とある未来のIFのお話。
お巫山戯成分が大目です。
時間に関する矛盾には大目に見て欲しいです。
シックス あんがいだめっぽい
「oh,What is that?」
アレは何でしょうか。
という疑問を口に出さずにはいられない。
突然大きな音と振動、ついでに破壊したくなるような光が空まで上っている。
なんだアレは、ただその疑問しか口に出せなかった俺は一体全体どうすればいいのだろうか。
テオドラのご信託を預かるしかない、ヒャッホーォ!なんだろう、ものすごく心地よい。全てがどうでもよくなるこの感じ、最高だ。
今なら平行世界の俺を銃殺出来るぞ、間違いない。さて、窓から外を見てみると……うむ。
「やらかしたな!」
時間を見ると既に夜、まんま一日寝ていた俺はさすがと言う他がない。
発光しまくってる世界樹の上空、また光が螺旋状に旋回し一点に集まっていく。なにこの魔力ふざけているの、どこかの変態技術者達は本当にやることが理解出来ない。というか何を発動させる気なのだ?下手をしたら世界を包み込むような大魔法……なんかもうどうでも良くなってきた。
仕事場無くなりそうだし帰る準備でも始めるとしよう。俺は何も悪くない、仕事を貰ったときだけ仕事をするのだ。
本当に出来る奴は出来ることしかしないのだよ、まったく!なんてことを考えながら荷物整理という名前の影の倉庫に力任せでぶち込む。倉庫ってばマジ便利。俺の術式追加兵器群も常に待機状態だ。ここから光学兵器攻撃するとマジうめぇ。
「さらば麻帆良よ、永遠に。メリークリスマス(地獄で会おうぜ)」
ガシャン!!とガラスが派手にぶっこわれる。
さぁドラグーンよ、我らは帰るべき場所に帰るとしよう。
あ、いかん何かが発動するっぽい。え?バ○ス?光がすごい、光がやばい。目が、目がぁぁぁぁああぁあああぁ!!!!俺の!アルビノな!目が!痛い痛い痛い。
あ、慣れてきたわ。
前が見えないけど。眼の神経焼き切れたんじゃないのだろうか。ただでさえアルビノで色素細胞が無いのに光が直接目に入ってくるとか本当に無いわ。
「ぬ、ぬわぁぁぁぁぁああああ!!!!」
光が俺を包み込む。なんだろうこれ、黄金の草原を走っているような。
あ、いかん。なんだこの魔法は?……強制認識?強制認識全世界に広めて何するつもりだ。というか何を認識させるのだろうか。
ちょっとばかり解析してみる。なんということでしょう、魔法という存在に対しての強制認識です本当にありがとうございました。
おい、どういうことだこれ聞いてない。責任者を呼べぇい!!帰るどころじゃないぞこれ!何かあったらテオドラッララッラッラララっしゃぁぁああいいいい!!!
●
「なんてことがあった」
「……は?」
ざわざわと何か騒がしい外。
魔法界ヘラス帝国帝都、そこにある大きな城、皇族の住まいでありヘラス族という亜人の聖地とも言われるかもしれない場所である。
そんな場所にて一人のフードを被った男と、褐色肌に角の生えた美女が対面していた。
フードの男こそこの帝国の大英雄『ダブル・シックス』本人であり、その美女こそ彼の主であるヘラス帝国第三皇女『テオドラ・バシレイア・ヘラス・デ・ヴェスペリスジミア』である。
長い名前だが気にしないことにしよう。二人の対面は実は&ある事件&の発生から1ヶ月あまりの出来事だった。
「つまりお主は暢気に寝ていたと?」
「Yes,my master」
ジト目で睨み付けられる英雄は、フードにより見えてはいないが変な汗をダラダラと出していた。しかし、 20年来の付き合いである美女…テオドラは彼のそんな様子を見事に看破しており、仕事に失敗、というかこのような&大事件&の合間ですら寝ていたというある意味人間っぽい感情。それを得ている彼に、麻帆良に感謝するべきか英雄としてダメダメな従者を叱るべきかという不思議な状態だった。
「ハハハ、何をおっしゃるウサギさん。俺はいつだってアナタの側に」
「……恥ずかしいことを言って誤魔化してもダメじゃぞ?」
「ギ、ギクーー!!!」
キリッ、とカッコイイ台詞を決めたシックスだった。
その言葉に顔を真っ赤にしたものの、真意を見事に見出し彼の作戦を潰す。というかギクー!って、というシックスの変わり具合にむしろ不安を覚えるものの、兵器という彼が人間になったという安心と喜びが大きかった。
何よりも彼の言葉に嬉しかった。彼の言葉は本心であろうがタイミングが狙いすぎている。さすが狙撃手。
「なってしまったものはじょうがないのじゃ。本来は麻帆良の人間達で処理しなくてはいけなかったこと……、世界は大きく変わってくるのじゃ」
「……世界が変わっても、俺とお前は変わらないさ」
そうじゃのう、とシックスにうかかるテオドラだった。
麻帆良の人間が処理しなくてはいけなかったこと、大事件、それは「魔法が旧世界の人間にバレた」ということである。
バレたというよりは1ヶ月前の所業による強制認識が正しいのだが、ひとまずそれは置いておくことにしよう。
強制認識によって魔法という存在が世界にバレたため旧世界は大変なことになっている。
魔法という力は便利すぎたのだ。医術では治療出来ない怪我を魔法では容易く治すことが出来、そして何よりも個人で兵器を凌駕する存在になることが出来るのだ。
「旧世界にいる魔法使い、及びそれに関する人間。そんな者達が次々と移民してくるのじゃ。大変なことじゃぞ……」
●
「ゆるさん、ゆるさんぞ虫けらどもめ!じわじわと嬲り殺ししてやるぁうぁああああいいい!!」
あの 莫迦 餓鬼 は 一体 どこに いる の で しょうか フヒ フヒヒヒ ヒャハ
「ハァハァ!例え俺が寝ていたとしても!否、俺がいたとしても関係ないぞーー!!」
事件から一週間たった。
麻帆良の魔法使い達は大勢の人間に魔法使いがどうとか言われているが、大変だな。
俺は目立たないようにしていたためか魔法使いという部分は知られてしまったが人が集まるというこもない。そこは安心だ、タカミチやら学園長の莫迦ジジイも取材されまくってるぜ。
結局拒否しているけど。だが残念だったな。日本のマスメディアを莫迦にしてはいけない。
あのストーカー体質だけは勘弁してくれ。俺?カメラ破壊してやったら警察が追って来たけど何か?ラ○ボー怒りの俺、と言わんばかりに戦車で走っていたら追ってこなくなった。そう思ったら……
——ファンファンファン
——待てやぁ!そこの戦車男ぉあ!
——バラララララララ
——要救援!要救援!相手は武器を作り出す魔法使いだ!
——ゴゴゴゴゴゴゴ
——待たないぞ撃つぞ!待て!待てって言ってんだオラァァァァ!!!
「人間まじ怖い」
機動隊が追って来ました。
先生、俺はどうしたら良いのでしょうか?兵器群を持って追い払っても地獄の底から「うおわぁあああぁぁ……」と黄泉返ってくるこの変態共をどうしたらいいのでしょうか。
どれもこれもあの莫迦餓鬼のせいだ。何だ?何が悪い?ええい、人一匹や二千匹ありんこと変わらないだろうが!莫迦餓鬼がチャオズとやらを見逃したせいで散々だ。
速く見つけ出し何があったから洗いざらい吐いて頂き俺は速攻で国に帰らせて頂きますからね!んもぅ!!フヒーーー!!!
「ええいままよ!カモン、グスタフ!」
——かまわん突撃だーーー!!
——ヒャッハーァ!!
「oh」
これが日本の機動隊だと。莫迦な、この俺が死ぬってか……、じょ、冗談じゃ
●
「元老院共は全てのゲートを断絶すると決め、父上もそれに賛同したそうじゃ」
「今のところの最善策だな。しかしいつか旧世界の人間はこっちに来るぞ」
「そこまでなのか?」
あぁ、とシックスは彼女に言う。
彼は人間の怖さ(日本の機動隊は言うまでもない)を知っているのだ。
人間達は進化と排他の生物である。
そこに進化という道があるならばそこを歩き、進化の道ばたに何かがあるのならそれを排他する。そういう生き物だ。
いずれ科学の力を持って、あるいは独自に魔法に辿り着きそして魔法世界に到達するだろう。
「ままならんものだ、奴らが来たときもう一度戦争が来る」
「……科学とやらは恐ろしいものじゃな。魔法も」
テオドラは続きを言うことは無かった。
突然魔法を得た彼もよく知っているのだそれは。魔法という科学、科学という魔法、極めた物ならばどっちだろうが変わりは無いのだ。
現に超鈴音は科学という力を持って誰にも到達出来なかった時間跳躍を実現したのだ。
どちらが良い悪い強い弱いなど、それこそ無駄な話である。
「麻帆良の魔法使い達は?タカミチもいたんじゃろ?」
「全員オコジョだ、タカミチは幾分軽かったがな。責任者は死ぬまでオコジョだそうだ、老い先短いのにな、ハハ」
そうか、とテオドラは表情を暗くしながら頷いた。
実はシックスは最後に伝えていないことがあった。それはネギ・スプリングフィールドの存在である。
少年が例え英雄の子供であろうとも同じようにオコジョの刑は免れなかった。しかし、少年は突如脱走しそして消えていった。
消息不明なのだが、彼はそんなことは気にはしなかった。少年がどう動こうとも&ここ&は変わることはない。そして超鈴音の願いも全て台無しになっているのだろう、と。過去は過去、現在は現在、未来は未来、たった一つの生命体が時間という大いなる流れを変えることなど愚かにもほどがある行いなのだから。
「(例え過去に行こうが……"この世界"は戻せないのだよ)」
窓の外を見る。
人々があわただしく交差している。移民が来た影響だ。
カンカンと建物の増築をしているのであろう金槌音。市場では多数の人々が歩き回ってる。
時には怒号、お祭り気分にもほどがある。帝国側の結論としてはゲートの断絶、残念なことであるが全員の移民が終わってない場合でも。しかし移民は希望するならば全て受け入れると、皇帝が約束したのだった。
警備隊やギルドが働き口として山ほどあるという。戦争需要ならぬ移民需要である。土地が狭いなら莫迦丸出しの所業だが、生憎ここは&超&大国ヘラスなのである。そして何よりそこには彼がいた。
「シックス、そろそろ時間じゃぞ?」
「……わかってるさテオ」
帝国の大英雄、帝国の狙撃主、狙撃の代名詞にて最強。
数百年先まで、否、帝国が没するその日まで彼は語り継がれることになる。
旧世界と魔法世界の戦争において、圧倒的戦力を持って敵を蹂躙しつくした人知を越えた化け物として。なによりも救国として、そして偉大なる魔法使いとして。
「それにしてもまぁ、皇帝も認めてくれたものだな」
「クフフ、当たり前じゃ。こういう時にこそ嬉しいニュースが欲しいものなのじゃ」
——なぁ旦那様?
——あぁ、まったくその通りだな
●
「見つけたぞぉぉぉぉ莫迦葱ぃぃぃぃぃ!!!」
「し、シックスさん!?一体どうなってるんですか!?」
「貴様のせいだ!貴様のせいで!機動隊に追われることになったのは貴様のせいだーー!!」
「な、なんで?え?機動隊?」
「シックスさん何したんですか!?」
「寝ていたらいつのまにか強制認識だとぅ!?巫ッ山戯るなー!!一週間どこにいってたのだ!?俺はなぁ俺はぁ!寝ていたらこうなっていたのだぞ!?そうだ、マナ・アルカナはどこだ!?俺が抹殺してやる!フハハハハ!!」
——いたぞ!民間人を人質にしているぞ!!
——殺してもかまわん!絶対に助け出せ!
——ハッ!
「oh」
「「「oh」」」
The End