今回は久々の別荘です
楓のしゃべり方ってこれでよかったっけ?
ニンニン!!出鱈目でござる
side 楓
ムラサメ殿に雇われてから一週間が経ったでござる
拙者は言われたとおり山の途中にあるひらけた場所にたどり着いたのでござるがそこには前回山に登った時には
無かった建物があったでござる
なるほど、面白い事とはこういうことでござったか
中に入るとそこはレストランのような内装で奥のテーブルには既に真名とエヴァンジェリン殿、茶々丸殿が座っていたので
拙者もそちらに向かい空いている席に座る
「やぁ、楓」
「真名、ここは一体なんでござる?」
「見ての通りレストランだよ(まぁ扱ってるのは規格外の品だけど)」
「やはりレストランでござったか、それでムラサメ殿は何処に?」
「ムラサメなら下だ」
エヴァンジェリン殿はそう言って床を指す
下?地下があるということでござろうか
そんな事を考えながら雑談に華を咲かせていると、奥の部屋からムラサメ殿が出てきたでござる
その手にはお皿がありそこにはイチゴらしきものが載せられていた
「お、揃ってるな」
「ムラサメさん、遅かったね」
「そういうな、獲ってくるのも一苦労なんだ」
「ふん、貴様に一苦労などという言葉は似合わんな」
「エヴァ、そんなこと言うと食わせないぞ」
「む、それは困るな」
「それでムラサメさん、今回はどういったものなんでしょう?」
茶々丸殿が尋ねるとムラサメ殿はお皿をテーブルの上に置く
お皿の上にあったのはやはりイチゴなのだが何故か房がフサフサでござった
………洒落じゃないでござるよ?
「今回は見ての通りイチゴだが、まぁ食ってみればわかる」
ムラサメ殿はそれだけ言うとまた奥に行ってしまったでござる
「……これは食べて大丈夫なんでござろうか」
拙者の脳裏には先日の茶に混入された植物が思い出されるが
「まぁ大丈夫だろ、ムラサメさんはこの場所においては本当に美味しい物しか出さないから」
そういって真名はイチゴを一つ摘み口に入れる
なんと、あの用心深い真名がこうも簡単に口に入れるとは。よほどムラサメ殿を信用しているのでござるなぁ
真名が口に入れたイチゴはこちらに聞こえる程に果汁が詰まっており良い音がしたでござる
「ふむ、確かに美味しいけどそれ以外は普通のイチゴのようだね」
真名は少し残念そうでござる
いつもはどんな物を出してもらっているのでござろうか、興味が湧いたでござる
その時だった
「おい、龍宮。お前、髪が」
エヴァンジェリン殿が真名の髪を指指している
拙者も真名の髪に視線を移すと、なんと真名の髪が綺麗になっていたでござる
「………真名さんの髪質が変わっています」
「どういうことだい?茶々丸」
「ようするに物凄くサラサラツヤツヤの最上級レベルの髪質です」
「「「………」」」
全員の視線がテーブルの上にあるイチゴに集まる
「お、どうやら食ったようだな」
奥からムラサメ殿が真名の髪を見てそう言ったでござる
「ムラサメさん、このイチゴはなんだい?食べたら髪がなんというかツヤツヤになったんだけど」
「そのイチゴはキューティクルベリーっつぅんだけどな、食べるとまぁ見ての通り髪がツヤツヤになる他にも育毛効果や……
まぁようするに美容効果の高いイチゴだ。食べておいて損はないぞ、女性なら尚更」
説明がめんどくさくなったでござるな?
まぁ、体には悪くないどころかかなり良いみたいなので食べるとするでござるか
その後は皆でイチゴを黙々と食べたでござる
驚いた事にロボットであるはずの茶々丸殿の髪もツヤツヤになっていたでござる
その茶々丸殿は今、
「私はガイノイドのはずなんですが……まぁムラサメさんに関連する事では考えても答えは出ませんね。保留です」
なんかこういう事態には慣れていたようでござる
「で?ムラサメさん今回もまた出所は秘密なのかい?」
真名がムラサメ殿に尋ねる
「う〜ん、それなんだけどなぁ。教えてやろうかと思ってな」
「本当かい!?」
「あぁ、冗談じゃねぇよ」
「しかし、どうして教えてくれる気になったんだい?」
真名の疑問にムラサメ殿は答えず拙者の方を見る
「楓?どういうことだい?」
「お前さん、オールレンジとはいえ一応は後衛型だろ?あそこは後衛一人だと楽に死ねるんだよ。だけど今は明らかに前衛型の忍者
がそこにいる。まぁ二人なら死ぬこともないだろうと判断したからだ」
「………つまり私一人では力量不足ということかい?」
真名が怖いでござる!!
「落ち着け、龍宮。ムラサメの言い方も悪かったがあそこはお前だけでは厳しいのは事実だ」
「………わかったよ」
「あと、楓だっけ?お前さん強くなりたい?」
ムラサメ殿はいきなり話題を変え拙者に質問してくる
「まぁ強くはなりたいでござるよ。まさかムラサメ殿が稽古をつけてくれるんでござるか?」
「まぁそれもいいんだが、今から連れていく所ならもっと確実に強くなれるな。行くか?」
一応は尋ねてはいるけれどこれ絶対拒否権ないんでござろうなぁ
「行くでござるよ」
「そいつぁ良かった。じゃあこっちだ」
そういうとムラサメ殿は奥に案内する
奥には長い廊下があり、ムラサメ殿はそのうちの一つの部屋の前で止まり中に入ったでござる
拙者等も続いて部屋に入ると、部屋の中はテーブルが一つあるだけで他には何もなかったでござる
いや、テーブルの上になにか直径40㎝ほどの硝子玉のようなものがあったでござる
「ムラサメさん、これは別荘かい?」
真名はこれが何か知っているようでござるが拙者にはわからないでござる
「まぁ、別荘だな。で、この中に今までの食材がいる」
「……なるほど、と納得したいところだがどうして貴方の別荘にだけしか存在しないんだい?」
「あぁ〜、それなんだがな。まぁなんというか昔にこの中に生き物を遊び半分で入れたら独自の進化を遂げちまってな」
「………」
真名が固まったでござる
「まぁ、そんな話はどうでも良い訳で、ほら行くぞ」
そういうとムラサメさんは拙者等を別荘?の前に押し出すと足元になにか陣のようなものが描かれ次の瞬間には拙者等は
見た事のない大樹海の前にいたでござる
「ここは……どこでござる?」
「ん?さっきの硝子玉の中」
なるほど………よくわからんでござる
それにしてもこの樹海はなんとも空気が澄んでるでござるなぁ
その時、樹海の奥から何かが出てきた
それは樹だったが動いていた
全長は大体5mくらいでござろうか
「真名、アレは一体なんでござる?」
「あれはムラサメさんの仲間だよ、間違っても闘いを挑むなよ?おそらくは勝てないだろうから(なるほど、あれが代行者と共にあった樹獣か)」
うぅむ、そう言われると闘ってみたいでござるなぁ
「楓、顔に出てるぞ」
「おっと」
「さて、ムラサメさん、これから何をすればいいんだい?」
「ん?まぁ今日はこの別荘の存在を知ってもらうのとここに生息してる生物の強さを知ってもらおうと思う」
そう言うとムラサメ殿はついて来いと言って森の中に入って行ったので拙者等もついて行ったでござる
樹海の中は確かに見た事のない生物であふれていたでござるよ
体長5mはあろうかという飛蝗がいたかと思えばサーベルタイガーのような虎まで様々でござった
確かにどれも強そうではござるがこれなら真名一人でも勝てると思うのだが
森を一旦抜けると一面に沼が広がっており、奥には更に森があったでござるがどうやら今回はこの沼に用があるようでござるな
「さて、さっき話した通り今回は腕試しを兼ねてある奴と闘ってもらう。俺は見てるだけだ、お前さん等だけで倒せ
倒した奴は後で調理してやる」
ムラサメ殿はそれだけ言うと近くの切り株に腰を下ろした
真名と拙者は何と闘えば良いのかまったくわからなかったのでムラサメ殿に聞こうとした時に
沼の中から体長20mの八本足のワニが出てきたでござる
「「…………は?」」
拙者等が呆けているとワニはこちらを向き迫って来た
「……楓!!」
「承知!!」
拙者等は立ち直りワニと向かい合う
真名は銃で撃つが余り効果はないようだった
当然でござるな、真名が持ってるのは自動拳銃、あの大きさには豆鉄砲も同然でござる
まぁ拙者のクナイは皮膚で弾かれそれ以前なのでござるが
「なるほど、確かに私一人では無理だな!!」
「真名、目を狙うでござる!!」
「わかった!!」
真名は拳銃でワニの目を撃ち抜く
流石に目はそこまで堅くはないようでござるな
ワニは目を潰されたことで怒り、雄たけびを上げる
なんという声量!!
鼓膜が破れそうでござる
しかし、我を失っている今なら近づく事は出来る
拙者はワニの死角から近づきワニの頭の上に乗り小刀を脳天に思い切り刺す
ワニの頭蓋骨はかなりの強度で中々刃が通らなかったがなんとか通す事が出来、ワニは倒れた
「はぁ、はぁ。まったく恐ろしいワニだった」
「まったくでござる」
「はい、ご苦労さん」
ムラサメ殿がこちらに来た
「ムラサメさん、ここにはこんなのがゴロゴロいるのかい?」
「うん?こいつは序の口だぞ、ここから奥にはもっとヤバい奴がゴロゴロいるな」
「「………」」
「ちなみにコイツの強さは?」
「まぁ8ってところだな。入口付近では強い部類に入るが奥にいるのは50とかそんなんばっかだな」
なんというか、絶対に闘いたく無いでござる
だけど確かにここなら修行にはうってつけでござるな
「さて、帰るか。あぁワニの肉忘れんなよ?そいつもかなり美味いから」
ムラサメ殿はそう言うと森を引き返していったので拙者等もワニの肉を切り取った後急ぎその後を追ったでござるよ
別荘から出てからムラサメ殿はさっきのワニ肉をステーキにして出してくれたでござる
自分で手に入れたというのもあるでござろうけど格別に美味しかったとだけ言っておくでござるよ
翌日、クラスで拙者等の髪が綺麗になっていたのでクラスの皆に騒がれたでござる
ごまかすのは大変だったとだけ言っておくでござるよ
さて、もう後一回か二回ほでで修学旅行に突入します
そっちのほうの構成はだいぶできてるんですが繋ぎの話がなぁ
ボスケテ!!