妹編はとりあえず一区切り。
これから先、子日視点が入るときは、一部を除いてほとんどが本編になります。
番外編第参話 とある妹の麻帆良行き
お久しぶりです。
正直どちらでもいいです。
あれから修業したり、此の世界について色々と勉強したりしていたら、何時の間にやら結構な月日が経っておりました。
……それにしても兄さん、結構ヤンチャしまくってますね……。
まぁ、綺羅川 ハクっていうのは……絶対、兄さんが神様に頼んで頂いたものでしょうね。
兄さんは、自ら危険に突っ込んだりしませんし。
嫉妬?
しませんよ、所詮従者程度ですし。
さて、私は『水のアーウェルンクス』を拝命(このネーミング、どう考えてもやられ役です)しただけあり、魔法も水系統に特化していますが、それだけではありませんでした。
どうやら私は、水に限らず“液体”ならなんでも生み出し、操れるようです。
やろうと思えば、相手の体内の血液やら水分やら体液やらを全部抜きとって、カラッカラにしてやることも可能です。
え? なぜわかるのか、ですか?
フフフ。
その液体を固形化することも可能でしたが、奈何せん、生み出すのに比べて魔力の消費が激しいです。
いえ、固形化自体は容易いのですが、それを維持しているのが少々骨が折れます。
どうやら私は、魔力量自体が一番目や
あと、気の量もかなりありましたし、身体能力も前世とは比較になりません。
唯、私には格闘術の知識などありませんから、要は莫迦力に任せることくらいしかできませんけど。
習ってもよかったのですが、正直、能力の把握に手間取りすぎました。
“液体”を生み出し、操れるって、応用範囲が広すぎると思いませんか?
色々試していたら、結構かかってしまいました。
修業は兄さんと出会った後でも幾らでもできますし、一先ずは兄さんへ会うために、現実世界(私は“旧世界”などと言いません。並行世界とはいえ、自分の生まれ故郷が“旧”扱いされるには嫌ですから)へと向かうことにしました。
デュナミス、そして
兄さんのことについては、皆さんに色々教えてもらってわかっています。
麻帆良学園都市でしたっけ? そこに向かう必要がありますね。
強力な結界があるそうですが、軽く神力(なぜか生まれたときから使えるようになってました)を放出すれば、ハク、とかいう従者もわかってくれるでしょう。
この知識は生まれた時から頭に入っていたのですが、神力は私と神の創造物——つまり綺羅川 ハクしか使えないそうです。例外は
要は、神力を見せるだけで、神と関わっていることの証拠となります。
そうすれば、向こうも完全無視で追い返すような真似はしないでしょう。
別に
何でしたら、太平洋の海水を、一滴残らず叩き込んであげますけど。
……魔法世界の湖で実験したら、普通に出来ました。水を全部空に集め、球状にして、地上に叩き込むことが。
無人島でやって正解でしたね。島半分が抉れるとは思っていませんでした。
兎に角私は欧州から日本へと航空便で向かい、日本国に入りました。
そのまま麻帆良に行き————————————————————。
「
純白の長髪がとても綺麗な、メイドに出迎えられました。
……あ、私の髪も純白でした。
……いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや、そんなことよりもなぜバレたんですか。おかしいでしょ、コレ。
「……あの、綺羅川 ハク……さんですか?」
「ええ。綺羅川 子日……様」
……今、「様」の部分が遅れたのって、
…………………………………………………………………………………上等じゃあないですか。
……………………………………………………………………………………………………………………………
……………………………………………………………………………………………………………………………
……
ド畜生ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
んだテメェはぁ、来日直後にガンつけに来るたぁ上等すぎるわマジで(現在地、羽田空港ターミナル)!!!!!
余裕か? あ? 兄さんを独り占めしている余裕かぁ!?
実妹ナメんな!!
血統に勝るもんは何一つねぇ!
……あ! 今はもう兄さんと血がつながってないじゃあないですか、私!!
…………………だ、だが心の中では実妹です、
「はい、そうです。これはこれはご丁寧に。流石は“兄さんの
「貴女が覚醒してからです。すぐにわかりました、マスターの妹が此方に来た、と。
それに……そのペンダント」
……
嬉しさのあまり、口元が一ミリ程動くのを感じます。
……フフフ、兄さん以上のポーカーフェイスの使い手、綺羅川 子日を嘗めないでください。
…………好きで無表情ではないんですけどね。
「フフフ、それは重畳です。では、とっとと兄さんの許に案内してくださいな」
「ええ。マスターの命令は受けていませんが、仕方がありません」
……オイコラ、露骨に嫌そうにしないでくださいよ。
…………………………殺してやりたくなるじゃあないですか。
「御丁寧な送迎、感謝します」
んなこと一ミリも思っていませんけどね!
「それ程でもありません。好きでやっていることではありませんから」
……ほう。
ええい、口下手で舌が回らぬ自分が憎いですね。
強硬手段は……駄目です、何を考えているんですか、私。
此処は羽田空港ですよ? こんなところで暴れるわけには————。
「この様な羽蟲でも、送迎くらいは誠意を持って応対しましょう」
———————————————————————————グッバイ、羽田空港! ハロー、廃墟&死体累々!
「……品の無い御方ですね。兄さんの従者として、恥ずかしくないので————————」
其処まで言った後、私の意識は途絶えました。
次に目を覚ました時は、
「あ、子日! 起きたのか」
兄さんの顔がありました。
……あ、もう死んでもいいです。
注)子日視点の特徴
口下手で引っ込み思案、加えて基本無表情の子日は、明日菜みたいにクールではなく、単に表に出せないだけです。
テンションが高いのも、心内描写だけで、表情や態度にはおくびも出していません。
ちなみに、ハクに因縁つけてる部分がありますが、あれも心理描写だけで、実際は片眉ひとつ動かしておりません。
要は、心理描写(一人称視点)と実際の言動のギャップが凄まじいのが、子日の特徴です。
御意見御感想宜しくお願いします。