本日二回目の更新です
楽しんでいただければこれ幸い
番外 温泉旅行
side ムラサメ
エヴァとの約束により一泊二日の旅行に行く事になったのだが行き場所を俺は知らない
なのでエヴァに尋ねてみると
「行く先は草津だ。あそこは温泉で有名だからな、一度行ってみたかったんだ」
と実に若者らしくない答えが返って来た
あ、エヴァにしても俺にしても既に若者ってレベルじゃなかったな
そんなわけで現在、俺とエヴァは新幹線で草津へと向かっていた
ちなみに今回の旅行はエヴァと俺だけだ
茶々丸はなんでも研究所でやることがあるらしい
チャチャゼロの方は『馬に蹴られたくない』との事で欠席
そして、エヴァはさっきからずっと外の景色を眺めている
時々、『おぉ』とか『綺麗だな』などつぶやいている
そういった姿だけを見ていると本当に見た目通りの少女のようだった
そういった姿は、まぁ可愛らしい
決して本人には言わないが
言えば確実に調子に乗るだろうからな
「ムラサメ!!そろそろ着くぞ」
「ん?もう着くのか、さすがに早いな」
俺達が駅にたどり着くとそこは、正に温泉街
まぁ当然だが
「それでエヴァ、これからどうするんだ?」
「ん?取り敢えず湯畑でも見に行くぞ」
「はいよ」
にしても本当に渋いことで
その後の観光については語ってもいいんだがまぁ何というか
エヴァが大はしゃぎ、周りの皆さまの温かい目、俺も温かい目みたいな感じだった
ちなみにその時、見知らぬ爺様が
「元気なお嬢さんじゃねぇ、御子さんかな?」
などと聞いてきたが適当にはぐらかしておいた
そんなこんなで観光を終え、エヴァが予約した宿に向かうのだが
着いた先はなんというか立派な由緒正しそうな宿だった
「なぁ、エヴァ?」
「なんだ?」
「本当にここか?」
「あぁ、ここだぞ」
「いや、だってここって超高級宿じゃないか。よくとれたな」
「ふふふ、そんなに苦労はしなかったぞ『私は』」
「………どういうことだ?」
「ムラサメ、私達にはあの妖怪がいるじゃないか。あいつはこういった方面にも顔が利くんだよ」
な〜る、近坊に協力を要請したという訳ね
ちなみに後日分かった事だが協力ではなく脅迫だったらしい
「まぁ予約が取れてるなら行くか?」
「うむ」
宿の中に入ると、そこは確かに一流だった
一目で分かるほどの上質な調度品、しかし華美ではなく大人しい
「ムラサメ、行くぞ」
エヴァは俺をフロントの方へ引っ張っていく
「おい、エヴァ。予約の名義はお前か?」
「いや、ムラサメにしておいた」
まぁ、だろうなぁ
「すいません、予約をしておいたムラサメですが」
なんか敬語を使わなきゃならんような気がしちまう
うぉ〜、敬語使うのって何百年ぶりだ?
「はい、村雨様ですね。それではお部屋にご案内いたします」
俺達は部屋に案内される
まぁ、近坊に頼んだ時点でこうなるのは分かってたよ
うん、見事な部屋だ
見晴らしは最高だし、部屋も広い
「…………広いな」
「いいじゃないか」
「…………そうか」
俺達を案内してくれた人は軽く部屋についてと夕食について説明を終えると居なくなってしまった
「で、エヴァ。温泉にでも行くか?」
「そうだな、いくとするか」
従業員の説明によるとこの宿の温泉は露天が一番の自慢らしい
俺とエヴァは男湯と女湯の前で別れ各々温泉を楽しむ事にした
その時、エヴァが何かを企むような顔をしていたが気にしないでおこう
side エヴァ
ムラサメは何も知らずに入っていったようだな
ふふふ、今のところは順調だ
学園長に頼みこんだ(脅迫)甲斐があったな
ここの露天はなんと混浴なのだ!!
ムラサメよ、覚悟するがいい!!
side ムラサメ
なぁんか不穏な感じがするなぁ
まぁいいか
それにしても良い気分だ
さすがは草津、いい温泉だ
さて、そろそろ露天の方に行くか
俺が露天に行くとそこには金髪の美女が既に入っていた
「は?」
俺は後ろを見てみる
うん、男湯の扉だ
では何故にここに美女がいるのか?
「まさか………」
「ふふふ、気付いたか」
「ニューハーフか!?」
「んなわけあるか!!!ここは混浴なんだよ!!」
「あ、やっぱり?てかエヴァなんで態々幻術使って入ってんだよ」
「貴様、気付いていながら…………」
そりゃ、気付くでしょ
俺がエヴァを間違える訳ないだろが
一体どんくらい一緒に過ごしてると思ってるんだ
「取り敢えずエヴァ、幻術解けよ」
「……………いやだ」
「どうして?」
「元の姿だと、その」
あぁ、やっぱり気にしてはいるんだな、成長しないことを
まぁその辺は俺達の長所でもあり短所でもあるよな
俺の外見なら問題は無いがエヴァは早すぎた
だから彼女はその事を悩んでいる
「今は気にするな」
「でも、ムラサメもこっちのほうが」
「………まぁそれは否定しないけどな。だが本来の姿で居て欲しいっつぅのも本心だな」
そう、これは俺の偽らざる本心
まぁこっちのナイスバディもいいのだが、エヴァには俺に偽りはないで欲しいという思いがある
「…………わかった」
エヴァは幻術を解き元の姿に戻る
その後はなにも喋らない
「エヴァ」
「なんだ?」
「温泉はいいな」
「…………そうだな」
その後は二人とも喋らずに静かに温泉を堪能した
温泉から上がった後は食事があり、舌鼓を打ちながら食べた
その後は酒盛りになった
エヴァは早々に酔い、寝てしまった
俺はそんなエヴァを見ながら一人酒を飲む
エヴァは楽しそうに寝ている
まったく、どんな夢をみてんだか
「ムラサメェ」
「なんだ?」
寝言と知りながらも返事をするのは変だろうか
「一緒に……居て」
「……………俺はどこにも行かねぇさ。お前と一緒にいてやる」
俺がそう言うとエヴァは嬉しそうに笑っていた
こいつ、本当は起きてんじゃねぇだろうな?
試すか
「それにしても、あのナイスバディはもう少し見ていたかったような」
…………反応はない
どうやら本当に寝ているようだな
side エヴァ
どうやら私は寝ていたようだ
ムラサメは一人、酒を飲んでいるようだった
その時
「……………俺はどこにも行かねぇさ。お前と一緒にいてやる」
ムラサメがそう言っていた
私は寝言で一体なにを言ったんだろうか?
恥ずかしいが、それよりも私は嬉しかった
自然と笑みがこぼれる
しかし、ムラサメの次の言葉は
「それにしても、あのナイスバディはもう少し見ていたかったような」
だった
くっ、やはりあの方がいいのか
だけど、ムラサメは幻術は使うな、と言っていた
ならばどうするか
その時から私には目標が出来た
真祖の私にも効く成長薬を創ろうという
幸い、時間はあるんだ
side ムラサメ
翌日、チェックアウトを済ませた俺たちは麻帆良へと帰ることにした
帰りの新幹線でエヴァがなにやら真剣に考え事をしていたが、まぁ気にしないでおこう
その後、麻帆良に帰ってからというものエヴァは何故か魔法薬を徹底的に調べ始めていた
特に成長薬の辺りを
やっぱ、あの時起きてたのか?
頑張ってムラサメをデレ?させてみました
どうでしょうか?
ムラサメの中でエヴァは大事な存在です