第三百八十二話
「吾等が煽る前に既に騒動になっておる件について」
しかも孟獲達が起こしたのではなく、民衆の一部が盗賊化したようじゃ。まぁその中に孟獲達獣人も混じっておるのはご愛嬌じゃの。
どうやら劉備のカリスマも陰りが見えてきたようじゃ。
そして襲った後、盗賊化した者達同士で争い始めたらしい……まぁ獣人達は普通の人と比べるとおつむが弱いが、力が強い。そのせいか知らぬがその分だけ食欲が凄いからのぉ。分配で揉めても不思議ではない。
あれじゃな。獣よりの者達は燃費が悪いんじゃろうな。恋ちゃんも燃費が……いや、平時はともかく、戦時では燃費がいいか。
なにせ一人で万に届く、リアル万夫不当じゃからの。いくら恋ちゃんの食欲が凄くても万の兵士分の兵糧を食べ尽くすなんてことはないのじゃ。
「とはいえ、あまり追い詰めすぎると攻めてくるかもしれんからほどほどにせねばならんの」
吾等が計画的に扇動したわけではないのでどの程度の規模になるかは今のところわからぬ……まぁ、吾等が扇動したとしても指揮するわけではないので結局どうなるかはわからんのじゃが。
「ん~……とりあえず唯一余裕のある食料を売り込むか?いや、しかし、劉備達から何を搾り取るんじゃ?」
そもそも孫策達に何を払ったのかわかっておらんというのにこちらから食料を売り込んで買い叩かれるのは論外じゃし……下手をすると強奪されて強制ボランティアとなりかねん。
いっそ、また鉱山でも買い戻すか?金属類を押さえておけば戦争がしづらくなるじゃろうからな。
それにそろそろ高炉を点検せねばならんじゃろうしな。今益州で使われている高炉は裏商会が持ち込んだもので、益州にはなかったものじゃから整備も満足にできておらんじゃろう。
というかこの時代に高炉ってあんたんじゃなぁ。まぁ李典なんていう天才がおるぐらいじゃから不思議ではないが、史実でもあって不思議ではない歴史があるからのぉ。恋姫だからなのか史実でもそうなのか……ちょっと気になるが調べることができんのは残念じゃ。
「お嬢様、実は劉備さん達で遊んでます?」
「そんなことはないぞ。ただ扱いかねておるだけじゃ」
劉備が降伏するというなら復権とか考えんことを前提で、北郷同様に国外追放で許してやるんじゃがのぉ。
とはいえ、疲弊しきっておるとは言っても州一つ支配しておる状態で降伏はできんじゃろうけどな。
「吾的には動くことも考えることもできん状態にして心をへし折ることが最上じゃと思っておるんじゃが」
「さすがお嬢様です。戦争しか取り柄がない方々とは一味違いますね!」