今回、一気に時間が飛びます。
あとセリフがありません。
唯のナレーションみたくなってしまいました。
榛名の考え、造物主の考え、色々変わっていきますし、衝突します。
まぁそういう展開は次回くらいからでしょうけど。
……やはり榛名の考えは短慮すぎますよね。この先、変わっていくと思います。
はぁ、キャラクタの成長や性格・思想の変化を描写するのが難しい。
下手すれば別キャラになりかねないし、前提が壊れかねない。
あと、紅き翼とはこの先しっかりと話し合う機会がありますし、そこもしっかりと描写していくつもりです。
サブヒロイン候補、のどかと明日菜が急遽集中推薦。
まぁハクの性格上、べたべたし過ぎると殺されかねませんし、実際ハクって独占欲が強いんですよね。
サブヒロインという名の友人くらいのものだとお考えください。
それでも、麻帆良3—A勢と絡ませてあげたいです。
ところで主人公の容姿ですが、今は御想像にお任せします。まぁ、平平凡凡くらいだとお考えください。
その内キャラ設定もする予定です。
……はぁ、コメディって難しい。
第玖話 カノジョの戦況報告
麻帆良でずっとマスターと暮らしていた時はわかりませんでしたが、最近になって気付いた事があります。
蟲共が蔓延る外界というものは、こうも鬱陶しいものなのですね。
危険に満ちあふれていて、そして何より……不愉快です。とてつもなく。
マスターはまるで果実です。
食欲の赴くままに蟲が群がってくる、あまりにも無防備で、あまりにも受動的な果実。
能力の有無なんて関係ありません。
マスターは至上の存在ですが、完璧ではありません。その御心は脆く、何より不安定です。
それは、ずっとマスターの御傍にいる私だからこそわかる事です。
ですから、私が護らなくてはいけません。
従者として、マスターを愛し、愛される者として。
……マスターにこの身を味わっていただいた時は、本当に死ぬかと思いました。
歓喜と罪悪感で、です。
歓喜は言うまでもありません。マスターに堪能してもらい、マスターを味わう事が出来たのですから。
ですが、あまりにも従者としては身分不相応で、はしたない行為です。鬱になるかと思いました。
マスターが許してくれなければ、本当に鬱になっていたかもしれません。
話を戻しますが……何でこれ程までに蟲が寄ってくるのでしょうか?
マスターのためとはいえ、私は
まぁ怪我をさせないのは、万が一にも、マスターの御身体に蟲の体液が付着することが無いようにするためなのですが。
それにマスターも、蟲共の体液を見るのが不快の様です。
当然でしょう。アレはとんでもなく汚らわしく、私も見てて気持ちの良いものではありません。
そのため副産物として、蟲共の恨みを買うようなことはありません。
もっとも私としては、マスター以外に恨まれたところで何も感じません。
普通の人間だって、歩いていて蟻を踏み潰して、蟻に恨まれる事を気にする人はそうそういないでしょう。それと似たようなものです。おそらくは。
それはともかく、とにかく恨まれる要因は無いはずですし、賞金首とはいえ、戦争中に賞金稼ぎをする様な暇な蟲もそうそういないと思うのですが……なぜかしょっちゅう纏わりつかれます。
探査魔法を効かなくしても、戦場に介入したり、村に行ったり……そんな事をしているだけで、不快な敵愾心の籠った視線で見られ、襲いかかられます。
それが鬱陶しくて仕方がありません。
変装したりすることも、私が嫌なので提案しておりません。
マスターに、蟲共から身を隠す必要などないのですから。
蟲共は駆除し、跪かせるモノです。怖れるモノではありません。
連中は、マスターの素晴らしさに嫉妬でも燃やしているのでしょうか?
そう考えてしまう程、とにかくしつこく狙われます。
後で知った事なのですが、『
大部分の兵士が納得していませんでしたが(仇を殺せと言われたのならともかく、戦闘を負傷者ゼロで終わらせた者を殺せと言われても戦意は上がらないでしょう)、それでも命令は命令。
必至に鼓舞をしまくり、挑む他ありません——ということらしいです。
あの組織、本当に何様のつもりでしょうか。もう手加減する気も失せてきました。
マスターの手前あまり口には出しませんが、いい加減に身の程を教えてやりたいです。
しかし、こうもしつこく狙われると肝心の『完全なる世界』の連中を潰せなくなります。
逃亡もしません。マスターが蟲相手に退くなど、あってはならないことです。
例外なく、襲いかかってきた蟲は気絶させます。
よって非常に不本意ですが、当初の予定よりだいぶ遅いペースで、重要拠点と思われる場所を片っ端から潰しています。
但し、連中を殺しはしません。マスターが嫌がりますから。
ただ、魔力と記憶とマスターへの反抗心を奪って、蟲ピンで押さえつけ、見ただけで吐き気がする様なおぞましい標本に変えてやっているだけです。
勿論マスターは分身体が後方に護送していますので、見ていません。憂さ晴らしも兼ねて、ちょっと連中を痛めつけましたが、マスターに見られていない以上は問題ありません。
要は、マスターが心を痛めたり、汚らわしい蟲の体液を浴びなければ良いのですから。
マスターさえ見ていないのならば、その時だけ私の傍にいないのならば、蟲相手に遠慮する必要など全くありません。
そう言えば、前に何処かの王国と帝国の姫が監禁されていた場所を潰した事がありましたね。
何か言っておりましたが、話に付き合う義理も無かったのでマスターを背負って転移しましたが。
そう言えば、あれからちょくちょく『紅き翼』と出くわすようになりました。
数が増えていました。それも
話しかけられた時は黙って転移しましたし、戦闘を挑まれた時は八割殺しにして吹き飛ばしておきました。
ストレス発散にはちょうどイイ相手でしたね、やはり潰しても起き上る蟲は重宝します。適度に、ですが。
贅沢を言うなら、せめて私の攻撃に二撃は耐えてほしいものです。急所だろうが何処だろうが、一撃で戦闘不能になる惰弱な蟲の相手は飽きました。
連中と深く関わってもメリットなどありませんし、寧ろマスターが汚れます。
マスターを蟲の群れに放り込むなど、言語道断です。
生きの良い蠅は、精々格下の蠅相手に武勇伝を生み出し、マスターと私の隠れ蓑になってもらいましょう。
マスターは協力してもらおうとか言っていましたが、流石に私は許しません。
マスターがどうしても望むのなら、承諾せざるを得ませんが。
最初は承諾しかけたのですが、『紅き翼』の蠅共を見ていると……そんな気が失せました。
憂さ晴らしと隠れ蓑には使えますが、他の意味では全く使えません。
所詮は蠅。飛び回り、汚物を撒き散らすことしか能が無い蟲です。
マスターには私がいるのです。
あんな蠅共に頼るくらいなら、壊れるまで私をこき使ってほしいです。
私は壊れたりしませんが。
私なら何でもします。
何でも出来ます。
何だってしてみせます。
私も最近は、マスターにおねだりするようになりましたが……それでも結局、私はマスターの従者なのです。マスターだけの従者なのです。
遠慮など要りません。気遣いもいりません。
唯、機械人形に命じるように、私に命じてください。
マスターに尽くすことこそ、私の本分です。
マスターに尽くすのは、マスターが望み、マスターに選ばれた、私こそが相応しいのです。
他の者は、精々がマスターの奴隷、道具です。
従者ではありません。
私が、私こそが、私だけが——。
……ふぅ、興奮してしまいましたね。
そんな事をしている内に、いよいよ『完全なる世界』の
その模様については、割愛します。蟲の駆逐など、詰まらないだけです。そして腹が立つだけです。
殺せないのが非常に残念です。……マスターの御命令ならば、是非もありませんが。
『紅き翼』も(蟲の分際で)殺蟲作業に従事ていたようで、少しは遅れを取り戻せました。
その点については、礼を言っても良いかもしれません。
そして、マスターもとうとう『完全なる世界』の幹部に辿り着きました。というより、向こうから接触してきました。重要拠点一つを餌(罠)にされ、待ち構えられました。
それが不快ですが、せっかく会えたのですし我慢しましょう。
あとで、いくらでも殴って痛めつけることができますから。
その幹部は、今、マスターの前に立っている白髪の青年です。
あぁ、やっぱり潰したいです。殺意が沸いて仕方がありません。
それに……
この蟲も、精々が蜜蜂ですね。
何体集まっても、雀蜂一匹に挑みかかるのがやっとの蟲です。
それでいて、此れまでの無礼の数々。
マスターへ隷属する事の悦びも知らない、無知で低脳な昆蟲。
汚らわしい。おぞましい。呪わしい。許し難い。度し難い。鬱陶しい。憎々しい。馬鹿馬鹿しい。
あの顔を殴りたい。全身の骨を例外なく折り、磨り潰してやりたい。神経を斬り裂き、極上の苦しみを永久に味合わせてやりたい。目玉を抉り、マスターを拝めるという至上の栄誉を奪い去ってやりたい。細胞の一片たりとも残さず焼き尽くし、腐肉の一欠片も残らないようにしてやりたい。
そんな思いが全身を駆け巡ります。
マスターが望まなければ、とっくに拳を振るっているでしょう。
そして、マスターが話し始めます。
一匹の蟲と。マスターが御相手をするには、あまりにも下等で下劣なモノと。
私は、蟲を絶えず睨み続けます。何時でも、駆除できるようにします。
マスターに触れるか、暴言の一言でも吐けば————————————————————————その時が、此の蟲の最後です。
榛名&ハクのスタンスからして、王国、連合、帝国、何れにもほとんど関わりません。
たぶん『紅き翼』とセラスとか以外とは、あまり接点が出来ないと思います。
あと、大戦編はまだまだ続きます。
予定だと今話で、半分とちょっとが終わったような感じです。
ハクVS物造主はまだまだ先のお話です。
結果はみえているかもしれませんが。
ていうかみえてますよね(汗)。
御意見御感想宜しくお願いします。
後これから先、更新速度が落ちるかもしれませんが、四日に一話は更新する予定ですので宜しくお願いします。