第四話
原作組であろうホワイトベースの降下を見て思った。
俺のマグネットコーティングって実がガンダムより先に実装されたもんだったんだなぁ、と。
記憶が確かならガンダムにマグネットコーティングを施されるのは確かシャリア・ブルと戦ってガンダムがアムロの反応速度についていけなくなり敗北した後のはず。
詳しい話数は覚えてないけど少なくともガルマが死ぬのは序盤だったのは間違いない。
もっとも俺ことブルーディスティニーはEXAMシステムの試作機なんだからマグネットコーティングを試験的に導入しても不思議ではない、例えタイミング的におかしくてもな。
「これからどうしよう」
『ニュータイプは死ね、氏ねじゃなくて死ね』
「どうしましょうか」
『ニュータイプは死ね、氏ねじゃなくて死ね』
「多分あの船、最新の船だろ?あまり近づきたくないなーとは思うんだけど」
『ニュータイプは死ね、氏ねじゃなくて死ね』
「私が知らない船でデータベースにあるんですから連邦のものでしょうし藪蛇だとは思うんですけど」
『ニュータイプは死ね、氏ねじゃなくて死ね』
「やっぱマリオンちゃんもそう思うよな」
『ニュータイプは死ね、氏ねじゃなくて死ね』
「そう…なんですけど」
『ニュータイプは死ね、氏ねじゃなくて死ね』
『ニュータイプは死ね、氏ねじゃなくて死ね』
『ニュータイプは死ね、氏ねじゃなくて死ね』
『ニュータイプは死ね、氏ねじゃなくて死ね』
『ニュータイプは死ね、氏ねじゃなくて死ね』
「だーーーーー!!鬱陶しい!マリオンちゃん、何となく分かるけどこれなに?!」
「EXAMシステムが暴走してるんです。本来なら勝手に動き回るんですけど、ブルーニーさんの方が優先されているようでこうやって訴えてくるだけみたいですね」
ですよねー。そんな気がしてました。
十中八九ホワイトベースにいるアムロ・レイかセイラ・マスのどっちかを探知したんだろう。探知範囲が広いのがセンサーと同期してだったら迷惑な話だ。
ただ訴え方が俺の時代風なのはなんでだろう。後、確認してみたらカラコン挿入が勝手にされてるので気をつけて動かないと無意味に部品痛になり、治癒の為燃料が消費される事にな
るので注意が必要だ。
選択肢は3つかある。
1つ目はホワイトベースと戦ってアムロ、セイラを殺してEXAMシステム的な正しいやり方で黙らす。
2つ目はホワイトベースが原因なんだからセンサーに引っかからないぐらい逃げる。
3つ目は自爆する(笑)
あれ、実質2つでした。
「ブルーニーさん、今度はコムサイが降下…あ、攻撃空母ガウとそれを護衛するようにドップを確認」
確かコムサイにはロリ同志…ゲフン、シャア・アズナブル、ガウには迎えに来たガルマが乗ってるはずだ。
シャア…うちのマリオンちゃんはやりませんよ!手を出そうものならテメェを殺る…いや、ここで葬っておいた方がいいんじゃないか?
ガルマ死なないし、ガルマ死ななかったらキシリアが暴走してギレンを殺さないかもしれないし(これは希望的観測)、デギンは勝手に和平を行おうとしなかったかもしれない(勝手
にかどうかはうろ覚え)、ひょっとしたらアクシズがハマーン主導じゃなくガルマ主導かもしれない。
逆にシャアがここで死ねばアムロの覚醒は遅れるか覚醒しない、ララァが物語に出てこない、セイラは平和、ハマーンもヤンデレない、エゥーゴ求心力なしで活動、当然逆シャア(第
二次ネオ・ジオン抗争)は成立しない。
なんか殺しといた方が良くね?
「更にマゼラアタックが接近中、しかもかなりの数です」
地上部隊ってやつか、俺が倒した部隊とは別にいたんだ。
原作介入云々はともかく…
「マゼラアタックは叩いとくか」
これぐらいなら原作への影響もないだろうし、あっても俺は知らん。
「個人的にはホワイトベースの味はホワイトシチューなんじゃないかと思うんですけど」
なに、マリオンちゃんは原作組を所望か。ってかだんだんマリオンちゃんが食いしん坊キャラになっていってるような…まぁ今の所それ以外楽しみがないから仕方ないけど。
「とりあえずマゼラア——面倒だからイナゴでいいか、で我慢しなさい」
「でも何だか口の中に変な感触が…後ちょっと苦い」
それは羽や足の感触ですね。分かります。後苦さはお腹の部分だ。
ぶっちゃけ俺もそれほど食べたい訳じゃないけど…なんでイナゴの佃煮って分かっちゃったんだろ、俺。いっそ知らない方が幸せだったぜ。
金属食べてるはずなのに昆…おっとイナゴの佃煮の食感とはこれ如何に。
パパッとマゼラアタック隊全滅、てかさ〜マゼラアタック弱すぎ。
砲身が動かないんだから自走砲扱いなのにマゼラアタックだけで編成した部隊を単独で動かすとかバッカじゃね。
攻撃力はあるけどそもそも攻撃出来ないという罠、ジオンが負けるわけだ。
ギレンの野望では強かったんだけどなー無限増殖とかシリーズによっては間接攻撃可能とか……普通に考えて61式戦車も間接攻撃できると思うけどな。
「燃料やっと100%超えか、今回はビームライフル使わず狩ったからプラスが大きいな」
「ええ、まさか素手で中の人間だけ殺すとは思いもしませんでした」
そう、実はイナゴ相手なら普通に殴れば凹ませてパイロットを圧殺できるんだ。
ガンダムのパワーは伊達ではない!!
俺自身、多少部品痛や装甲の凹みならビームライフル一発分もしないぐらいで治癒できる事に気づいたからやったんだけど大成功。
その内ガンダムファイト!とか言い出しそうな自分が怖い。
そしてちゃんと拳が光りそうでよけいに怖い。
「さて、どっちに味方しようかねぇ」
上空で戦う木馬とナス。
木馬ってほとんど民間人だけで動かしてるんだよな。尊敬するわ。
でも——
「今は放置かな」
「いいんですか、ホワイトベースを落とすには絶好の機会だと思いますけど」
「ちょっと思いついたことがあってね。ってか多分ジオン側が欲張ってるっぽいから今回はホワイトベースの勝ちだろうね」
実際原作では勝ってるから…というかホワイトベース負けたらアニメ終わっちゃうし。
それに俺達がイナゴ全滅させたからもっと余裕があるはず、そういやドップって何味だったっけ。
「という訳でさっきからEXAMシステムがうるさいけど、とっとと離れて様子を見よう。幸いミノ粉は散布されてないし補足が楽でいいよな」
「なんで散布しないんでしょうね。もしかして忘れて…あれ、そういえばホワイトベースの方はミサイルとか撃ってませんね」
「補給ができなかったのかねぇ。それを分かった上で散布してないのかもなジオン側」
それならホワイトベースが散布すればいいのに何でしないの?確かにマゼランとかサラミスはミノ粉が散布されてない方が強いけどホワイトベースってほとんどが手動なせいで散布し
た方が有利だろうに…多分忘れてるんだろうね。
「?モビルスーツモドキが降ってきた?」
プッ、確かにモビルスーツモドキだよな。
俺自身ガンタンクは嫌いじゃないどころかVSシリーズでよく使ってた機体だけどモビルスーツとしては見れないよなぁ。好きだけど。
ちなみに俺は砲撃仕様のモビルスーツが好きだ。ガンキャノンとかザメルとかSEEDならカラミティとかザウートな。
「データベースに照合あり、RX−75ガンタンクですか…あれでモビルスーツ?」
「まぁ足があれじゃモビルスーツとは言い辛いよな」
ガンダムあるあるだよなぁ。
ギレンの野望では車両扱いのガンタンクも存在したりするし。
「ガンタンクは何味でしょうね」
「んー想像ができないけど…あの肉厚、牛肉系かもしれないな」
「牛ですか!是非食べてみたいです。コロニーに居た頃は豚肉鳥肉ばかり食べてたんですよ」
ああ、原作組大ピンチです。マリオンちゃんの目が輝いてます。
とりあえずシャアを抹殺する予定だから少し待ってね。
今更だけどマリオンちゃんはニュータイプ特有の特殊な感じが全くないんだけど、何でだろ?
「お、ザクが出てきたな。もうそろそろ終わりか」
「ガンタンクがホワイトベースに戻りましたね。補給でしょうか」
知らないから仕方ないけど次はガンダムが出てくるんだろうね。
ただマゼラアタック隊がいないからピンチの度合いがマシだろうけどね。
あ、そのお零れ貰える予感…アムロ、無駄に爆発させんなよ!
くそーアムロ、もうちょっと上手く倒せよ。食べれる量が少ないじゃないか。
「なんだか乞食みたいですよ」
「よく知ってるな。そんな言葉…いいんだよ。俺達はライオンなんだ」
「え、何でライオンなんですか」
「ハイエナがよくライオンから餌を奪うって言われてるけど実はライオンはよくハイエナから餌を奪うんだ」
「へーそうなんですか」
一般的には逆のイメージが強いから知らなくて当然。
「ところでハイエナってなんですか」
……
そうね、ライオンは動物園に居てもハイエナは居ない場合もあるか。
微妙な所な話が噛み合わない!
食事も手早く済ませてホワイトベースの後を尾行、山の陰に隠れるように移動しているんだけど…こんな事で大丈夫なのかは不明。
「あの船に付いて行けば食材がタダで手に入る可能性が高いからしばらくは楽して燃料補給ができそうだ」
「私達が戦うと燃料増えませんからね。宇宙に行くにしても最低でも1500%は欲しいです」
それに1回で成功するとは限らないから溜め込める時は溜め込んでおこう。
もっとも——
『ニュータイプは死ね、氏ねじゃなくて死ね』
『ニュータイプは死ね、氏ねじゃなくて死ね』
『ニュータイプは死ね、氏ねじゃなくて死ね』
『ニュータイプは死ね、氏ねじゃなくて死ね』
『ニュータイプは死ね、氏ねじゃなくて死ね』
EXAMシステムがめっちゃうるさいからストレスマッハだけどな。
「ニュータイプはホワイトベース側にいるみたいですね。全然静かになりません。もう落としちゃいましょうよ」
あれ、マリオンちゃんが攻撃的になってきてる。
もしかしてEXAMシステムの影響?それともストレスのせいか?
マシになるか分からないけどもうちょっと離れよう。
「お、コア・ファイターが打ち出されたな」
この後の戦闘は食べるものが手に入らないが——シャアが出る。
よし、狩りに行くか。
「あの航空機を追いかけてみよう」
「あれはコア・ファイターといいます」
分かってても知らないふりするのがとても辛いっす。
「あ、EXAMシステムが静かになりました」
「ということはコア・ファイターに乗ってるパイロットがニュータイプと言う訳か」
金髪さんはニュータイプとしてまだ未覚醒扱いらしい。
それにしても…ザクってそこそこの高度から着地ってできるんだな。もしかしてガウにパラシュートなかったりして…でもマリオンちゃんはあるって言ってるし、多分あるだろ。
せっかくEXAMシステムのうるささから解放されたんだからしばらくはホワイトベースの監視しながら休もう。
確かアムロがガンダムになって帰ってくる時にシャアが着陸するからその時を狙うならホワイトベースの近くにいれば問題ないだろう。EXAMシステム静かだし。