テスト期間中ですが、合間を見つけて更新です。今日はレポート提出だけですので。
子日との再会の榛名視点、後半は子日視点です。
原作開始に入ると、どうしても刹那、明日菜や子日、ハクの視点が増えてしまいます。榛名が動きませんから。
そこは御了承下さい。榛名に出番がないわけではありませんので。
第弐拾伍話 カレと妹の再開と今後
ハクから子日の話を聞いたとき、多分僕は久しぶりに仰天したと思う。
だって、普通は此の世界に妹も来ているなんて思わないよね?
ハクが言うには、アーウェルンクスシリーズの一人に憑依して、つまり僕と違って見た目は変わっているそうだ。
でも、ハクが(引き摺りながら)子日を連れてきたときには、何というかすぐにわかった。
ピン、ときたというか、目を回していても(回している理由については聞かないでおいた)直ぐにこの白髪少女が子日だと感付いて、そして正解だった。
目を覚ました後、待っていたのは子日の怒声だった。
「兄さん!! 一体、どれだけ私が、家族が、心配したと思っているのですか!!……本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に、本当に……!!
いえ、不可抗力でしたし、兄さんに吠えてもどうにもなりませんね、忘れてください」
俯く子日は、再び顔をあげて僕を見つめた。
その顔色は無表情だったけど、声の調子は機嫌が良さそうだ。
「ペンダント、持っていてくれたのですね……」
そりゃあ、あれだけ肌身離さずしておくよう念を言われれば……ね。
「どうぞ、子日さん」
「……どうも」
いつの間にか立ち上がっていた子日は、ハクがテーブルに置いたコーヒーカップに近付いていき、その中身を一気に飲み干した。
「……美味しいですね、其処らの喫茶店の珈琲が泥水に思える程には。
……………っていうか、ついに様付けですらなくなりましたか。まぁいいでしょう、従者さん」
「当然です。此れは本来なら私が栽培し、厳選したマスター専用のモノですから」
感心したように息を吐く子日と、少し棘のある口調で答えるハク。
いや、ハクは明日菜や刹那にすらこんな口調だから、別に子日だけが嫌いなわけでもないだろうけど。
でも、いつもながら無表情の我が妹は意に反さず、ハクにカップを渡す。
ハクは素直にそれを受け取る。
我が家では、家事は基本的にハクが担当している。
明日菜と刹那が加わった今でもそれは変わらない。
もっとも、明日菜たちが家事ができないというわけでもなく、メイドの作法(だから何でこんなの覚えさせたんだ?)と一緒に一通りの家事育児は習得しているみたいだ。
明日菜たちは今は寮暮らしだし、家事ができて困ることはないだろうしね。
「あー、それで、子日?」
「はい、兄さん」
「これから、どうする?」
「兄さん……私に、ここ以外に行くあてなどありません。ここに住ませてください。……お願いします」
「……うん、僕的には全然問題ない。良いよね、ハク?」
「はい、マスター」
チラリ、とハクのほうを見ると、ハクは即答してくれた。
「有難うございます、兄さん」
「でも、良いのか? 今の子日はアーウェルンクスシリーズで、つまりは『
仕事があるんじゃあないか?」
「あ、それについては問題ありません」
子日はそういうと、空中で指を動かした。
軽い音とともに、羊皮紙が一枚出てくる。
「どうぞ」
見てみると、御丁寧に英語の筆記体で、[ネノヒ=アーウェルンクスこと
「無期限の長期任務です。何かあれば呼び出されるかもしれませんが、ある程度は独自裁量が認められています」
つまり、基本的にはずっとここにいても問題ないということだ。
「
初対面の人間には無愛想に見える子日だけど、彼女はとても生真面目で、それ故に義理はしっかり返す。いきなり
「ところで子日、此処は学園都市だけど……どうする? ちょうど明日菜と刹那……あぁ、僕が諸事情で預かっている子たちなんだけど……が中一で本校女子中等部に通っている。
良かったら行かないかい?」
「学校ですか? 即決はできませんね。考えてみます……。
ですが、ちょっと外を歩いてきてもよろしいですか? 兄さん。どんな所か興味もあります」
成程。“百聞は一見に如かず”というし、ロクに知らない学校に通えというのも急すぎる話だ。
「わかった。同行しようか?」
「それには及びません。お気遣いには感謝しますが、兄さんには兄さんのやることがあるのでしょう?
御気を使わなくとも結構です」
そう言って、子日は優雅に一礼すると背を向けた。
……僕のやることって、何かあったっけかなぁ?
兄さんのことを調べるにあたって、もう一つ調べたことがあります。
麻帆良学園都市のことです。世界でも最大級の学園都市ですが、実態は関東魔法協会の根城。
その背後には、最近色々と混乱しているメセンブリーナ連合が控えています。
しょうもないものがあるかもしれない。兄さんの敵がいるのかもしれない。
荒事は好きではありませんし、血塗れ泥だらけの戦いも性に合いません。私のような者は、アトリエにでも引きこもって創作活動をしているほうが、性に合います。
それに、本当に此処に危険分子がいるのなら、あの従者が片を付けているでしょうし。
しかし、私はとある噂が気になっていました。
『真祖の吸血鬼『
一部の情報屋のグループで、
ですが、世の中こういう荒唐無稽(と思われがち)な噂の中に、真実が溢れているものです。
あの600万ドルの賞金首は死亡したと伝わっています(既に賞金は取り下げられているので、元・賞金首と言ったほうが正しいですが)が、連合の公式発表程眉唾ものの話もありません。
確かあの従者はその三倍の賞金額(こちらも元ですけど)でした。だから、
……それにしても、さっきは不覚でしたね。頭に血が上り、先制攻撃を受ける可能性をまったく考慮していませんでしたし、何で空港で
その点では、止めてくれやがったあの従者に感謝するべきでしょうね。
ええと、確かこの近くにログハウスが……ありましたね。
…………………………あれ?
感じる魔力がどうも少なくありませんか?
隠蔽しているにしても、此れは……いや、確かに感じ取れる魔力はあるのですが、その僅かな魔力は何と言うか……そう、あまりに薄っぺらくて、これは……。
ドアが閉められ、微妙に開いた隙間から
感じから察するに、どう見てもあれは
隠蔽するにしても、もう少しはマトモな隠し方をするでしょうし……
あれ? だとしたら脅威になり得ませんね。
まさか、従者が……いえ、彼女なら、もっと確実な方法……そう、殲滅に走るでしょう。封印してENDなど、彼女にしてはお粗末すぎます。
……話を聞くしかありませんか。
あぁ、初対面の人と話すのは、私が苦手なことベスト3に入るのですが……ええい、此れも兄さんとのセカンドライフ(文字通りの意味での)のためです。綺羅川 子日、一世一代の殴り込みでもかけますか。
……取り敢えず、チャイムを鳴らしましょう。
「どちら様でしょうか」
……アンドロイド? ロボットの方が出てきました。
………………早くも予想外ですが、挫けるには早いですね。
「今日は、良い天気ですね。
早速本題に入って恐縮ですが、『
あ、申し遅れました。私は子日。
こういうのは、素直に言うのが一番です。
腹の探り合いは好きでもありませんし、痛くもない腹を
私の望みは、兄さんの傍にいることだけですから。
……あ、でもあの従者は消したいかもしれません。
次回はエヴァと子日の接触編。それと、ハクがエヴァをどのように見ていたのかも明らかになります。
ハクにとっては、榛名以外は蟲の一言で済ますのですが……。
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200万超えた記念としての企画を考えていますが、アイディアが全然浮かびません。
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