第四百八十五話
「これが例の人物が開発した機体か……ネオ・ジオンの機体にしか見えんな」
「製造したのはネオ・ジオンなのだから当然だ。と言いたいところだが、製造できるように開発したのは確かにアレン代表だな」
「元の世界でもネオ・ジオンに所属していたという話を聞いたが、それが関係するのか」
「アレン代表は前の世界ではネオ・ジオンがまだアクシズが辺境にあった頃から大きくMS開発に関与していたようで、我々とは違っている技術体系のようだが私達に合わせて開発することも問題ないのだそうだ。」
「急拵えでこの出来とは……恐ろしいな。サイコフレームを渡したのは間違いだったかもしれんな」
共に世界を渡ってきたアムロ・レイの機体であるνガンダムが地球連邦の手に渡ったことで最も渡したくない相手にサイコフレームも同時に手に落ちたということでもある。
だからこそサイコフレームの技術を提供することにしたが、判断を誤ったかもしれないと思ったフル・フロンタルだが、今更言っても仕方ないかと思考を切り替える。
「それにしてもなぜR・ジャジャにしたのだ。他にも色々あったはずだが」
「正体を隠して行動するなら今まで乗ったことがない機体にしようと思ってな。ザクやゲルググでは操縦で気づかれるかもしれん」
「確かにR・ジャジャはギャンの発展形だからシャア・アズナブルと結びつきにくくはあるな。しかし、不慣れな機体で大丈夫なのか」
「なに、心配はいらんさ。これでも経験だけは豊富だ」
「その経験を過信して戦死する者は数知れんぞ。何よりそろそろ年だろう」
「言ってくれるな。そういうハマーンこそMSで前線に出るならキュベレイは厳しいはずだ。作って貰わないのか」
「既に私の専用機を製造中なので必要はない」
「もしやクィン・マンサか」
「未来から来たのだから仕方ないが最高機密を知られているというのは気持ち悪いものだな」
「そのクィン・マンサだが、このままでは叛乱を起こす者達に使われることになる」
「あれが敵に回るとなると面倒だな。叛乱の首謀者はグレミー・トトだったか」
「ああ、ギレン・ザビの子を自称してザビ家の真の後継者だと名乗り決起、数はハマーンの方が多かったようだが――」
「ニュータイプ部隊か」
「叛乱軍にクィン・マンサと共にキュベレイが多数展開し、戦果を上げている」
(なるほど、確かにアレン代表が言っていたようにプルのクローンは報告にあるより数が多く製造されたようだな。それにこちらにいるプル達も信用できないか)
「他にわかっている裏切り者はわかるか」
「それが随分と混沌としていたようで確たる情報が少ないのだ。唯一わかるのはラカン・ダカランが軍の指揮を執っていたことぐらいか」
「ラカン・ダカランか……」