六百七十八話
「宇宙では遠慮しない、と」
地球とは違い、守る対象が少なくネオ・ジオンとの戦いでは敗北こそしたものの勝負に負けただけであり、戦闘は勝利していたと言っても過言ではない連邦宇宙軍が大気圏を占拠している犯罪組織を放置する選択はないだろう。何より堂々と守るべき国民を100万単位で拉致をしているのを見過ごすとなると国が崩壊するのは必至。
連邦宇宙軍は軍拡を始めた影響でクラップ級、数を重視してクラップ級の建造を優先したため数は少ないがカイラム級を中心に構成された最新鋭艦隊……なのだが、私達からすると既知の存在だ。
クラップ級もカイラム級も悪い艦ではないが、既に分析が完了しているし、そもそもMS運用前提の艦は脅威とはならない。
私としては移動砲台としてネェル・アーガマを量産された方がよほど脅威だ。もっとも私達の対策にはなるが通常運用ではハイパー・メガ粒子砲は使い勝手が悪い兵器を少数生産ならともかく、量産することは効率重視の連邦軍では選びにくい選択肢だ。
「数は多いな。正規編成4個艦隊か」
ネオ・ジオン討伐よりも数が多いのは余計な邪魔者(政治家)が口出ししなかった結果か。あれは私兵を動かしたようなものだから中途半端な数だったな。
「それにしても……妙なものが開発されて――いや、開発というには急造が過ぎるか」
1個艦隊は一年戦争当時、指揮艦級(マゼラン級)6隻、巡洋艦(サラミス級)24隻、MSの母艦としての役割を担ったコロンブス級多数で構成されていた。しかし、MSの時代へと移ってから戦艦と母艦が統合された。
それはコロンブス級の自己防衛能力の低さ、船足が他に劣り、機動戦が重視されるようになったことでついていけなくなったことにある。
「だからと言ってコロンブス級の船足を戦艦クラスと同等にする改修とは……誰かは知らないが私好みの改修だ」
補給艦であるコロンブス級が戦艦クラスの速度を手に入れたことで、艦隊の機動力そのものが向上している。
故に奇襲も可能――と考えたのだろうが、残念ながら私達を出し抜くなら人の意思を介在させないことだ。