今回は幕間のようなものです
決して本ではわからないもの
side タカミチ
困ったことになったね
まさかこの僕が此処まで追い込まれるとは
さすがはあの人の息子だ
だが、僕とてあの頃とは違う!!
この現状見事に突破してみせよう
そのためにはもう一度現状を見直さなければ
「すまないがネギ君、もう一回言ってくれるかい?」
「だから、僕は強くなりたいんです!!」
「それはわかったよ。それで僕にどうしろと?」
「だからタカミチに仲介を頼みたいんです」
「誰に」
「エヴァンジェリンさんです!!」
君は僕に死ねと言っているのかい?
「ネギ君、無茶を言わないでくれ。君は不干渉の証書を書いたじゃないか」
「確かに僕は書きました。でもタカミチなら」
どうしてそこで『でも』が出てくるんだい!?
いくらなんでも無理だよ
くっ、背中に嫌な汗が
「ど、どうして僕なら大丈夫だと?」
「タカミチは不干渉の証書、書いてないんでしょ?」
………何故知っているんだ
確かに僕は証書を書いてない
理由は僕が一応、ムラサメさんの元で修行をしていたからだが
だが、だからといってこんな頼みを持っていったら確実に潰される
ただでさえあの二人はネギ君を嫌っているのに(ムラサメさんはどちらかというと無関心だけど)
どうする、考えろ、考えるんだ、お前ならこの難題の答えを見つけられるはずだ
タカミチ・T・高畑!!!
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…………………………………………無理だ!!!
こうなったら後は学園長に任せよう
「あ〜、ネギ君。この問題は僕にはちょっと答えられないから後は学園長に聞いてくれるかい?」
「え?」
「じゃあ、僕は仕事があるから!!」
僕は咸卦法を使い一瞬でそこから離れる
何も出来ない僕を許してください、学園長
side ムラサメ
店で一人ダラダラしていると客が来た
「やぁ、約束通り来たよ。コーヒーを貰えるかい?」
客はフェイトだった
「あいよ」
俺は棚から瓶を取り出し、コーヒーを入れる
「良い香りだね。確かにあの豆よりさらに進化したみたいだね」
「当り前だろう、あれから何百年経ったと思ってんだ。……ほれ、出来たぜ」
「ありがとう」
フェイトはコーヒーを静かに口に運び、ゆっくりと味わっている
俺も自分用にコーヒーを入れて飲む
「…………ふぅ、美味しかったよ」
「だろうな、こいつは自信作だからな」
「ふふ、君も変わらないね。ところでこの豆の名前は?」
「ユグドラ・マウンテン改」
「驚くほどネーミングセンスがないね」
「ほっとけ」
その後もコーヒーを飲みながら適当に会話をする
話の内容は世間話というには無理があったが
「で、次はいつ動くんだ?」
「また率直に聞くね、まぁしばらくは静観と観察かな」
「静観はわかるが観察?何をだ?」
「偽りの英雄の息子」
あの坊主か
「あれに観察するほどの価値あるか?」
「まぁ今の時点では僕達の敵じゃないさ。でも大戦の時に僕を倒した男の息子なんだ、一応は警戒をね」
「ふーん。まぁ俺らに関係がないなら好きにやりな」
「そのつもりだよ。さてそろそろ僕は帰るよ」
「そうか、で?今回はどれ位買っていく?」
「そうだね、この店にはいつでも来れるとは限らないし40程いただこうかな」
「わかった」
俺は倉庫から豆を40kgほど持ってきてフェイトに渡す
フェイトは豆を転移魔法で何処かに送る
「ほらよ、じゃあまたな。フェイト」
「あぁ、まただ代行者。…………あぁそうだ、僕の仲間に一人大地と語らう事の出来る子がいるんだけど
今度会ってくれないかい?彼女の種族からしたら君は神様みたいなものだからね」
「………断る、面倒臭い」
「そうかい、まぁいつかは必ず会う事になると思うよ。いつかね」
それだけ言うとフェイトも消えていった
なんだ?あいつ
なんか意味深なこと言って行きやがって
まぁいいか
さて、これからどうするかな、また新しい作物でも考えるか?
…………適当でいいか
side 夕映
あれから覚悟とは何かを考えるがわからない
当然だろう、私は今まで本などでしか覚悟という言葉を見た事がないのだ
ましてや殺るか殺られるかの覚悟なんて喧嘩をしたことのない私に分かる訳がないのだ
ならばネギ先生はどうだろうか?
私は聞いてみようかと思ったが、あの青年の『あの坊主もまだわかってない』という言葉を思い出した
やめておこう、それに私が聞くのも変だ
やはり自分で考えて答えを出さなきゃならないのだろう
私が一人悩んでいると
「夕映、どうしたの?さっきからずっと何かを考えているみたいだけど」
私の親友ののどかが話しかけてきた
「…………なんでもないですよ。ちょっとした考え事です」
「そう?でもなんか凄い真剣だったみたいだから。悩んでいるなら相談してほしいと思って」
「本当になんでもないですよ。のどかはネギ先生の事でも考えててください」
「あぅ」
のどかは静かになったです
私は再び思考の海に沈みます
覚悟やはりいくら考えても答えは出ませんね
あの青年は覚悟が出来たら来い、と言っていた
それは殺るか殺られるかの覚悟なんでしょうか?
それとも…………
私は青年の言葉を思い出します
『平穏な日常』が消える『殺るか殺られるか』が日常になる
もしかしてあの青年が聞いていたのは殺るか殺られるかの覚悟ではなく
平穏な日常を捨てられるかどうかの覚悟だったのでは?
……………日常を捨てて殺るか殺られるかの世界に入る
考えただけで怖い
きっと私なんてすぐに殺されてしまうだろう
でも、それでも私は知りたい
ならばどうする?綾瀬 夕映
日常を捨てると言う事はのどか達とも離れると言う事?
それはいやだ
だけど、世界のことを、本だけでは知ることの出来ない世界を私は知りたい
あぁ、これが覚悟を決めるという事ですか
なるほど、これは本では学べないものですね
答えは出た
ならば、行くです
そんなわけで夕映が覚悟をしました
安直すぎるとか、軽すぎるとかはあるでしょうがそこは勘弁してください
ここが作者の今出せる全力です
しかし、きっといつか作者は第二形態を手に入れてみせる!!