第三百八十七話
いやー、酷い目にあったのじゃ。
別にカトルカールを食べたからと言ってすぐ太るというわけでも無いのじゃからそんなに慌てんでもいいじゃろうに……恋ちゃんと帝と紀霊だけは表情を変えずに黙々と食べておったが……いや、恋ちゃんと紀霊はともかく帝は気にするところじゃろ。肉体労働派ではないから絶対太るぞ?というか出会った当時から比べたら随分と丸くなっておるぞ。性格ではないぞ?体型じゃぞ?
ちなみに青くなっておったメンツは七乃、魯粛、李典、于禁じゃの。
まぁ基本デスクワークじゃからいくらハードスケジュールとは言うてもいくつもパクパク食べておったら脂肪燃焼が追いつかん。デスクワークってなんでしんどいのに脂肪燃焼せんのじゃろうな~。
楽進はちょっと訓練を増やそうと硬い声でつぶやいておった。それが良いともうぞ。
とはいえカトルカールが美味かったのは皆同じようで、食べるのをやめなかったんじゃ……大丈夫じゃろうか?吾は嫌じゃぞ!まん丸家臣団なんて……ダイエット週間でも構えるべきじゃろうか?
「そろそろ孫権達にも届いた頃じゃろうか」
正直時間が経つとちょっと油っぽく感じて吾としてはイマイチなんじゃが……皆が絶対贈るべきだと訴えてきたので手配した。
気持ちはわかるんじゃが、どうせなら一番美味いものを食べてもらいたいと思うのも当然じゃろ?と言ったら「その前に刺されますよ」(私達もまとめて)と口々に言われたのじゃ。さすがに菓子一つで刺されることはないじゃろ……ないはず……信ジテオルゾー。
そして華琳ちゃん達にも贈っておいたのじゃ。
遠いから贈れぬというなら両方贈らず、贈るなら両方に贈らねばの。孫権とは違う意味で華琳ちゃんは怖いからの。まぁどちらにしても作りたてではないため味が落ちるのでおそらくクレームが来るが、それはいつものことじゃから問題ない。お詫びに蜂蜜を包めば許してくれるじゃろう。
「にしても華琳ちゃんは随分と手間取っておるのぉ……赴任地を実効支配しておるという風でもないしの」
前線都市の諜報網は完璧じゃからの。その気になれば華琳ちゃんの軍が誰に会って、何を使って、何を買ったのかまで把握できるほどじゃから見落としてはおらんはずじゃ。少なくとも根深く浸透しておることはない。
「んー……一度交代させるかのぉ?いっそ馬超を派遣して公孫賛に預けておる馬岱も合流させて任せてみるのも良いかもしれんの。馬超の躾もそろそろいいじゃろうし」
まぁ馬超は大罪を犯したとはいえ、お馬鹿故に騙された側面が強いからの。ちゃんと教え込んだ今となっては吾等がよほど道から外れたことをせねば牙をこちらに向けることはないはずじゃ。
しかし馬超が率いるなら騎兵じゃよなぁ。そんなもの余っておらんが……并州から少し融通してもらうか。金を出せばいくらかは出してもらえるじゃろう。