ここのところネタ切れで内容がイマイチかと思います。
本当に申し訳ありません。
第二百三十一話
効率化、それは現代では当然ではあるが、この時代においては、特に無縁の言葉じゃ。
上流階級となれば無駄こそが富の象徴であり、格式となる。逆に庶民は何が無駄でどうすれば効率がいいかなど考える知識も余裕もなく、経験則で物事を図る。
じゃが、勘違いをしてはいかんぞ?その無駄は悪いわけではないのじゃよ。
現代日本のように効率ばかり求めれば無駄は少なくなるが、それ以上に無理が掛かるからの。
ブラック企業、サビ残、過労死、自殺、親が子を殺し、子が親を殺す……まぁ、この時代にないこともないが、不作でも無い限りほぼほぼ無縁の話じゃな。(自分達がそのブラック企業であることからは目を逸らす)
そもそも親が子を殺す、子が親を殺したら相当な正当性が無い限りは社会的に死んだようなものじゃからなぁ……というか一族が名誉のために処刑するから、リアルで死ぬ場合が多いからのぉ。
あ、意外と思うかもしれんが、低賃金労働は常識の範疇ではあるが、賃金未払いは案外少ないぞ。
なにせどんなに弱い立場の人間でも追い詰められれば、自殺や過労死の前に徒党を組んで殺しにかかってくるからの。
この時代では銃という金を力に変える手段が確立されておらんから数の暴力や不意の一撃で死んでしまう可能性があり、余裕がある層は契約の不履行はなるべく避けるのじゃ。
と、話が随分逸れたが、とりあえず効率化を進めることにしたのじゃ。
まずは手始めに吾が気になっておった点を調査した結果、案の定というかなんというかなかなか混沌としておることが判明したのじゃ。
とりあえず道路を右側通行(日本では左側であるが、世界的に見れば少数派であるから右側とした)と定め、採掘率の悪い鉱山の一時閉鎖や農家が好き勝手育てている農作物を選んだものから育てさせたり、川船の往来整備から手を付けた。
「昔は完璧じゃったのにのぉ……知らぬ間に酷いことになっておるな」
南陽太守であった頃ならありえないことじゃが、最近は領土の爆発的な拡大によって質よりも安定を求めたせいで、こんな当たり前のこともできておらんようじゃ。
「全く、誰じゃ。こんな基本的なこともせずに次々から次へと無軌道に開発ばかり始めたのは……」
「「「お嬢様です」」」
ぐぅの音も出んほどの事実じゃな。
しかも……せっかく時間的余裕ができたのに、この効率化……いや、整備計画というべきか?を始めたせいでまた常時三日徹夜になってしもうたぞ。
ちなみに真っ先に苦情を入れに来たのが司馬懿と張春華であることは言わずとも察せられるじゃろう。
いやーあやつらの説得は大変じゃったぞ。司馬懿は泣き落とししてくるし、張春華はいつも以上に罵声を浴びせてくるし……何を思ったのか色仕掛けまでしてきたからの。まぁすぐに駆け付けた孫権が叩き出したのじゃが……妙にタイミング良く孫権が来たが、覗いておったのか?
それはさておくとして、今回の仕事はいつもよりはモチベーション維持が楽じゃ。
これを過ぎればかなりの仕事量が減ることがわかっておるからな。
更に言えば、農業改革などは国の税収が増え、鉱山の閉鎖は一時的ながら商会の収入が減少……はしておらんが、停滞させることに成功したのじゃ。
右肩上がりの収支報告書は別の意味で吾等を追い詰めるからのぉ……もっともこれは本当に一時的なものでしかないことを知っておるがな。
今から人材の再分配が終われば……以前よりも加速するのは間違いなかろう。