第四十話
「あぁ、俺のMSがあぁ」
ジオニック社のMSが分解されていくのを見て嘆いているのは、分解真っ最中のMSのテストパイロットをしているオルテガだ。
彼と他にガイア、マッシュという3人は俺が手配した奴らではなく、正規の選抜で選ばれたテストパイロット達だ。
選抜されているだけあって能力は確かだが……お前のMSじゃないからな?試作機段階だからな?下手したら耐久テストとかいって攻撃の的にされるかもしれないんだからあまり思い入れはしない方がいいと思うぞ。
今、目の前で行われているのは整備性能試験だ。
整備性能試験は大まかに言うと分解、組み立て、部分整備、総整備、そして……ほとんどのも者達には伏せられている抜き打ちの出撃を予定されている。
整備したんだから出撃ができる状態になって当然だよな?見た目整えて終わりました!なんて舐めたことをしないことを祈る。
分解作業自体は順調に進んでいるのだが――
「人数が掛かり過ぎじゃないか?」
大型兵器である以上は仕方ない部分もあるだろうが、それにしても人数が多い。
そしてその人数を掛けているにも関わらず、分解作業の進みは『順調』という程度の進み具合でしかない。
「流体パルスシステムは昔から使われてる技術だから信頼安心安価の三拍子に更にパーツを取り替えるだけで整備ができるんだけど、どうしてもパーツが多くなるからこんなふうに大掛かりな分解には時間が掛かっちゃうんだろうね。今回のことで改善点がわかっただろうし、次の機体では改善してくると思うよ」
MSの分解から目を離さずにメイ軍曹が解説してくれる。
思ったよりメイ軍曹はちゃんと仕事をしてくれている……まぁ7割ぐらいは趣味だけども。
報告書なんかも嫌がらずにあげてくれるんだけど途中から脱線して自分の開発用レポートになったりするのはもうお決まりみたいになっている。その脱線から戻ってまた脱線してを繰り返しながらも一応は報告書になっているのは救いだけどな。
「それに建築機械の技術を多く流用してるから難しい技術が少ないし、既存のメカニックでも少し勉強すればほぼ整備できるし、素人でもマニュアルがあればある程度整備できるらしいよ」
なるほど、それなら完成機は運用面では使いやすそうだ……でもそれって連邦でも再現が簡単って意味じゃないか?新型核融合炉の秘匿が成功していれば時間は稼げるだろうけど……対策を考えておくように言っておくか。