりあえず下駄箱を全てチェックしてないか確認。(いくつかあったのでそれは俺が頂く…つもりだったが愚者に見つかり没収…まあ、いいけど)
そして机の中、これがなかなか曲者だ。
なにせ男の机の中身ってのは極めて稀だが…色々入っているのだ…がまあ問題ない。
つまりは食わせなければいいのだ。
机の持ち主が発見した後、それを強奪、処分すれば言いだけの事だ。
で、一応ないかと机の中探ってみたが…フッ…次の生贄はどいつだー!って叫んだら机の中に突っ込んでた手が何かに噛み付かれた。
慌てて手を抜いて、中を確認したが何もなかった…いったいなんなんだ?
それは置いとくとして、そしてその瞬間が訪れた。
一人の裏切り者がチョコを机から出したのだ。
即奪いに掛かるが…次の瞬間何故か簀巻きにされてました。
まさか女子が総出で縛りに来るとは思いもしなかったぜ。
結局放課後まで縛られ、チョコはおろかノートすらもとれなかった…愚者どもはこの前のテストの点が良かった理由を知っている為、今更この程度の問題やらなくていいだろなんて言って助けてくれない。
仕方ないので教会へ。
そしたらなんと!
美神さんがチョコをくれた!
まさかもらえるとは…浮かれ過ぎて殴られたが気にしない。
結局チョコを食べるか食べないか現在迷ってる。
〇〇月××日
今日から週休二日になった。
え?ゆとり教育が始まったって意味じゃないよ?もちろん家での地獄(勉強)の事だよ?
母上殿が最近の俺が真面目だったからと言って増やしてくれました。
その代わり…試験だ、とか言って現金100万をポイっと俺に渡して「為替でも株でも投資でも何でもいいから半年後に10倍にしておきな」って…ホワイ?意味不明、ワンモアフリーズ!(混乱してます)
10倍って…サラっととんでもない事言いやがったよ!10倍って1000万っすよね?!それを半年でって無理あるだろ!一月165万稼げってか!日々コツコツと稼いでるサラリーマンやOL、アルバイトに誤れ!
もちろん分かってますよ?俺に拒否権がないって事ぐらい…そこ!人権がないとか言わない!
〇〇月××日
具体的な説明がさっきされた。
幸いパソコンは支給してくれる…と言う事で我が部屋にパソコン、いや、PCがやってきましたよ!
早速エロサイトに………あっれ〜?なんでアクセスできないの?え?あくせすせいげん?なにそれ?おいしいの?セイ○ーがコクコクするぐらいおいしいの?
糸色望した!
〇〇月××日
ひな祭りだ。
別に俺は関係ないが…気のせいか?
近所にボウズが増えたような気がする…最近流行ってるのかな?
〇〇月××日
ホワイトデーはやっぱ某08小隊の隊長みたいに倍返しだぁぁぁ!って叫びながら渡すべきか悩む。
まあ、結局普通に渡した。
かな〜りハズイ。
〇〇月××日
今日から3年になった。
つまり進級した。
公立中学だから留年なんて事はまずないけどな。
これで怖い先輩方はいなくなった訳だ…美人なお姉さまも卒業されてしまったんだがorz
〇〇月××日
美神さんと唐巣神父、散歩途中であったエミさんとで花見に行った。
ちょーっとだけアルコールが入ったが楽しかった。
人喰い桜なんてものが出なかったら尚よかった。
〇〇月××日
資産運用はなかなかうまくいってる…とういうかいき過ぎ!
現在の持ち金額だが…650万になった。
てかありえんだろ?母さんに教えられた通りの事を実践しただけ何スけど!今更だが一体何者よ!
〇〇月××日
うへ、油断したら250万ぐらい消し飛んだ。
こりゃきつい。
昼間学校ってのが特にきつい。
だがしかし!もうすぐ夏休み!とりあえず半年とは言わずに夏休み1週間で片付けてやんよ。
こうしてチル○放浪記が始まった…って誰がバカだ!
〇〇月××日
GW(決してガンダムWではない…作者は素で間違えた事有り)に入った。
家族で旅行…なんて事は今年はしないと通達。
ついでに珍しくGW中は勉強しなくていいとの事。
ならと美神さん達を誘ってボーリングに変更。
支払いは最近一番収入が多い俺が持った…女性に払わすなんざ男じゃねぇ!
美神さんがボーリングの球を磨いてる姿に軽く興奮してたら二丁の拳銃を持った男勝りな女性とポン刀を持ったヤーさんとホストっぽい奴が戦ってたりしてたような気がするが…まあ、気のせいだ。
〇〇月××日
まだGW中。
またまた美神さんたちと遊びに行く事になった。
最近俺の懐が暖かい事を知られたのが運の尽き…まあ、美人と遊べるならそれも悪くない。(俺ってホステスに騙される中年っぽいな〜)
今回は24時間カラオケ耐久、歌がうまい王座決定戦と相成りました。
最初はテンションが高くて楽しくやっていたのだが…思わぬ落とし穴があった。
いや、まあ、ちょっと考えれば分かった事だけど…まずはレパートリーの限界だ。
俺に美神さん、エミさん(ボーリングの帰りには今回のイベントは決まってたので誘った)、唐巣神父の四人で行ったのだが、どう頑張っても24時間歌えるほどのレパートリーがなかったのである。
続いての問題はテンションの持続。
なんというか…途中で飽きた!
と言う事でお開きに…なんて事にはならない。
機械審査の総合ポイントが一番低い人は一番高かった人の命令を一つ出来うる限り叶えないといけないのだ。
ちなみに賭け事をしている事を唐巣神父だけが知らない。
そして結果は…美神さんとエミさんの喧嘩がちょっとハードだった為、俺はどうも終盤の記憶が抜け落ちている。
美神さんとエミさんもダブルノックアウトだったらしく、お互い記憶が曖昧らしい。
くそ〜!せっかく美神さんかエミさんに色々やれるチャンスが…
〇〇月××日
よっしゃ夏休み!
とっとと目標を終わらさないとな!
〇〇月××日
ふう、なんとか予定通り終わった…が、母さんから出た言葉は「あら、遅かったわね」だった。
これ以上早くは無理、と返したら「へ〜〇〇月××日のA社の株に半分ぐらい投資しとけば二日で達成できたわよ?」とツバメ返し。
いや、ありえんだろ。
あの株価上昇理由は偶発的に見つかった薬のおかげで…と言ったら更に「バカねぇ、あれは黒崎君が前々からやってた裏工作よ」
いやいや、それって知ってて買ったらインサイダーだろ!それより裏工作って何やってんですか黒崎さん!
うちの親がこれほど黒いとは今まで知らなかった。
見習わなくちゃナ。
〇〇月××日
美神さんと唐巣神父、そしてエミさんと海に行く事になった。
なんで突然こうなったかと言うと美神さんが「そうだ、海に行こう」なんて言い出したのが原因だ。
唐巣神父は苦笑いを浮かべてたけどそれは美神さんの突飛もない事を言うからであって反対しているわけではない。
俺?俺はもちろん賛成ザマス!
ちなみになぜエミさんも一緒に来たのかというと…うっかり「美神さん友達いないんですか?」なんて言った事が事の始まり。
まあ、失言なのは認めよう…ただ海に沈められるならまだ大丈夫な気がするけど土に埋められるのはさすがに無理ッスよ美神さん。
とか思ったが案外どうにかなる俺ってすげー…最近美神さんがあんた実は人間じゃないでしょってよく言われるが否定できなくなってきてる。
美神さんが昼食で暴れました。
なぜかって伝統ある海の家ってフレコミに惹かれて入ってみたのはいいが…出されていたのは不味いラーメン、粉っぽい焼きソバ、溶けかけたカキ氷…どうなんだこのメニュー…ん?どっかで聞き覚えが…
一番のツッコミ所は…美神さんの水着だったりする。
なぜかスクール水着なのだ!(なんでだろうね〜決して俺がすり替えた訳ではない!)
そしていつも通り襲う…が今回はいつもと対応が違った。
押し倒す事に成功してしまったのだ。
恥ずかしながらまさかそんなことが出来るとは思ってもいなかったので一瞬頭が真っ白になった。
「押し倒して困るぐらいなら最初から襲うんじゃない!」とまあ、ここからはいつも通りの折檻だった…もっとも美神さんの顔が真っ赤だったのは記憶している。
自分も照れるぐらいならやらなかったらいいのに…て言ったら折檻が3倍ぐらいになってからの記憶がない。
〇〇月××日
今日は本来母さんの授業があるんだが夏休みの宿題を終わらしてないといってサボった。
ただ問題は宿題を教えてもらう為という口実で美神さんに会いに行こうとしたんだが…まあグレートマザーが許してくれるはずもなく、中学の問題ぐらい自力で解けないようなら授業増やそうかねなんて脅しをかけてくる。
そういうわけで一日宿題に追われたわけである。
〇〇月××日
宿題はほとんどが終わった。
唯一残っているのが自由研究だ。
新型霊符なんて出してもダメだろうな〜式神も変わらんし…中学生と高校生の違い(女性のみ)ってのはあり…なのか?
〇〇月××日
なんとなく自由研究の事を美神さんに相談。
そういうのは唐巣神父に相談してみたら?と言われたので話してみたら「家庭でも出来る悪霊予防ってのはどうかね?」と返ってきた。
なるほど、と納得…する前に美神さんが後ろからドロップキックされた。
美神さん曰く「あんた達!客を減らす気?!」だそうだ。
確かにそんな事をすれば少なくともうちのクラスメイトからの依頼の可能性は下がるだろう…分かってはいたが他人の不幸で成り立つ仕事なんだな。
と言う訳で結局株&為替ノウハウにした。
〇〇月××日
突然だが戦闘準備に入る!
まずは財布に500円玉を十枚セット×2、千円札を10枚ほどを投入。
さて、参ろうか
夏祭りじゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
「何から餌食にしてやろうか」
手始めに入り口近くにあったたこ焼き、お好み焼き、林檎飴、イカ焼きを6個ずつ入手。
「あんたそんなに食べる気?」
「まさか、さすがに全部は食べきれる訳ないっすよ。はい、どぞ」
浴衣姿の美神といつも通りラフな格好なエミ、後どうでもいい神の僕一名にそれぞれ1個ずつ渡す。
美神は父親からの仕送りはあるが諸事情により仲違いしているので使わず、唐巣神父の助手としての給料で生活している身なので余裕があるはずもない。
エミはエミで親はなく、過去に汚い仕事をしてきた事もあったが現在は学園に知られ、ケチがつかないよう極力裏の仕事は控えている為余裕はない。
神の僕は…あえて言おう!カスであると!(もちろんあくまで金銭的にね)
周りを見渡すと、ここ最近の収入を見ると中学生の自分が一番稼いでいるのである。
中学生と一番年下ではあるが、GSなんて危険な仕事している唐巣神父とそれを手助けしている美神が少しでも安全に働けるようにとの弟子心なのだが…まあ、奢られている年上の二人はプライドが少し傷ついたりしているのだが中学生の横島にはまだ分からない。
エミに関しては女性がその場にいるのに除け者に横島が出来るわけがない。
自分の分のイカ焼きを頬張りながら次の獲物を探す。
「お、射的発見」
特攻!と言わんばかりに駆け寄る。
「え〜と商品はっと…ショボイな〜」
「ほ〜〜〜〜〜〜坊主何か言ったか」
「いえ!何でもありませんです、はい!」
ヤーさんっぽい屋台の主が現れた。
不意打ちで横島は動けない。
「もちろんやっていく…よな?」
ヤーさんもどきの先制攻撃。
「イエッサー!」
横島は屈した。
5発で500円で2回分を支払い、オモチャのピストルにコルクの弾を込める。
(偉そうにしくさって…見てろよ)
隣にあるもう一つのピストルにも弾を込めて準備完了。
「いくぞっ!」
二丁のピストルを両手で持ち、ろくに照準もせずに引き金を引く。
その弾はこの屋台で一番高いだろう景品…P○Pに二発ともに命中、後退させる。
それだけではなく跳ね返った弾は手前の棚に並んだ商品に辺り棚から落す。
「ま、こんなもんか」(おっさん、俺を脅したのを後悔しろ!祭りのガンマンの二つ名は伊達じゃないぜ!)
「あんた…まさか今の狙ったの?」
「もちろん、あんな並びじゃ落してくれって言ってるようなもんですよ。後6発か〜重りが入ってるっぽいしギリかな?」
再び弾込めしながら美神とエミに小声で何かを伝える。
そしてやはり照準しているか怪しいほどの早撃ち、命中、そして手前の商品を落す。
屋台の主が頬を引くつかせているが、表向きちゃんとルールは守ってやっているので口出しは出来ない。(私は射的で二丁使っていいかは知りません!)
その後は順調に中てていき、P○PGETした。
「んじゃバイバイ」
落した景品を受け取ると足早に立ち去る。
大体こういう事をするとケチつけられたり、嫌味言われたり、脅されたりと碌な事がないので逃げるが勝ちなのだ。
先ほど美神とエミに伝えたのはこの事で、既にこの場を離れている。
横島はもちろん、美神とエミも唐巣神父に伝えなかったのでもしかすると捕まっているかもしれないが…男。
「はい、美神さん、エミさんも」
ついでにPS○のついでに手に入れた景品を二人にプレゼント。
「あんたね〜自分が要らないからって押し付けるんじゃないわよ!」
とかいっている割には押し返す事もなく抱えていたりする。
「まあ、くれるっていう物を返すのもあれだから貰っておくワケ。そのうち別の物で返すワケ」
エミは大人な対応。
続いては何をしようかと歩いていると美神があるものに目をとめた。
「あれで勝負しましょう!負けたら全員で取った分を飼うのよ!」
祭りの伝統屋台の一つ、金魚すくいである。
「いいっすけど」
「その勝負受けてたつワケ」
「時間制限はポイ破れてすくえなくなるまでよ、もちろん数が一番多かった人が勝ちね。大きさに差は無し」
こうして金魚すくい勝負が始まった…のだが…
「あんた…何匹すくう気?」
「オタクが凄いのはわかったからそろそろやめるワケ」
すくい始めてから彼此10分。
既に二人のポイは破れて、すくい終わっているのだが横島は半分より少し小さめぐらいが破れているのだがそれでも黙々とすくい上げている。
「あ、もうこんな時間っすね。じゃあ…なあ、おじさん」
「な、なんじゃ」
ほとんどの金魚が水槽から消えて顔が蒼白しているところに話しかける。
「一匹20円」
「は?」
「金魚がこれっぽっちじゃー商売あがったりだろ?だから買わない?」
「うぐっ」
ちなみに金魚の相場は小さい赤い金魚7〜22円、黒15〜30円、大きい赤い金魚25〜35円、数が少なく派手な金魚は250〜500円らしい。
「今なら美神さんとエミさん…このお姉さん達が持ってる金魚はおまけでつけるぞ?」
「………買った」
「まいど〜」
出店で取った物を出店で売る…これぞ小学生の頃に横島が編み出した究極小遣い稼ぎ法だ。
「はぁ…結局私がビリだったわね」
美神5匹、エミ8匹、横島51匹。
「当たり前なワ——「それだったらまだ決着ついてないっすよ〜」——ハ?金魚すくいは終わったのに何言ってるワケ?」
「いや、だって俺、すくえるポイまだ持ってますから」
ルールでは『すくえなくなったら終わり』なのでこの場合は…
「当然無効よ!」
さっきまで軽く落ち込んでいたのに早くも立ち直る。
ちなみに美神の頭の中では金魚の餌代をどうするか…とか、いっそ食べる?なんてことを考えていたのは内緒。
「まあ、有効だったとしてもすくった金魚は全部売っちゃったんでどっちにしろ罰ゲームはないんすけどね」
「計画的犯行なワケ?」
「そんな事はないっすよ〜ハッハッハ」
笑って誤魔化す横島。
その後は花火見て教会の前で解散となった。
「あれ?そういえば唐巣神父は?」
そこで思い出したが…
「ま、大丈夫だろ」
横島が野郎の心配なんかする訳がなかった。
もっとも存在自体を忘れている美神よりはマシか?
〇〇月××日
夏休みが終わった…今日から学校だ。
いや〜今年の夏休みは充実してた。
美神さんとエミさんの水着姿、夏祭り、カラオケも行った、肝試し(除霊)もした。
とは言うものの…童○は捨てられなかった!
あれ?なんで○に変わってんだ?
なん——プーーーーーブツン