第十四話
3日目に入った。
細菌兵器の消毒に入ったのでしばらくお休みということで無重力訓練へ……と思ったらパイロットスーツがないことに気づいた阿呆な俺。
まぁ推奨というだけで着なくてもできるんだろうけど……まだそれができるほど自信が持てないので保留。
無重力の遊泳は軽く見たらいかんのだよ。本当にさじ加減を間違えると高速で回転し始めるからな。
やっとマグネットありで回らないようになったのに、あの踏ん張りがない状態で遊泳なんてまだできる気がしない。
空気のある無重力ってのは水の中のようだ。ただし、水とは違って宙を泳ぐのは難しい。
水中と同じように泳ごうとするが、空気の重さと水の重さは違うように、手で推力を得ようとすると本当に微々たる推力にしかならない。
ちなみに言わなくてもわかると思うけどバタ足、あれは駄目だ。あんなもので推力を得ようとしたら……ブルブルブル。
それはともかく、昨日はあれからパイロットスーツがないので筋トレを励み……水分不足でぶっ倒れる寸前だったことを忘れてな!……それでぶっ倒れて終了。
気づいたら3日目、ついでに言えば今になってた。アホだな。俺。
よく死ななかったな。
「とりあえず水と梅干し……は置いといていつものおにぎりと……白菜の漬物とほうれん草のおひたしにメインは……卵焼き……目玉焼き……塩鮭?……サーモン?……鯖?……さんま?……くっ、朝から俺を惑わす?!」
いや、疲労もあってそろそろなんか肉じゃないものを食べたくなったので弁当ではなく個別の品物を……と思ったんだが、なんでもあるって今更ながら選ぶのに困るな。
ちなみに一般的に鮭弁当とか言われている鮭はトラウトサーモンと言って、鮭ではなくニジマスのことだ。一時期食品表示で話題になったな。
今となっては別に問題になってないしいいんじゃね?という感じで結構テキトーになってるっぽいけどな。食品表示の意味とは一体?
見分け方は簡単、赤くて固そうなのが鮭で肌色っぽくて柔らかそうなのがトラウトサーモンだ。ただし弁当に限る。
本当の見分け方は知らん。値段見ろ。以上。
というわけで今回は肉多めの肉じゃがにした。いやー、本当に誘惑が多すぎる。人は少なすぎるけど。
そもそも肉じゃがだけで数万種類あるから頭が痛い。これで条件検索機能といつの間にか増えていたター子オススメメニューがなかったら価格順の安いものか、売り上げ順で選んでいただろう。
ちなみに売り上げ順は食品に関しては当てにならない。ファミレスやコンビニ、ファーストフードが独占するからな。
「……というかター子さん。あんた、自分でター子って言っちゃってるし……気に入ってるのか?」
『か、勘違いしないでよね!独り寂しくしているのを哀れんで使って上げるのよ!感謝しなさい!』
なんでそこでツンデレるかなぁ。ター子さんの芸の細かさに脱帽だ。
しかし、オススメとされているのは俺の趣向にあったものになっているのだからさすがだ。
ただし、ター子オススメはあくまで俺が検索したものの中から趣向にあっているものしか表示されず、俺が思っているものよりも良いものがあったとしても表示されないようだ。
1円でも予算からオーバーしたら、効能が1つでも漏れたら、量や質が見合わなかったら表示されない。あくまで検索した条件の中で、それがター子オススメである。
だから自分で検索する努力を怠らないようにしないといけない。
とりあえず今日は鯖にしておくことにした
「さて、問題はこれ、だよな」
新たに解禁されたメニューがある。
「諜報かー、確かに情報は欲しいんだけど……俺の欲しい情報って今の所この部屋の仕様とかだけど、絶対——」
『地球連邦』
『ジオン公国』
ですよねー。
このシステム自体を諜報ってできるわけないよねー。だってそれって世界を諜報しろってことだし……できるわけねーじゃん。諜報は誰かが探って調べるということだからな!世界を探れって無謀にも程がある。
「んー、まだ戦争状態でもないのに諜報なんて価値があるのか?もちろんないとは言わないけど……」
俺は隔離された世界にいる。これは最大のメリットで、最大のデメリットでもある。
生活環境は超安定(生きていく上では最低限)、仕事はなくならない(未来のことと自分の命は度外視)、そして何より他人との接触がない以上、犯罪に巻き込まれることも人間関係に悩まされることもない。
つまり、ジオン公国に所属しながらもジオン公国に帰属していないのだから何かメリットが無い限り諜報を行う意味があるのか疑問がある。
「まぁ実際やってみるかな」
とりあえず…………どっちの情報が必要だろう?やっぱりあまり必要ないような?現在の戦力を知ったところで開戦間近には大きく変わってるだろう。兵器の情報も同じことが言えるはず。
株や為替ができるわけでもないから情勢なんて知ってもガノタとしての満足度が上がるだけで微妙だ。
「う〜む……おお、そうだ」
俺の原作知識を活用する方法が1つ思いついた。
それは連邦のドクトリン情報と将官の思考と得意な戦術の把握だ。
ジオンの情報を得るのもありとは思うけど、やはり気になるのは敵である地球連邦だ。
そもそもジオンはまだまだ開発途中で軍事的方向性なんて未知の兵器MSの運用方法すら決まっていないのだから意味はない。
それならおそらく現在からルウム戦役後まで兵器もドクトリンもそれほど変わらない連邦をチェックしておくことは損にならないはずだ。
「というわけでとりあえず地球連邦を選択——」
『諜報で得る情報は現在ありません。諜報には階級が存在し、昇格させることで得られる情報が変化します。諜報階級を昇格させるには戦力ゲージが必要です。※注意※諜報階級は翌月初日に、階級が1つ降格されます』
やっぱり世の中金か?!金なのか?!まあ、このことに関しては予想してたけども?!いくら情報の無償化が進んだ現代でも肝心要の情報は当然であるが大体が有償か機密なのだ。
例えば、大手チェーン店の売上データとか宗教の洗脳(勧誘)マニュアルとか節税方法という名の弁護士の人脈ゴリ押しとか白身魚のフライの白身魚の正体とかな。
「それにしても諜報階級か……まず情報を得るには伍長にならないといけないんだけど……100万かぁ、結構重たいぞ。しかもそれだけ払っても1ヶ月しか維持できないって……きっついわー」
伍長ってことは最終的に大将まであるってことだろ?伍長で100万ってことは大将で一体いくらになるんだよ。
それに100万でどの程度の情報が手に入るのか……階級の伍長が知れる情報だと……幅が広すぎてわからん。
戦略や政略の類はわからないだろうということぐらいしかわからない。前線に出る関係で戦術の知識は手に入るだろうけど……ただ、連邦でいえば無理矢理戦場に駆り出されたカイ・シデン、ジオンでいえば1番最初のMS戦にしてその被害者、そしてアムロを戦場に立たせた最大の戦犯者ことジーンが伍長になるんだけど……なんか2人のイメージだけでは戦術の情報すらも得られるか不安になってしまう。
「ハァ、また悩みが増えたな」
100万……俺の命の28分の1か、その価値があるのか?もしなければ次の軍曹に上げなきゃならないが、さて、どれぐらい投資する必要があるのやら。
軍曹かー、連邦の軍曹と言えば08小隊のサンダースさん、彼ぐらいなら結構いい情報を持ってそう。
というか、ガンダムのキャラって大体少尉からなんだよなぁ。
……というかチャック・キースが少尉でテリー・サンダースJrが軍曹ってのが納得がいかない。
サンダースさんは軍学校を出てないのかな?でもその割にはMSパイロットなんだよなぁ。
あ、そうか、サンダースさんは一年戦争真っ只中の人だからMSパイロット適性のみで選ばれた可能性が高いのか。
当時は階級よりも適性の方が大事だっただろうしな。それに比べて0083、つまり一年戦争から3年も経ってるチャック・キースはジオン残党がいたけど平時、ならあんな感じの兵士がいてもしかたないか。
購入一覧
3色おむすび(塩、ごま塩、海苔) 200
白菜の漬物 100
ほうれん草おひたし 100
鯖の塩焼き 300
残りゲージ:26472189G